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ルル
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【原作の展開】> 『監獄のデザイア』第五章『血塗られた毒味祭(地獄の調理実習)』。
監獄学校『ディスペア』のサバイバル実習の一環である調理実習。
原作では、毒草や魔獣の猛毒部位を材料に「致死性の高い毒薬・毒料理」を作成し、他の班と毒味させ合うという胸糞凄惨イベント。
影の支配者ルシアンは、調理場全体に「万物を腐敗させる暗黒の呪術」を撒き散らし、料理を作った生徒から順に壊滅させ、学園全体を絶望の毒沼へと変える凄惨な章であった――。
【ルシアン視点の実際】
「……なるほど! クッキング&スイーツ作成実習か!」
俺――ルシアン・ヴァルハイトは、調理室の前に掲示された「作れぬ者は即座に胃袋を焼かれて死す」という物騒な看板を見上げ、爽やかにうなずいた。
定期テスト(※教員の脳を書き換えた全全ノロケ問題)も無事に終わり、アイリスちゃんとのパフェ打ち上げも大成功。
そして始まったのは、まさかの調理実習だ。
(まあ『胃袋を焼かれて死す』とか書いてあるけど、要するに『失敗してマズいものを作ったら先生に怒られる』っていう料理イベントの定番ギャグでしょ! 監獄学校は表現が大げさだなあ)
相変わらず脳内お花畑な俺は、地獄のルールをすべて「放課後の料理ラブコメ」へと全自動変換していた。
しかも今回は、班分けで**アイリスちゃんとペア**になれたのだ!
(勝った。放課後の調理室で『あ~ん』し合ったり『エプロンの紐を結んであげる』イベントが発生確定だ!!)
俺が脳内でウエディングベルを打ち鳴らしていると、アイリスちゃんが小さなエプロン姿でトポトポと歩み寄ってきた。可愛い。天使か?
「ルシアンくん、私、お料理得意じゃないから……足引っ張ったらごめんなさい……」
「大丈夫だよアイリスちゃん! 俺が全力でフォローするから、二人で世界一甘くて美味しいバレンタイン(※季節外れ)クッキーを作ろう!」
「うん……! ルシアンくんとなら、すごく楽しく作れそう……♪」
二人の間に甘い空間が完成したその瞬間、隣の班のミーナちゃんが泡を吹きそうな顔で突っ込んできた。
「アイリス正気!!? 周りを見て!! みんな魔導ナイフで猛毒のサソリや毒草を刻んでるんだよ!? なんであなたたちの調理台だけピンク色のお砂糖とハート型の型抜きが並んでんの!!?」
「え? みんないかついスパイス使ってるんだね。エスニック料理かな?」
「毒薬だよ!!! 会話が通じない!!ルシアン、あなたさっき調理場の巨大オーブンを覗き込んだだけで、オーブンの魔導火が『恐れ多かった』みたいに消え失せたんだけど!? 今日は何を壊すつもりなの!?」
「え? 予熱の温度が高すぎたから調整しただけだよ。エコだね」
「火力を恐怖で滅殺しただけでしょ!!! 胃が痛い通り越して吐き気がしてきた!!」
ミーナちゃんは自分のエプロンで顔を覆って撃沈していった。
料理の匂いで酔っちゃったのかな? お水あげなきゃ。
【原作の展開との対比(シェイド&ジローの解釈)】
その頃、調理室の換気ダクト裏。
「シェイドの旦那……ルシアンの兄貴が砂糖とバターを混ぜ始めましたわ……!」
関西弁の情報屋ジローは、ガタガタと震えながら報告していた。
「あ、あのピンク色の練り物、一体どんな致死性の高い化学兵器ですの……!? 食べた人間の細胞を即座に溶かす古代の毒薬ですか!?」
「フフフ……甘いな、ジロー」
暗闇から現れたシェイドは、冷徹な笑みを浮かべてメガネを直した。
「ボスは……調理場全体の『毒の概念』を無意識の圧で書き換えられたのだ。他生徒が作っている猛毒料理の毒素をすべて無力化し、ご自身が作る『超高濃度糖分兵器(ハート型クッキー)』の甘味の圧だけで、全校生徒の精神を完全麻痺させるおつもりだ……!」
(『無茶苦茶や!!!』)
ジローは心の中で声が枯れるほど叫んだ。
(ただの『アイリスちゃんと一緒に作ってるクッキーが美味しく焼けるように、周りの毒物の匂いを無臭化(圧迫消滅)させた』だけやろがい!! どこが超高濃度糖分兵器やねん!! ただのバレンタインの予行演習や!!)
「……ジロー、焼き上がったクッキーを載せるための『純銀の高級プレート』の準備を急げ。ボスの深謀遠慮を滞らせるな」
「毒薬の実習で銀食器の手配かい!! ほんまこの学校狂っとる(泣)」
「くそっ……! これが……これが『血塗られた毒味祭』……!!」
勇者アーサーは、自分の調理台で紫色の毒スープを前に汗を流していた。
原作通りの展開なら、ライバル生徒から毒を盛られ、激しい死闘が繰り広げられるはずだった。
だが――アーサーの【直感】が、狂気的な違和感を察知した。
(な、なんだ……!? 俺の作った致死率100%の猛毒スープが……急に『ただの美味しいミネストローネ』みたいな良い香りに変化している……!?)
見回すと、他の生徒たちが作った毒料理もすべて毒素が分解され、ただの無害で美味しい料理と化していた。
(しまっ……! ルシアンだ! 奴は調理場全体の概念を書き換え、この過酷な毒殺空間を『ほのぼのクッキング教室』へと変貌させたのだ……!!)
ふと見ると、中央の特等席でルシアンがアイリスと並んでオーブンを覗き込んでいた。
「わあ、ルシアンくん! クッキーが綺麗にふくらんできたよ!」
「本当だ! アイリスちゃん、焼きたてを半分こして食べようね!」
(終わった……!!)
アーサーは絶望に打ち震えた。
(あそこだけ……あそこだけ完全に『別ジャンルの甘々ラブコメ作品』の空間が展開されている……! ルシアンは『毒殺と生存競争』という学園の根幹ルールすら、一人の少女とイチャつくための背景へと成り下がらせたのだ……!!)
ルシアンがふと振り返り、焼き上がったハート型クッキーを手にアーサーへ爽やかな笑顔を向けた。
(『貴様らの毒など、俺とアイリスの甘い愛の前には無力』……そう言いたいのかルシアン……!!)
「くそっ……! 敗北だ……! 俺たちの毒では……奴の『ラブコメ時空』を1ミリも汚すことすらできない……!!」
アーサーは毒スープの玉杓子を握りしめたまま、静かに膝を突くのだった。
「ふぅ〜! すごく上手に焼けたねアイリスちゃん!」
「うん! ルシアンくん、あーん……あ、ううん、やっぱり自分で食べる?」
「ううん! あーんしてほしい!!」
「ふふ、じゃあ……はい、あーん♪」
「……!!(美味すぎて昇天)」
(いや〜、監獄学校の調理実習、みんなで作った料理を見せ合いっこしてすごく良い雰囲気だったな! アーサーくんなんて自分が作ったスープが美味しくできすぎて感動のあまり膝ついて泣いてたし、本当に熱い学校だなあ!)
自分が無意識の圧で調理場全体の毒素を全消去し、恐ろしい毒薬実習を「全自動ほのぼのお菓子作り教室」に上書きしたことなど1ミリも気づかず、俺はアイリスちゃんと焼きたてクッキーの味に酔いしれるのだった。
コメント
1件
みぅです🤍🥀 第7話、読み終わりました。 もうね、ルシアンくんの脳内お花畑が炸裂しすぎてて笑った😂 「毒薬実習」がまさかの「あーんクッキング」に変換されてるの、ダーク設定とのギャップが気持ちよすぎる〜。アーサーくんが膝ついて「敗北だ…」ってなるシーン、めっちゃ好き。ミーナちゃんの胃痛そうなツッコミもリアルで草。 シェイドとジローの解釈違い会話も毎回面白いし、この作品の「重い設定×軽い主人公」のバランス、本当に天才だと思う🌙 続き、静かに待ってます。