テラーノベル
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何となく明日が来なければいいのにと思う。
それがたまたま今日だった。
すとぷりとして活動して10年が経つ今。
今までの経験や思い出全てが蘇る。
楽しかったライブ。
毎日のように送られてきた脅迫メール。
リスナーさんの笑顔。
そして、離れて行く人。
リビングに1人座って、目を瞑った。
涙ながら流れる自分にびっくりした。
俺の隣にはいつだってメンバーという仲間がいて。
俺の背中を見て育つ後輩がいて。
俺を励ます友達がいる。
そして、俺を応援してくれるリスナーさん。
その人たちのおかげで俺が成り立っている。
プルルルル
電話が鳴って、応答ボタンを押す。
るぅと「莉犬?」
莉犬「どーしたの、るぅちゃん」
るぅと「莉犬、頑張ってるね」
莉犬「えぇ、?笑笑」
莉犬「お酒でも飲んでるの?笑」
るぅと「んふふ、どうだろ笑」
莉犬「飲んだなぁこれは…」
そういえば少し前に後輩に連れられて、飲みに行くことになったことを教えてくれた気がする。
メンバー的に酒豪な感じがあるから心配ではあったけどるぅと君なら大丈夫かと1人安心しちゃったりしていた。
るぅと「莉犬、偉いね」
莉犬「るぅと君もでしょ?」
るぅと「ううん、違うもん」
るぅと「莉犬はねすごく凄く頑張り屋さん」
莉犬「分かったから笑」
莉犬「ほら、電話切っちゃうよ」
るぅと「お迎え」
莉犬「え、」
るぅと「だめ?」
るぅと「傘ないもん」
確かに雨がひどくて、雷までなっている。
そんなの自分でわかっていただろうに。
莉犬「特別だよ、場所送っといて」
るぅと「やったー!笑」
莉犬「泊まる気?」
るぅと「えへへ」
莉犬「まぁ、いいでしょう…」
るぅと「ありがと笑」
そんなこんなで電話を切って、外に出る準備をする。
マンションから出ると、蒸し蒸しとした熱気と湿気を感じた。
莉犬「ばか、るぅちゃん」
そんなことを言ってから、タクシーを呼んで送ってくれた場所まで向かう。
スマホをカメラアプリにして自分の顔を見る。
涙の跡はどこにもなくて、一安心だ。
莉犬「るぅちゃん、来たよ?」
るぅと「莉犬…!!」
るぅと「早いねぇ、」
莉犬「まぁね、笑」
莉犬「ほら、帰るよー」
莉犬「あっきーたちごめんね〜」
あっきー「いやいや!!全然っす!!」
莉犬「まだ、なんか頼んだりしてる?」
あっきー「いや!もう帰ります!!」
莉犬「あ、ほんと笑」
るぅと君に帰りの支度をせかしながら、自分はレジまで向かって代金を払う。
莉犬「あそこの席の人達にお願いします」
今となってはもう当たり前の世界だった。
これからも頑張って欲しい後輩たちへの未来の投資ということにしておこう。
莉犬「じゃあ、また!」
あっきー「ありがとうございます!!」
あっきー「るぅと君お願いします!!」
莉犬「はーい、任せて〜」
莉犬「ほら、るぅちゃんいくよ」
待たせておいたタクシーに乗って自宅まで向かう。
タクシーの中は思ったよりも静かで、雨の音だけが響いていた。
るぅと「莉犬…ありがとうねほんとに」
莉犬「もー、今日はどうしたの?」
莉犬「何なあった?」
るぅと「大好きだよ莉犬」
そうやって背の高いるぅと君は俺を包み込むようにハグをした。
莉犬「るぅちゃん、酔いすぎ」
るぅと「そうかなぁ、」
そういう顔は何だか満足そうで、こっちまで照れてしまうそうだった。
るぅと「莉犬のこと、いっぱい知りたい」
るぅと「もっともっと。」
るぅと「莉犬とねずっと一緒にいたいの」
莉犬「うん、俺も一緒がいい」
タクシーから降りてからこんなことばっかりで、俺はずっと同じ回答をする。
莉犬「お風呂入っといで」
るぅと「ありがとう」
るぅと君の代わりの服わないから、俺が持つ中で1番大きいサイズの服を用意しておいた。
お風呂の中からは楽しそうな鼻歌が聞こえてきて、思わず笑みが溢れた。
るぅと「お風呂ありがとう、莉犬」
酔いが覚めてきたのか、少しずつまともな返答が返ってくる。
るぅと「莉犬は?」
莉犬「俺、もう入ったから」
莉犬「…服、ちっちゃいね」
るぅと「莉犬のだもん、ぱっつぱつだよ?笑」
莉犬「もぅ、」
優しく頭を撫でてくれる。
るぅと「アイス食べたい」
莉犬「冷蔵庫にあるよ」
莉犬「俺も食べようかなぁ」
るぅと「僕、いちご食べたい」
莉犬「いいね、俺はバニラする」
2人で椅子に座ってアイスを食べた。
交換っこしたりして楽しかった。
るぅと「莉犬、寂しかった?」
莉犬「寂しくないよ」
今日の彼は、何だか少し変だった。
るぅと「夜更かししない?笑」
莉犬「何するの?」
るぅと「映画鑑賞」
莉犬「あり」
そう言って、青春モノの映画を見た。
家にあるお菓子やジュースを出して、映画館のようにして楽しむ。
あとは、歯磨きするだけ。
るぅと「幸せだね」
莉犬「そうだね」
るぅと「明日、何しよっか」
莉犬「天気が良かったら、遊びに行こうか」
るぅと「ピクニックしよ」
莉犬「いいね」
映画を見て少しずつ瞼が落ちてくる。
るぅと「莉犬、眠そうだね」
莉犬「んふふ、頑張ってるからね」
るぅと「おふとん行こっか」
そうやって1つのベッドで2人で寝る。
俺が小さいから、2人でも十分なほどだ。
るぅと君が静かになって少し経った頃、さっきまで考えていたことが頭に浮かんだ。
莉犬「はぁ、っ」
何となく息を吐いて、顔を埋めた。
るぅと「んぅ、、」
俺を優しく包み込む。
莉犬「るぅちゃ、」
るぅと「莉犬…もう大丈夫だから」
るぅと「僕たちはもう大丈夫だからね」
何度も何度も繰り返した。
目は瞑っていて目が合うことはない。
だけど、優しさに溢れる彼の温もりから離れることができなかった。
莉犬「ぐすっ、…」
さっきまで抑えて今涙が出る。
枕にシミがついて、冷たくなる。
莉犬「ありがとぉ、ッ」
年齢が近い。
メンバー。
ずっと前から知り合い。
そんなことを通り越すことに彼が好きだ。
すらっとしてかっこよくて。
時折見せる可愛さがあざとくて。
気づかれない優しさを見せて。
誰よりも誰が愛してくれる。
そんな君が相棒で本当に良かった。
あの誕生日配信の時。
彼は一緒に涙を流した。
凄く嬉しかった。
同じ気持ちなんだと。
恋愛感情があるわけでも、優劣があるわけじゃない。
ただ、メンバーとして。
1人の人間として。
彼を愛している。
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次の日、空は明るくて。
雲ひとつない晴天だった。
隣には大好きな彼がいて。
今も優しくハグをしてくれている。
あっきーからは支払いについて連絡が来ていて、そのメッセージだけで表情まで考えてしまって思わず笑ってしまう。
るぅと「なんか面白いことでもあった?」
莉犬「ううん、なーんも!!そうだ!!」
莉犬「るぅちゃんピクニック行こ!!」
生きる理由なんてなくていい。
そして、答えが出る必要だってない。
きっと答えが出た人なんて、いないのではないだろうか。
そして俺は今日、
「生きる理由を彼から借りた」。
コメント
3件
# 感想 第9話、読み終わりました〜!莉犬くんの心情がすごく繊細に描かれていて胸がぎゅっとなりました😭るぅと君からの電話「お迎え」のくだり、甘やかしすぎでは?!って思いつつ、その後の優しいやりとり全部が尊すぎます…。最後の「生きる理由を彼から借りた」がめちゃくちゃ刺さった。この2人の関係性、大好きです💕
ゆあ
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つむぎ
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