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セラフ。
そう呼びかけたって、もう彼はこちらを向いてくれないんだ。
彼と一緒にいることができなかった僕らに価値はあるのだろうか
地獄では罪を償う。
僕らが犯した罪の分。永遠と。
僕らの中で一番罪が軽いのはひばだった。
その後にアキラ。そして僕。
一番重かったのは、セラだった。
望んでもないことをやらされて、罪が重くなったセラ。
一番辛いんだろう。
最初に罪が償われたのはひばだ。
一番軽いと言っても、普通の人からしたらだいぶ重い罪だ。
罪が償われると2つの選択肢が生まれる。
「地獄にいる」か「転生」か。
地獄にいても、罪を償うことはない。
普通に過ごしていくだけ。
転生を選んだら、記憶を持つか、持たないか。で分かれる。
記憶を持つのなら、ちゃんとした理由が必要だ。
その理由が認められてようやく記憶を持ったまま転生できる。
ひばは、地獄に残ることを選んだ。
「だって、転生するならみんなで転生しようぜ!」
そう明るい笑顔で言っていた。
そして、だんだんと罪が償われていく僕ら。
セラだけはずっと、罪を償っていた。
誰よりも、重い罪を、誰よりも、苦しい罰を。
ずっとずっと受けていた。
「セラ」
でも、名前を呼べば答えてくれる。
「なぁに」
そう幼い子みたいなゆるい笑顔で。
僕は口を開いて、言いたかった。
「頑張れ」
そうやって。
僕は言えなかった。
「、、、なんでもない」
頑張れ。と。
言えなかった。
彼のあの顔を見ては、頑張れの一言も言えなかった。
罪が償われた僕に、彼に向かって何ができるというのだろうか。
頑張れ。と言って、彼は傷つかないだろうか。
そう、弱気になってしまったのだ。
「なぁんだ」
ごめんな。
でも、その笑顔だけは、守っていてくれ。
彼の罪が償われたらしい。
「、、、どうしよ」
そう呟いていた。
「よっしゃ!転生しようぜ!今度こそはっ!普通の家庭に産まれようなっ!」
ひばが泣きながら言う。
「えぇ、そう、ですね。もう、終えましょう。私たちの、辛かったあの過去を」
アキラがみんなとハグをしながら言う。
「そうだな。また会おう。その時は笑顔で『久しぶり』って言い合おう」
僕はそう言い切って、笑った。
「、、、うん。そうだね」
セラも笑ってくれた。
目の前は白い。
空に浮いてるみたいだ。
目の前の天使が囁く。
『地獄に残ることを選びますか?転生することを望みますか?』
俺は、もう決まっている。
「_______。」
『いいのですか?』
「もちろん。これが俺の選択だ」
ありがとう。みんなは幸せでいて。
僕は目が覚めた。
そこは幸せそうな家庭。普通の家庭。
裏の世界ではなかった。
今は5歳、、と言ったところだろうか。
見た目はほぼ変わっていない。
ならば、あいつらを見つけられるかもしれないっ!!
昔通っていた学校に入ることになった。
中学の入学式。
校門で僕は待っていた。
彼らが、ここに来ることを。
「っ、、、」
「かな、と、、、?」
そこには、変わらない、大切な相棒がいた。
「ひば、、ひばぁ!!!」
感動的な再会に、僕らはハグをした。
「、、、こんにちわ。オーナー」
隣には、アキラもいた。
「あき、アキラ!!」
3人でハグをしあった。
また、会えた。大切な仲間。大切な親友。
「あと、セラ夫だけですね」
セラだけはいない。
入学式が始まる時間になり、僕たちは学校に入っていった。
セラらしき人はいない。
不審に思った僕らは必死に探した。
表の世界といえど、昔培ってきた経験を活かし、死ぬ気で探した。
、、、。
結果、セラフはいなかった。
セラフはいまだに地獄にいるのだろうか。
「、、、転生するって言っただろ」
ひばはつぶやいた。
「彼は立派な嘘つきですよ」
アキラも呟く。
「、、セラは熾天使なんだよ。熾天使だから、空にいないといけないんだ。うん、そうなんだよ」
僕は必死に僕を納得させる。
そうだ。
セラは人間じゃないんだ。
天使だから転生したくても、転生できなかったんだよ。なぁ?
「っ、馬鹿やろぉ」
涙を流す。
馬鹿。馬鹿。
誰よりもばかなあいつ。今もなお地獄で一人だ。
前世の遺体が埋められている墓地へと足を運んだ僕ら。
そこには、薔薇の花があったが、全て枯れていた。
「ははっ、セラ絶望してるじゃん、、、」
枯れた薔薇は「私は絶望しています」を表しているのを僕らは知っていた。
天使だから、転生できなくて、絶望してるんだろ、、?
辛い時に、寄り添っていられなかった、僕らには。
価値はあるんだろうか。
「ごめんな。ごめんな」
僕らには謝る以外できなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
これでよかったんだと思う。
俺は地獄に残って、罰を受けている。
みんなみたいに、吹っ切れなかった。
辛い過去が俺をいつまでも暗闇に引き摺り込んでくる。
今までありがとう。
地獄でいつも俺に話しかけてきてくれてありがとう。
転生後、それでも俺のこと覚えてたら声かけてくれる?
一緒にいれなくてごめん。ごめんね。
でも、許してくれる?最後のわがままくらい、さ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
最後のわがまま。
許して。
『もう俺と会えないといいね』
俺は地獄にいるから。
幸せになってみんなは天国に行ってよ?
約束。
『みんな。楽しんできて』
僕らはこの人生を楽しめるだろうか。
できない気しかないけれど、セラに会うためなら。
幸せになって、セラに会ってやる。
それまで、待っててね、セラ。