【結羽と天野の喧嘩】
──夜の廃墟、かすかな風が吹く中。
天野「……また真面目にやってんのかよ、結羽。疲れね?」
結羽「当然です。麗奈のためですから」
天野「あーあ……もうちょっと気楽にやろーぜ。ウチ、あんた見てるとイラつくんだわ」
結羽「……イラつくのは、貴女の勝手でしょう」
天野「『しょうがない』って顔すんなよ。余計ムカつくっつーの」
結羽「……。貴女は、もう少し周りを見た方がいいですね」
天野「あっそ。(ラムネを口に放り込みながら)……なーんでもかんでもルール通りに動くなっつってんの」
結羽「秩序がなければ、組織は壊れます」
天野「は? ガチガチすぎて息できねぇって言ってんの。そんな空気、ウチは嫌いなんだよ」
結羽「……なら、勝手にどこかへ行ってください」
天野「言ったな」
結羽「ええ、言いました」
一触即発の空気。
天野はポケットに手を突っ込んだまま、にやりと口角を上げる。
結羽は表情を変えず、静かに天野を睨む。
──二人の間に、ピリッとした緊張が走った。
そのとき──
凪斗「おーい、ケンカすんなよ〜。オレ、どっちもめんどくせーからな〜」
麗奈「……まったく、お前ら……」
天野「……チッ、つまんね」
結羽「……無意味な争いをするつもりはありません」
そう言いながらも、二人はお互いに背を向けた。
だがその背中は、どこか似ていて──
気付かぬうちに、少しだけ、理解し合っていくのだった。
──一触即発の空気。
天野と結羽が、互いに譲らず睨み合っていた、その瞬間。
バシッ──!!
麗奈「……やめろ、二人とも」
鋭い声と同時に、麗奈が天野と結羽の間に立ちはだかった。
天野「……っ、麗奈……」
結羽「……麗奈……さん」
麗奈「ここで喧嘩するなら、私が相手になる。……それでもいいか?」
静かに、だけど確かに怒りを含んだ声。
普段は穏やかな麗奈の、低く響くその言葉に──二人とも、思わず言葉を失った。
麗奈「私たちは、敵じゃない。……仲間だろ」
天野「……っ……」
結羽「……申し訳ありません」
天野は舌打ちしそうになったのを飲み込み、そっぽを向く。
結羽は静かに頭を下げる。
麗奈は、そんな二人を見て、少しだけ目を細めた。
麗奈「……次やったら、殴る」
それだけ言うと、麗奈はくるりと背を向けた。
天野と結羽は、お互いに何も言わず──ただ小さく、ため息をついた。
天野「……あーあ、マジで、麗奈に怒られんのが一番キツいわ」
結羽「……本当に、ですね」
小さな声で、ふたり、同時に言った。
──夜風が、少しだけ優しくなった気がした。
コメント
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うっま!モ‹”モ‹”( ‘ч’ )モ‹”モ‹”(この前もこんな会話したな☆) 喧嘩シーン入れてくれてありがと〜! 予想の上を行ったわ!ほんま凄! 続きも楽しみにしてますわ☆(ネタが無くなったらうちも助けるわ!)