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『人が手をつなぐのは、痛みや不安を和らげるから(チコちゃんに叱られる!より)』
失敗した。
墜落するヘリから脱出する際、ブレードが腕に当たってしまった。肩下から綺麗にカットされた左腕は、パチパチと弱い火花を咲かせながら倒れた私の目の前にある。
(砕けたわけじゃないから接続は簡単だな)
と症状を冷静に判断できるくらいの体力は残っていた。
《利確、できました!》
《ケイン先輩どこですか!》
運良く警察にはバレていない所に私はいるらしい。構成員たちのヒントをYES/NOで答えていく。
《見つけた!マーくん、〇〇の沢に向かって!》
《了解!》
しばらくすると、ジョアさんの車のエンジン音が聞こえてきた。
再起動。
視界がゆっくり鮮明になってくると、私は病室のような場所に寝かされていた。
「ケイン先輩」
「…おはようございます、ここは」
よくよく見ると、墓場の診療所内。個人医にピックしてもらえたのか。
「…ところで、ジョアさん」
「?」
「何故手を繋いでいるんでしょうか?」
私の右手をしっかり握っている事が不思議でならない。
「あ、腕痛そうだったから…手を繋ぐと和らぐって聞いたことがあって」
「ジョアさん、私痛覚はないですよ」
「!!」
顔を真っ赤にして手を離し、
「すいません!!!」
慌てて外へ出て行ってしまった。
「あれ?ジョシュアさん外行っちゃった?」
奥から主治医が顔を出した。
「優しい方ですね、ケインさんが起きるまでずっといらっしゃったから」
「…」
「お大事に」
「ありがとうございます」
外に出ると、エンジンのかかっていない車が1台。覗くと運転席でうずくまるジョアさんがいた。ゆっくり助手席のほうへ移動すると、勢いよく運転席ドアが開く。
「すみません!気づかなくて…」
と、助手席のドアを開けに回る。
あなたの思いやりを無下にした。
傷つけたのに、それなのに。
人の優しさ、とはこういう所なんだろうか。
学習せねば。
優しいあなたを傷つけないように。
ぼーっといきてんじゃねーよ?ってねw
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。