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憂鬱なネタになる、合同プロジェクトが発表された次の日、微妙な心情で出勤したら、なぜか顔見知りの新人が俺のデスクの前で立っていることに、思いっきり眉根を寄せてしまった。

「先輩、おはようございます♡」

「お、おはよ……」

小声で挨拶しながら部署の様子を窺うと、周りから視線が集中しているのがわかった。助け舟になるであろう上司はまだ出勤しておらず、一気に気持ちが落ち込む。

ものすご〜く居づらい現状から逃避すべく、いつものように上着を椅子にかけて、颯爽と出口に向かった。ワイシャツの胸ポケットにタバコがあるのを確認して歩を進めると、なぜか新人が満面の笑みを浮べて並んで歩く。

「先輩、いつもの一服ですか?」

「なんでおまえ、ついてきてるんだ?」

質問には答えずに問いかけると、新人は意味ありげなほほ笑みを浮かべた。

「先輩と僕はこれから一緒に、仕事をする仲ですよ。先輩のことなら、どんなことでも全部知っておきたくて。ちなみに、どうしていつも上着を脱いでるんですか?」

「暑がりだからだ。一服しないなら、部署に戻れよ」

「暑がりな先輩の汗を拭うために、一緒についていきます」

そう言って、例のスマホの画像を見せつける。それを目にしただけで、言い知れぬものが胸の中を支配し、拒否できなくなった。

「先輩も困るでしょう? 先輩に引っぱたかれた写真を、部署の方々に見せつけながら『島田先輩に叩かれたんです!』なぁんて僕が言ってしまったら、どうなるのか」

流暢に説明する新人に嫌気が差し、顔を背けて舌打ちをして、苛立ちをやり過ごした。

「くそっ、勝手にしろ……」

「先輩それと――」

「まだ、なにかあるのかよ」

ため息をつきつつ仕方なく返事をしたら、隣を歩く新人がメガネの奥にある瞳を意味深に細めて、俺を見下ろした。

「僕の名前は、おまえじゃありません。大和です」

「……名前呼びしなきゃダメなのか?」

くだらないやり取りをしてる間に、フロアにある喫煙所に到着。胸ポケットからタバコを取り出したら、火のついたライターが目の前に掲げられた。

「サンキュー」

「いえいえ、お役にたててなによりです」

きちんとお礼を告げてタバコを咥え、ライターに顔を寄せながら火をつける。朝おこなう至福のひとときなのに、コイツがいるだけで、胸の中に鉛を抱えてる気分だった。

「ヒート先輩っ♡」

「ぶっ!」

煙を吐き出すタイミングだったせいで、思わず吹き出してしまった。

恋の撃鉄(ハンマー) 挨拶からはじまる恋♡

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