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朝、いつもより少し早く目が覚めたいふがリビングに向かうと、キッチンからコーヒーの香りがした。
「あれ、初兎?」
「あ、おはよ。先に起きた。コーヒー淹れといたで」
ふつうの朝のやりとり。
――ただし、初兎が着ていたのは、明らかに自分のシャツだった。
白くて少しオーバーサイズ。
袖は手の甲まで隠れて、丈も太ももの中ほどまである。
「……それ、俺のシャツなんだけど?」
「うん、ちょっと寒かったし、目の前にあったから」
「……いや、かわいすぎやろ……」
つぶやいた声に、初兎は「は?」と眉をひそめた。
「なに言ってんだ、朝から気持ち悪っ」
「いやだって、似合いすぎ。サイズぶかぶかで、袖余ってて……」
いふは歩み寄って、袖口をくいっとつまんだ。
「これ、反則だよな……なんか、守りたくなる。襲いたくなる」
「ねえ、2個目おかしいやろ!」
「いや、どっちも本音」
顔を真っ赤にした初兎が、いふの胸をぺしぺしと叩く。
「朝からそういうモード入んのやめろ!」
「初兎がかわいいから悪い」
そう言って、いふはシャツの襟元を指で整え、そっと額に口づけた。
「……あと10分だけ、着てて」
「なんで」
「俺の理性、試すから」
「バカかよ……」
それでも脱がずにそのままコーヒーを差し出してくる初兎の目も、
少しだけ、甘かった。