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第2話『壊れていく日常』
転校。
その二文字が、頭の中で何度も繰り返されていた。
たった数日前まで普通に話していた相手が、突然いなくなるなんて。
「……偶然、だよね。」
そう呟いても、胸のざわつきは消えない。
隣では、奏がいつも通り弁当を広げていた。
「澪、卵焼き食べる?」
「……ありがとう。」
「元気ないね。」
優しく笑う奏。
昨日までと何も変わらない。
なのに、俺はあの言葉が頭から離れなかった。
『これで邪魔する人、いなくなったね。』
あれは、冗談だったのだろうか。
考えすぎだ。
そう思いたかった。
放課後。
図書室で返却された本を整理していると、後ろから声がした。
「白崎くん?」
振り向くと、一年生くらいの男子が立っていた。
「この本、どこに戻せばいいですか?」
「あ、それなら──」
棚を案内しようと歩き出した、その時だった。
「澪。」
低い声。
入り口には奏が立っていた。
「迎えに来た。」
「もう少しで終わるから。」
「待つ。」
短く言うと、壁にもたれ掛かる。
一年生は奏を見て少し緊張したようだった。
「先輩、彼氏ですか?」
その一言で、空気が止まる。
「ち、違うよ!」
慌てて否定すると、奏が小さく笑った。
「残念。」
冗談っぽく言う。
一年生も「あはは」と笑って帰っていった。
その姿が見えなくなった瞬間。
奏の笑顔が消えた。
「可愛かったね。」
「え?」
「あの子。」
「そんなこと……。」
「楽しそうだった。」
「普通に話してただけだよ。」
「また”普通”。」
奏はゆっくり近づいてくる。
逃げる理由なんてないのに、自然と一歩下がってしまった。
「澪。」
壁際まで追い詰められる。
「俺といる時より笑ってた。」
「違う!」
思わず声が大きくなる。
「奏といる時だって笑ってる。」
「じゃあ証明して。」
「え……?」
「俺が一番?」
その問いに言葉が詰まる。
「友達として、だよね?」
そう答えると、奏は目を伏せた。
「……友達。」
ぽつりと呟く。
その声は、どこか悲しそうだった。
「ごめん。」
「謝らないで。」
そう言いながらも、奏の指は俺の手首を強く握っていた。
少し痛い。
でも、振りほどけなかった。
「澪。」
「……なに?」
「もし俺がいなくなったら、困る?」
「もちろん。」
「泣く?」
「たぶん……。」
その答えを聞くと、奏は安心したように微笑んだ。
「よかった。」
「……?」
「まだ俺だけを必要としてくれてる。」
その言葉の意味が分からず、首を傾げる。
帰り道。
夕焼けに染まる街を歩いていると、奏がぽつりと言った。
「澪。」
「ん?」
「スマホ貸して。」
「え?」
「ちょっとだけ。」
特に隠すものもなく、スマホを渡す。
奏は数秒だけ画面を見つめると返してきた。
「ありがとう。」
「何見てたの?」
「秘密。」
悪戯っぽく笑う。
その日の夜。
スマホを見ると、連絡先が何件も消えていた。
クラスメイト。
図書委員。
部活の知り合い。
気づけば、残っていた名前は家族と──
『黒瀬 奏』だけだった。
「……え?」
背筋が凍る。
その瞬間、通知が鳴る。
奏
『これで誰にも邪魔されないね。』
震える指で画面を見つめる。
続けて、もう一件。
『安心して。澪には、俺だけいればいいから。』
そのメッセージを見た瞬間。
初めて、本当の恐怖を知った。
コメント
15件
すっげぇ、、笑 天才か、??
Aꪔ̤̮
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154
ぱぴぷぺぽ
52