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第二十一話 写真の場所
次の日の放課後。
彼女は昨日の写真を、もう一度開いた。
何度見ても、特別な場所には見えない。
ただの道。
その奥に建物があって、
少し離れたところに木が並んでいる。
それなのに、なぜか気になる。
理由は分からなかった。
その夜。
いつもの時間にサイトを開く。
『昨日の写真、まだ見てる?』
先に届いたメッセージに、彼女はすぐ返した。
『見てる』
『やっぱり気になる?』
『うん』
『俺も』
少しして、もう一枚写真が送られてきた。
昨日と同じ場所。
今度は少し違う角度から撮られている。
『今日、もう一回行ってきた』
『また行ったの?』
『気になったから』
『何か分かった?』
『少しだけ』
彼女は画面を見つめた。
『何?』
しばらくして、返事が届く。
『この場所、前にも来たことがある気がする』
『昔?』
『たぶん』
『何歳くらい?』
『分からない』
『一緒にいた人は?』
少し長い沈黙。
『……分からない』
それ以上は聞かなかった。
でも、昨日の話が頭をよぎる。
昔の約束。
誰としたのか分からない約束。
そして、写真に残っていた言葉。
――また、ここで。
全部が少しずつつながっているように思えた。
『その写真に書いてあった言葉って、やっぱり気になるね』
『うん』
#溺愛
桜咲かな
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#百合
『「また、ここで」ってことは、一度来たことがあるってことだよね』
『たぶん』
『じゃあ、誰かと約束したのかな』
『……そうかもしれない』
彼女は、そこで一度指を止めた。
聞きたいことはあった。
でも、聞いていいのか迷った。
『その人のこと、思い出したい?』
送信。
しばらく返事がなかった。
やがて、
『分からない』
と届いた。
『思い出したら、何か変わる気がする』
『怖い?』
『少し』
彼女はその言葉を見つめた。
今まで、相手の過去について
ここまで聞いたことはなかった。
それでも、今は少しだけ分かる気がした。
「知りたい」と「怖い」は、同時に存在する。
『じゃあ、無理に思い出さなくてもいいんじゃない?』
『でも、気になる』
『なら、ゆっくりでいいよ』
少しして、
『ありがとう』
と返ってきた。
それから二人は、過去の話をやめた。
会う日に何をするか。
どこで待ち合わせるか。
そんな話をしているうちに、
いつもの空気に戻っていく。
けれど、最後に彼が一つだけ言った。
『会ったとき、写真見せるね』
『うん』
『そのとき、何か思い出せるかもしれない』
『思い出せなくてもいいよ』
『……うん』
その夜、彼女はなかなか眠れなかった。
写真の場所。
そこにいた誰か。
そして、過去に交わされたらしい約束。
まだ何一つ確かなことはない。
ただ一つだけ。
彼がその場所に
強く惹かれていることだけは、分かった。
そして彼女もまた、その写真を見るたびに――
理由の分からない
懐かしさを感じるようになっていた。
コメント
4件
ならよかったですー! 楽しみにしててください! ありがとうございますー!
第21話、読んだよ。写真の場所に引かれる二人のやりとりが切なくて、でも温かい。『また、ここで』の言葉がじわじわ効いてくる。一体どんな約束だったんだろう…。続きがすごく気になる📸