テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
───────────────────
︎︎⚠︎︎注意⚠︎︎
・ご本人様方には一切関係がない
・捏造、妄想要素が激しい可能性あり
・特徴を捉えきれていない部分が多々あり
・恋愛要素はないが友情的てぇてぇ要素が多い?
・【Potion Craft】というゲームをオマージュしている設定、名称が多い。
※GTAの役職も人物設定に関与している
・投稿頻度がノロマかつ不定期
───────────────────
行ってらっしゃいませ〜〜
「突然すまない、ここの店主は不在だろうか!」
カウンターの方からそう聞こえ、俺は目を覚ました。どうやら、研究中にうたた寝をしてしまったようで、周囲は分厚い本やインクの滲んだ紙、薬草などが雑然と散らかっている。やってしまったという後悔に駆られとりあえず伸びをするも、自分が目を覚ました理由を思い出し、すぐさまカウンターへと向かった。
「すみません、出てくるのが遅くなって。」
「あーいや、さっき入ったばかりだ。そんなに待ってはいない。」
「そりゃ良かった…。えっと、今日はどんなポーションをお望みで?」
「うむ。私は王都の騎士団に属しているのだが、最近、西の洞窟に住み着く火竜が暴れ回っている、という情報を耳にした。私たち騎士団の一隊は、その調査と必要であれば討伐をと命じられたのだが、力自慢ばかりで魔法耐性のある者が少ない。もしもの時のため、火竜の攻撃を防ぐポーションなど売ってはもらえぬだろうか。」
「火竜…それなら【耐火ポーション】とかが良さそうっすね。暴れ回ってるなら威力も相当ありそうだな…、なるべく効果の高いポーション処方したいんで、ちょっと時間貰っていいすか?」
「もちろんだ。ぜひ頼む。」
〈耐火ポーションの作り方〉
①臼に爽涼の葉とミズハナ、魔女キノコ、霧サファイアを入れてすり潰す
②水の入った大なべに①を入れる
③大スプーンでかき混ぜる
④ ひしゃくで水を足して微調整
⑤ ふいごを使って一気に熱す
⑥微量の冷却・保存魔法をかけたびんに移す
⑦コルクで栓をしてラベルを貼り付けたら完成
作業中、あまりにも手際が良すぎたのか、顧客の感嘆する声が聞こえてくる。王都の奴をあまり好いてはいないが、その素直な反応につい笑みが溢れてしまった。いくつか個数が必要という注文も受けているため、気を取り直して手を進める。その後は、彼と談笑(交渉)しながら紙袋に詰めていくのだが、何気なく竜について知っていることを織り交ぜてみた。案の定、彼は話に食いついてくれたため、ポーションの高額買い取りと回復や霜、睡眠ポーションなどの追加購入を頼んでくる。なんと、効果切れを迎えようとしていた在庫ポーションたちに、思わぬ引き取り手が現れたのだ。そこまで想定はしていなかったが、俺は大喜びでポーションを詰めていく。そうして、一見重たそうな2つの紙袋を軽々と抱え、顧客は去っていった。
──────数日前。
(カランカラン)
「たのも〜う。」
「お、来たな。どうだった?」
「なんと交渉成立、魔女キノコいけるってさ。」
「マジぃ?さすがらっだぁさんだわ。それは最高以外の何者でもないぜ。」
「うんうん、そうだよね。他には?」
「…他には!?(笑)かっ、かっこいいーとか?」
「うんうん、もっと。」
「めんどくせぇ奴だな。」
らっだぁはふふっと笑い、ところで〜と話を逸らす。一方的に、俺が振り回されているように見えるだろうが、過去に同じくらい振り回したことがあるので何も言えない。また、甘えたり甘えられたりが出来る関係は非常にありがたいことなので、仕方なく話を聞いてやる。
「明日、ぺいんとと西の洞窟に探検行こうとしてるんだけど、ぐちつぼも来るっしょ?」
「ェ?そりゃまたなんで西の洞窟なんかに?」
「いや普通におもろそうだし、試しに行こうぜーって。」
「あぁ、まぁそんな魔物とかは出ないらしいから心配することはねぇな。行ってらっしゃい。」
「え?いや行くよね?」
「…行かないぜ?俺は生憎暇じゃないからな。探検自体はおもろそうなんだけどな…うん、ポーションの研究も今は手が離せなくて…(早口)」
「でも、めちゃくちゃ欲しがってた鉱石とか、珍しい水晶が採れるらしい「よし、行こうぜ。」けど……はや(笑)。」
そんなこんなで、治癒士しかいない3人パーティの冒険が決まってしまう。俺の情報が正しければ、あそこに魔物が出ることはそうそうないため、特に問題は起きないだろうと思っていた。とにかく水晶と鉱石が採れるなら、と遠足気分で着いて行ったが、そりゃあもう大変な思いをした。
「ぐちーつ!!これじゃない?さっき言ってた炎黄水晶ってやつ。」
「…間違いねぇこれだ。とぅーーん!?やっぱとぅんさんなんだわ。」
「へへへっ、じゃあ根こそぎ採っちまおうぜ…。」
「ホホーーーウ!!」
「ぐちつぼ〜?この青いやつも水晶?」
「ウヘェーーー!?ハハッホッホッヘァッ…!!」
「OK、やるわ。」
王都の出店やドワーフから仕入れたら予算オーバーで頭を抱えるところ、ここ西の洞窟では少し苦労するだけで山のように採れる。何体か魔物はいたがせいぜい下級レベル、この2人がいればどうってことない。そう油断していたのが良くなかった。
「…これも炎黄水晶かな?(ボソッ)ぐちーつー、これも採れるやつだ!」
「採っちまえ採っちまえ!!大漁だ〜〜。」
しかし、ぺんさんがツルハシの刃を立てたのは炎黄水晶ではなく、火竜の足だった。そこからの記憶はあまりない。ただ、鉱石と水晶の入った鞄を抱え、奴が吐き出す炎に反撃することも出来ず、ひたすら逃げたことだけは覚えている。
(まずいことになったな…。)
うたた寝の罪悪感を晴らすため、俺は素材倉庫の片付けをしに来た訳だが、先ほど使った霧サファイアだけでなく、様々な水晶・鉱石類の在庫切れを知った。なら西の洞窟に、と思ったがあの悲惨な逃走劇が頭をよぎってしまい、一気に気が引けた。買える金はあるものの、すぐに仕入れてもらうのはあまりにも自分勝手で、商人に申し訳が立たない。さてどうしたものかと歩き回り、頭を悩ませていると聞き馴染んだ声がした。
(カランカラン)
「ぐちーついる?」
「お、とぅーんじゃん。」
「いつものポーションお願いしたいんだけど、急いで来たから材料これしか持ってこれなくて。」
「おぉいいぜ〜…。あ、待てよ。」
「やっぱあの水晶必要だったよね?マジでごめん…買えなかった。」
「いや、そうじゃなくて!油に変えれば節約出来るな…って。」
「油…?水を使わないってこと?」
「まぁまぁ、見てなって。」
〈いつものポーションの作り方〉
①臼にカミナリアザミとミズハナ、つむじ草を入れてすり潰す
②油の入った大なべに①を入れる
③大スプーンでかき混ぜる
④ ひしゃくで油を足して微調整
⑤ ふいごを使って一気に熱す
⑥微量の冷却・保存魔法をかけたびんに移す
⑦コルクで栓をしてラベルを貼り付けたら完成
(より少ない材料で効果を出すなら油を使え、って先生に言われたな…。どんな顔だったかはあんま思い出せねぇけど。)
油を使用したポーションの口当たりは、水の時よりやや重く、材料で使った薬草が香ばしく香る。ドロッとして飲みづらいということはなく、思っているよりあっさり流れてしまうのだ。ちなみに、この【アンチマジックポーション】はぺんさんが飲むものではない。彼の治療した患者が、マナ中毒を起こし面倒な症状が出ないよう飲むものだ。そして、いつも通り紙袋がいっぱいになるまで詰め込み彼に手渡す。
「いつもごめんね。こんな数お願いして。」
「いいってことよ。」
「…あのさ、今日ハーブティーとか貰える?」
「…いいぜ、ちょっと待ってな。」
「ありがと〜。」
(あの感じはまたなんかあったんだな~。ちょうど新作のハーブティー飲ませたかったし、久しぶりにぺんさんの本音が聞けそうだ。)
そう口角を上げながら、いそいそと裏庭に行きレモンバームというハーブを積みに行く。摘みたてを手早く洗い、水を切っているとタイミング良くお湯が沸騰した。その後は、ティーポットにハーブとお湯を入れ、5分蒸らさなければならない。カウンターに移動させて、カップを出すなり色々準備をして待とうとすると、ぺんさんが口を開いた。
「俺のヒールってさ、なくなった手とか足とかを元に戻せるじゃん?」
「…うん。」
「あの人が言ってたように、このヒールを使う相手は慎重に選ばなきゃじゃん?」
「うん。」
「でも俺は困ってるなら誰でも助けたくて…。命の優先順位とかは、平等でありたいって思ってて……。」
「うん。」
「ただこの前ふと、市民の方とぐちーつ、もしくはらっだぁが重傷を負って倒れていたら…。そんな縁起でもないこと、本当は考えたくないけどねッ!?」
「うん(笑)」
「俺、多分ぐちーつやらっだぁを優先して助けちゃうな…って……。そんなの自分勝手だし治癒士としての俺の志、脆くて弱いなって思っちゃって。」
そこまで聞いて思い浮かんだのは、らしくねぇなという言葉だった。それと同時に、俺らの光であるぺんさんにもこんな弱い所があったのか、と知れて安心する。そして、出来上がったフレッシュハーブティーを彼に差し出すと、緩く微笑んで口をつけた。ここまでよっぽど不安だったのか、飲み終えた後の一息はか細く震えている。あいつのように優しく、そっと包み込むようなメンタルケアが出来ればいいのだが、ぺんさんはあくまで俺に打ち明けてくれた。なら、俺なりに光を灯してあげるのが筋である。
「命の優先順位だかなんだか知らねぇが、俺らはぺんさんのヒールに頼るほどやわじゃないぜ。」
「……そう、かな。もしかしたら、ありえるかもよ?」
「いーやないね。てか、命を選ばずともぺんさんは全員救えるぜ。助けたいって言うその人一倍強い気持ちは、ちゃんと力になってんだからよ。つまり、ぺんさんは十分強いし凄いし、最強の治癒師だ。」
「……そっか、そうだよね。ありがとうぐちーつ。……あ、でも!2人は怪我とかしないで隣か後ろにいてよ?マジで絶対いてよッ!?」
「任せろって(笑)」
「ふふっ、ほんとかな〜(笑)」
拙い言葉だったように思うが、こうして眩しい笑顔が向けられると、杞憂だったなと思い直す。そして、おかげで元気が出たと言って貰えたのは、そっくりそのまま彼に返したい。こっちは会う度、いつも元気を貰っているのだ。しばらく経ち、ハーブティーが売り切れる頃には、彼の不安も綺麗さっぱりなくなっていた。俺のポーション作りも彼の無い部位を復活させるヒールも、創造を成すという意味では同じで、お互い相当な苦労をしているらしい。そんな時は、疲労を癒すハーブティーとアブラカタブラとかいう呪文さえ唱えれば、あっさりなくなるのだ。
意外と、あっさり。
コメント
2件
コメント失礼します!一気見しました。元ネタゲームすごいいいですよね!素材というでかい壁さえ乗り越えればすごい楽しい研究系ですよねー久々にやろうかな ストーリーも天才的ですね*.+゚ ゲームネタとキャラネタを組み込むのがすごい上手ですね!長文失礼しました。