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にきりちょ
仮病
暴言、罵倒表現1部あります
伽羅崩壊注意
「 りぃちょ 」
「 もう撮影始まるんだけど 」
電話越しでも感じ取れるほどの怒りを
放つニキニキに、俺は言葉が出なかった
いや、出せなかった。既に息はしずらくて
鼓動早く胃もなんだか苦しい
「 また休むん ? お前 」
「 どーせ仮病なんだろ 」
「 … ごめんなさい 、 」
「 胃が痛くて 」
「 今日のスケジュール台無し 」
「 もうちょい反省しろや 」
怒声を永遠と浴びせられるこの環境に
段々と力が抜け耐えられなくなる
俺の所為で撮影が水の泡になって、皆の
貴重な時間を奪って、自分は休んで
罪悪感で今にも潰れそうな俺には誰も
気付くわけもなく時間だけが過ぎる
「 ごめん 、 なさい … 」
「 ニキニキ 、 ごめんなさい 」
「 謝って済むと思うなよ 」
「 もういいわ 、 お大事に 」
そう言ってさっさと通話を切られる
また、迷惑をかけちゃったな
こうなってしまったきっかけは、
アンチを意識し始めた事だと思う
毎日のようにつく批判のコメント
何度消しても次の日にはそこにある
大抵の事なら傷つかない、跳ね返すという
イメージを背負ってるからこそ
誰にも助けを求めなかった
自分の弱さを、さらけ出せなかった
「 っんぐ" 、 うぁ 、 」
「 ごめ 、 なさ 、ぁ … 」
ただ壁に向かって謝る事しかできない
愚かな俺を、誰が見てくれるんだろうか
もう、正直消えてしまいたい
きっと誰も、俺の事なんか見ていない
血色の悪い自身の頬を伝う涙を
ぐし、と少し雑に拭う
身体は以前より痩せた。食欲も睡眠欲も
何もかもがなくなってきているから
そんな自身の身体でさえも汚らわしい
弱ったらしい自分をもう見たくない
「 … にき、にき 」
「 さっきは … ごめん 、 なさい 」
そう一言、メールを送信する
これを見たら多分、余計に怒るだろうけど
でも、心の底から反省はしてる、
ごめんねニキニキ
大丈夫だよ、こんな神様の駄作
さっさと壊してあげる
「 … あー怖い 、 なにこれ 」
「 これで全部本当に 、 終われるかな 」
俺の家はマンションで、屋上は子供達が
遊べるような小さなスペースがある
子供では簡単に乗り越えられない柵を
俺はいとも容易く乗り超える
「 … ニキニキと 、 話したい 」
携帯の電源を入れ固定してある彼の
プロフをさっと押し電話をかける
出てくれるかな、怒ってるかな
不安がいっぱいの中彼は電話に出た
「 なに 、 今更 」
「 あんま話したくないんだけど 」
「 … ニキニキ 、 ごめん 」
「 俺の所為で不快な気持ちにさせて 」
「 わかってんならいいよ 」
「 もういい? 」
「 まって 、 言いたいことがあるの 」
「 言いたいこと ? なに 」
「 俺なんかをメンバーに入れてくれて 、
ありがとう 、 嬉しかった 」
「 … おう 」
「 ニキニキが俺に沢山掛けてくれた言葉
今でも覚えてるよ 、 ちゃんと 」
「 ちょ、たんま 」
「 別れみたいなこと言うなよ 」
彼の少し焦りや心配が重なった声を聞いて
何となく、覚悟ができた
「 ねえ、にきにき ? 」
「 世界でいちばん 、 愛してたよ 」
「 は 、 ぁ … ? 」
「 待って、りぃちょ、 !!! 」
彼の言葉を聞き終えた直後、俺は空を
抱き締めるかのように軽く飛んだ
ひゅーっと、冷たい空気が肌を通り抜ける
その間も、スマホは離さずそっと抱き締めた
これで終わりだね。