🌸こちらStxxx様のnmmn小説です
🌸桃赤さんの腐要素を含みます
🌸このお話はフィクションです
🌸とある方々に名前が激似しておりますが、一切関係はございません
🌸珍しく長いです
🌸フォロワー様130人ほど!ありがとう!😭
↓
「…雨だね、」
ぽつぽつ窓に打たれては、重力に従って垂れていく。そんな光景を彼と一緒に見つめていた。
シンと静まり返った空気のせいか、彼に対して気まずさを感じた。
ぼうっと窓の外を見つめる彼へ、話しかける雰囲気にはならない。
俺は何か話しかけるキッカケを作ろうと彼が家に来た時にコンビニで買ってきてくれた酒缶とお菓子が入った袋を漁り、美味しそうなものを選別する。
あ、これ美味そうと手に取ったのは初めて見るスナック菓子だった。
封を開け一つ口に入れるとあまりの美味しさにうま、っとつい声が漏れた。
その声を粛としていたさとみくんが拾って、こちらへ振り返った。
「どれ?」
これ、とその袋を突き出せば口角を上げて食いついてくる。
彼がそれを口に含んで、うま、と二人で笑い合う。
そうしたら彼がこれも、も次々にお菓子を開けてこれは美味い、これは微妙だと意味のない選り分けを行った。
スーパーの試食コーナーの様な感覚で、二口程食べては新しいものを開けて。
やがて机の上には二人で食べてるとは思えない量のお菓子が広がった。
「ちょっと開けすぎたな」
ケラケラ笑ったさとみくんに釣られて、俺も笑う。
明日みんなも呼んで食べようよ。そう言おうとした口をきゅっと塞いだ。
まだ、二人だけの話をしたいから。
「りいぬ飲むべ」
そう言ったさとみくんがコンビニ袋の中から酒の缶を手に取り、二つ分炭酸の音を立て開けた。
片方は俺に渡して、もう片方は自分の口元へ。
「これお前のより遥かに度数高いんだけど」
「まぁまぁまぁ」
そう言って握った酒缶に、さとみくんが自分のをコツン、とぶつける。
それからグイッと勢い良く飲み始めたさとみくんを見て、仕方ないと俺も唇に缶を当てた。
彼の方を見ながら飲むと、ごくりと喉仏が動いて。
そんな姿を見つめてしまう。
「……ん?…なぁに見てんのりいぬ」
「…うわっ、離せ!見てないから!!」
ニヤニヤしながらさとみくんはこちらに寄ってきて、きゅっと腕を掴まれた。
押し倒されそうになって、必死にさとみくんを押す。
「かわいい」
「…うるさい、」
そっぽを向くと、それを戻すようにキスをされる。
結局体格に大きな差があるさとみくんには勝てなくて、硬い床に押し倒された。
コツンと床に当たった頭に痛みが走る。
「痛いよさとみくん」
「ごめん、」
微笑しながら言われて、また口づけされる。
それが段々唇から首元に降りていって、首筋に熱い吐息がかかってからそこをぢゅっと吸われて鬱血痕を付けられる。
「なんでつけるの、ばか」
「前のが薄くなってたから。虫除けしてあげてるの」
一つ目に納得行かなかったのかもう一つ首に血痕を付けられて。
隠すの大変なのになぁ。
「…りいぬ」
「……なに、」
「あげたいものがあるんだけど」
掴まれた腕が解かれる。
さとみくんの手を取って上半身を起こすと、彼は目を伏せて幸せそうに笑った。
それから立ち上がって、ちょっと待っててと言うと鞄をゴソゴソと漁りだし、白い小さな紙袋を持ってきた。
「…」
中から優しく白い箱が取り出されて、俺の前にそれを差し出す。
「…莉犬、」
ぱかっと箱を開けると、シルバーのリングに小さく桃色の宝石が付いた指輪があらわになった。
「……さとちゃん、これ」
「…来年の誕生日プレゼント、な?」
左手を優しく取られて、薬指にそのリングを嵌められる。
ぴったりとハマったその指輪にさとみくんが口づけして、伏せた瞳はこちらを見つめた。
「…ほんとは当日にあげたかったんだけどさ、りーぬ可愛すぎて我慢できなかった」
「…っ、ばかさとみ…」
瞳に張った涙が限界に達して、頬をつたう。
涙は顎まで流れて、ズボンにぱたりと落ちシミを作った。
泣いちゃって悔しい。でもすっごく嬉しい。
「もらってくれる?」
「…当たり前だろ、」
「はは、泣くなよ」
そうやって優しい手で涙を拭ってくれるから、もっと泣きそうになる。
こんな情けない顔を見られたくなくて、俺はさとみくんにぎゅっと抱き着き胸板に顔を沈めた。
「りーぬ?こっち見て、」
先程に述べた通りこんな顔、見られたくなかったのでブンブンと首を横に振った。
そんな俺にさとみくんは見せてよ、笑って俺を引き剥がした。
「これ、りーぬが付けて」
そう言って差し出されたのは俺のより一回り程大きい、先程と同じリングに、桃色の宝石の部分が赤くなっていた。
「これさとみくんの?」
「そ。りいぬが嵌めて」
差し出されたリングを手に取る。
そしたら今度はさとみくんが手を差し出してきて、その左手を自身の掌に乗せた。
薬指に指輪を嵌めれば、さとみくんが微笑する。
ぐいっと引き寄せられ温かい匂いがしたと思ったら、彼の腕の中にいた。
少し肩が冷たくて、俺と彼は同じ気持ちなのかと思うと嬉しくて、繋がっている気がして。
「さとちゃん泣いてる?」
「…泣いてねぇ」
「ふーん、」
俺肩冷たいけど、と付け足すとずびっと鼻を啜ってから泣いてないともう一度言った。
さっきまであんなにかっこよかったのに、急に可愛くなるんだから。
さとみくんの髪をやおらに撫でると、嫌がるようにもっと強く抱き締められる。
「さとちゃん?」
「りーぬ、ねむい」
突然呟かれた言葉に笑いそうになる。
絶対うそ。
照れ隠しの為かもうベッドに行こうとする彼が可愛くて、いつものやり返しを込めて意地悪しようと思う。
よしよしと小さい子をあやすように頭を撫でて、背中をトントン叩いてあげれば急にぐいっと腰を持ち上げられる。
うわっと声漏らし驚いて、さとみくんの顔を見れば目尻を赤くした顔は少し不貞腐れている様に見えた。
「も、急にびっくりしたじゃん」
そう言っても彼は返事をせず、抱き上げられたまま寝室へと入っていく。
ぼふんとベッドに二人して倒れて、さとみくんと目があった。
彼は俺に悔しそうな視線を向けたあと、まずは腕を掴んで大きな体に引き寄せられて。
それから足も絡められて、さとみくんの抱き枕にされた。
少し足を動かしてみても抜け出せなくて、相当強く抱き締められている。
「…さとみ、」
「…もう寝るから、りーぬも寝ろ」
「おれ眠くないもん」
「俺は眠いの、それにりーぬは俺の抱き枕なんだから一緒に寝るの」
「おれさとみくんの抱き枕になった覚えはないんだけど」
そんな事を溢せば頭に手を添えられ、顔を胸板に押し付けられる。
彼の心臓の音が聞こえるそこは心地が良かったけど、これじゃさとみくんの顔が見えない。
「さとちゃん、顔見せてよ」
「……むり、」
「なんで」
「すげー情けないからむり」
「…いいじゃん、かわいいよ」
俺のペースに飲み込まれていくのが嫌だったのか、可愛いのはお前だけで十分、と言われてしまう。
そろそろ語尾が弱々しくなり、ほんとに眠くなってきたのかと思った頃には彼の腕の力が抜けていた。
やっぱり、さとみくんは可愛い。
「…おやすみさとちゃん」
「…ん、おやすみりいぬ」
クーラーの風で、カーテンが揺れる。
あぁ、いつの間にか雨は止んでいた。
寝れなくてもいいから、こうしていたい。
彼の心臓の音を片耳に、あたたかい匂いに包まれゆっくり瞼を落とした。
***
朝。
どんな夢を見ていたのかも忘れる程、目の前の愛しい彼女に目を奪われた。
揺れる長い睫毛が白い肌によく目立っている。
俺は彼の左手を起こさないよう優しく取り、自身の左手と重ねた。
俺より随分と小さく細い指に、お揃いのリングが光っている。
息を呑んだ。
本当に、彼は俺のものなんだ。
「……」
未だあどけない顔で眠る彼にキスをする。
昨日、泣きながら嬉しいと喜んでくれた顔。
俺に指輪を嵌めたときの幸せそうな顔、ベッドの上で見せた少し大人っぽい顔。
どこを切り取っても声が出なくなるくらいお前は綺麗で、誰にも渡したくなくて。
どこかに行ってしまわないように、昨日の夜のようにぎゅっと強くその体を抱き締める。
end
コメント
24件
最高でした‼︎
フォロー失礼します🙇♀️"