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rttt
捏造、妄想
ご本人とは関係ありません
この話とは関係ありませんが3周年ビジュとても良かったですね
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宇佐美にとって佐伯は特別だった。緋八も赤城も大切な友人で仲間に違いはないが、佐伯だけが何処か違っていた。それはVTAからの付き合いがあったからかもしれないし、挙動の可笑しい面白いやつだから一番宇佐美の目を惹いてやまないというのもあっただろう。だから宇佐美にとって親友と言って差し支えない男は佐伯が一番に上がる自覚がある。
アジトの静寂の中、宇佐美はソファでスマホをいじっていた。しかし、その意識は手元の画面にはない。液晶をなぞる指先は緩慢で、視線は隠す気もなく隣で作業をする佐伯へと注がれている。
最近の宇佐美は、病的と言えるほど佐伯を見つめていた。それは同期たちが呆れるレベルで、ずっとだ。
以前YouTube代わりのように面白がって見つめていた視線よりも、執拗で熱が籠もったそれに佐伯は怯えきっていた。
「……リトくん、そんなに見つめられるとやりづらいんだけど」
耐えかねた佐伯がパソコンを閉じて、困惑した瞳を宇佐美に向ける。しかしそれさえも『おもしれぇなコイツ』と脳の片隅で思ってしまうのだからこれは本当に世話がない。真顔のまま喋らない宇佐美に佐伯は焦ったように忙しなく視線を泳がせる。大方『なに!?俺なんかやっちゃいましたか!?』と心当たりのないやらかしを探しているのだろう。とうとう、居た堪れなくなった佐伯が口を開く。
「あの~リトくん?…なんか俺、君に嫌なこととかした?」
「してないけど」
「じゃあなんでそんな見てくるんだよ。緊張して大学の課題1個も進んでないんですけど!?」
『わるいわるい』と思ってもいないような言葉を出して、宇佐美は液晶をなぞるだけだったスマホを机に伏せると隣に座っている佐伯に、じりっと近寄る。体温が伝わるような近さに佐伯は少し遠ざかるが、同じだけ宇佐美も擦り寄るので意味がない。ソファ端に追い込まれた佐伯はダラダラと冷や汗が止まらない。
「ほ、っほんとに悪いと思ってる!?なんかさっきより様子がおかしいんですけど!?!?」
宇佐美はそんな佐伯を見て喉奥で笑いながらもその瞳はギラついていた。まるで肉食獣だ、と佐伯は思う。逃げ場を失ってひじ掛けに背中を預ける自分はまさしく“食べられる側”であると自覚される。
宇佐美の瞳に宿る熱は、もはや好奇心という言葉で片付けられるものではなかった。宇佐美の指先が、佐伯の喉仏のあたりをあてもなく彷徨う。その動きは羽のように軽いが、向けられる視線の重さは佐伯の呼吸を浅くさせるには十分すぎた。
「……なぁ、テツ」
鼓膜に直接響くような、低く、どこか湿り気を帯びた声。宇佐美は逃げ道を塞ぐように佐伯のすぐ横に手を突くと、ゆっくりと顔を近づけた。鼻先が触れそうな距離。佐伯の瞳が、恐怖と困惑で歪に揺れる。
「俺、お前のこと面白いやつだと思って見てたはずなんだけどな」
静かに零した言葉のあとに宇佐美は、佐伯の喉仏に触れていた指先をパッと離した。それと同時に、圧迫感を与えていた身体を素早く引き、ソファの反対側の端まで距離を取る。
「……あー、悪い。今の、ちょっとやりすぎたな。怖がらせたよな」
先ほどまでの熱を無理やり飲み込み、宇佐美はわざとらしく後頭部を掻いた。視線をあえてスマホに戻し、気まずさを誤魔化すように鼻を鳴らす。
「テツの反応が面白くてさ、つい調子に乗ったわ。……マジで、悪かった」
隣では、佐伯が未だに心臓をバクバクさせながら、呆然と宇佐美を見つめている。その顔にはまだ恐怖の名残があるが、宇佐美はそれ以上追及させないように、「ほら、課題進めろよ」とぶっきらぼうに付け加えた。
机に伏せていたスマホを拾い上げ、画面をスワイプする指先は、先ほどよりも少しだけ震えている。
(……あぶねぇ。あんな顔されたら、戻ってこれなくなるところだった)
アジトの静寂が再び戻ってくる。宇佐美は画面を見つめるフリをしながら、自分の喉の渇きを悟られないよう、静かに息を吐き出した。
とずり阿
来世は二酸化炭素がいい