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15cmの身長差

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15cmの身長差

4 - 第4話

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2025年05月29日

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ライブの打ち上げが終わり、みんなと別れて帰路につく。終電間際のホームで、初兎が小さくため息をついた。


「ふー、疲れたな……」


「おつかれ、よく頑張ったな」


そう言って、後ろからふいにふわりと腕が回された。


「っ……まろちゃん……?」


「ん。ちょっとだけ、こうさせて」


背中にぴったりと感じる大きな体温。

肩のあたりに、あごを乗せるようにされて、心臓が跳ねた。


「駅でやんないでや……!」


「誰もいないし、いいじゃん。疲れた初兎、抱きしめたい」


「……まろちゃん、言うこと全部ずるい」


「じゃあ、こう言おうか」


抱きしめる腕に、きゅっと力がこもる。


「今日もかっこよかったよ。ステージで歌ってるお前、すごく好きだって」


「…バカ……」


初兎はうつむいたまま、でもその手をそっと自分の腕に重ねた。


逃げない。振り払わない。

むしろ、そこに安心してるような温度だった。


「終電、来るよ」


「……あと30秒だけ」


いふの声が、耳元で低く囁く。

その声も、腕の強さも、全部ひっくるめて。


――この15cmの距離は、やっぱり心地いい。

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