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「できるわけないでしょう。震えている貴女を見て強要させるほど愚かではありません。」
「それに、アタシたちの中には犯人はいないって信じるわ。だから花月チャンもアタシ達のこと信じてくれる?」
2人の表情が切なくなる。信じていても心の中では不安なんだ…。
それなら私は…信じなきゃ。二人のためにも…みんなのためにも。
「あの、私もお二人にお聞きしたいことがあるのですが。」
「聞きたいこと…ああ、柚のことですか?」
一瞬険しい表情を浮かべる悠夜さん。まだ私が触れてはいけない領域。
「そのことではなく、皆さんのことです。」
「アタシ達のこと?」
2人は不思議そうな顔をしている。私……変なこと聞いた…?
「皆さんにもご家族はいらっしゃると思うのですが、なぜこの屋敷で生活をしているんですか?」
「ああ、そのことですか。私たち純血種は貴重な後継者候補なので、危険が及ばぬよう協会の目が届くところで集団で生活をすることが義務付けられています。親元で生活をする者もいますが、セキュリティの弱さゆえに家族を失うものが多いので。」
「そう…なんですね。寂しくないですか…?」
「寂しさ…どうですかね。幼いころはそのような感情を持つものもいたとは思いますが、人生のほとんどを共に過ごしていれば今のこの屋敷が家族のようなものです。」
「それに、こうやってみんなで生活していれば吸血鬼協会から生活に必要なものは支給されるの。その代わり…いえ、何でもないわ。」
何かを発し口を閉ざした泰揮クン。気のせいだよね…?
「さあ、これ以上話していたら体に響くわ。話は終わりにしましょ。花月チャン、手を出して。」
ニコニコ笑い自分のポケットから何かを取り出す泰揮クン。
「それは…?」
「GPSつきのイヤリングよ。これをつけておいてもらえる?」
「これをつけていていただければ、もし貴女に何かあったときすぐに居場所を特定できます。学校も申請すれば装飾品をつけることは可能ですので。」
「すごく、きれいですね。」
「当然です。泰揮が作ったものなのですから。」
「素敵なイヤリングをありがとうございます。」
「うふ、ありがとう。さ、これ以上は体に響くからお部屋で休んでね。」
「何かあったらすぐに呼んでください。」