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深優さんには「あなたさえいなければ」で始まり、「手のひらがひどく熱かった」がどこかに入って、「だから帰ろうよ」で終わる物語を書いて欲しいです。


⚠️注意⚠️

・妄想を綴っただけのものですので本誌とは一切関係ありません

・ネタバレは気をつけましたが一応ご注意ください

・解釈違い

・誤字脱字

・展開が謎です

・自衛よろしくお願いします

私は何を書きたかったのだろう……?


――――――――――――――――――――――――



「あんたさえいなければ……」


きっとこんなに苦しくなかったのに。そう続くはずだった言葉は小骨が喉につっかかったかのような違和感を俺に与え、音になることはなかった。






――――――――――――――――――――――――

君の幸せ知りました

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



兄ちゃんと喧嘩をしてしまった。そのまま家を飛び出してきたはいいものの、なにも持たずに出てきてしまったので行く宛てがないことに気がついた。


「チッ……」


ただこのまま帰るのも癪に障るのでその辺でも散歩することにしようか。



そもそもこの喧嘩はたった1冊の週刊誌から始まったはずだ。なのになぜ家出までに発展してしまったというのか――――――それは1ヶ月前まで遡る。俺達は活動している拠点がフランスとスペインで違うのでお互い長めのオフが被らなければ会うことができない。そんな中、ちょうどこの日予定が合ったので会おうと1ヶ月前に約束したのだ。


そして今日2時間かけてスペインに訪れた俺はたまたま目に入った本屋のある一角。そこにある週刊誌に興味を持ってしまったのである。なんてったって兄ちゃんが表紙に載っていたんだもの。まだ兄ちゃんの家に行くまで時間は余っているし購入しても大丈夫だろうと俺はよく考えず、軽率にその週刊誌を購入してしまったのだ。


そのまま兄ちゃんの家にお邪魔して荷物をおかせてもらう。泊まりになるだろうが大体の物は兄ちゃんの家にもあるのでそこまで大荷物ではない。手洗い等を済まして兄ちゃんと向き合ったとき、スマホが鳴った。俺のでは無いから兄ちゃんのだ。


「嗚呼、わかったすぐ行く」


行く?行くってことは……嫌な予感がする。


「なんの電話だったの?」


そして告げられた内容はあまりにも俺にとって酷な話だった。


「すまん、急遽外せない仕事が入っちまった、夕飯までにはもどるから好きにしてろ」


俺の予感は的中し、せっかくの2人でのオフがほとんど削られてしまった。確かに仕事ならまぁ、仕方がないとは思う、兄ちゃんは悪くないのもわかっているが……それにしたって軽すぎじゃないか?せめてもう少し行くのを惜しむとか一緒に文句を言うぐらいしてほしかった。


「嫌だ……」


「しょうがないだろ仕事なんだから、帰ってきたら構ってやるからいい子にしてろ」


「絶対だからな」


「嗚呼」


不満を前面に押し出しながら兄ちゃんを見送る。とはいえ約束もしたし、仕事だし仕方が無いことだから引き留めたり縋り付いたりはしない。そこはしっかり区別しないと兄ちゃんに怒られてしまうから。兄ちゃんに怒られるのは呆れられるのは捨てられるのはやっぱりまだ怖い。


「行ってきます」


「行ってらっしゃい」


だから大人しく見送った。


兄ちゃんが居なくなった扉を見つめてしばらくしたら意識がそういえばとちょうど今朝買った雑誌の方に向く。本人の雑誌を本人の前で見るのは正直気まずいのでこれは良い機会ではないか。帰ってから見ようと思っていたが、兄ちゃんが居なくて暇だし雑誌も気になるしもう見てみようとこの時の俺は思ってしまったのである。


リビングに移ってカップに珈琲を入れて雑誌を準備する。わくわくしながら少しの緊張感と共に1ページ目に手をかけた。


部屋にページをめくる音だけが響く。


ペラペラと1枚1枚ページをめくる音がやがて聞こえなくなって3呼吸分の余白をきっちり。


そして思いっきり持っていたカップを投げた。ついでに雑誌も投げた。


「……女いたんじゃねぇかよッ!」


本当は雑誌ごとこの忌々しい写真を破り捨てようとも思ったが、それは出来なかっただって兄ちゃんの写真なんだもの。いくら憎くても許せなくてもやっぱり兄ちゃんは兄ちゃんで世界1大好きなわけで、だからせめて投げるだけにしておいた。


投げてたまたま開いたページがちょうど兄ちゃんとその女が映っている写真がデカデカと載せられているページで余計苛立った。


なにが結婚間近だふざけんな。兄ちゃんと女の関係をあたかも本当に恋仲かのように綴られた文字に反吐が出る。兄ちゃんは俺のだ誰にも譲るつもりなんてねぇ。


それでも不安になってしまっている自分もいる。今朝の出来事のせいかもしれない、きっとそうだせっかく会えたのに惜しむこともなく仕事に行ってしまうから、いや、仕事に行ったのかも分からない。本当はこの女に会いに行ったんじゃないのか。


もう俺には、どこまで本当でどこからが嘘なのか分からない。捨てられてしまうんじゃないか。それが分からないから怖い。そして兄ちゃんを信じれない自分が1番恐ろしかった。


捨てられたくない、怖い、信じたくないそんな思いが渦巻いて俺はただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。そのまま時間だけが過ぎていってそれでも動けずにいると玄関の扉が開く音がしてようやく部屋の惨状に気がついた。でももう全てが遅くて、兄ちゃんが声を上げるのと俺が動き出すのはほぼ同時だった。


「お前……こんなに散らかしてなにやってるんだよ」


兄ちゃんが少し怒りながら声をかけてくる。そりゃあそうだよな急な呼び出し受けてやっと帰ってきたら部屋が荒らされているとか最悪だもんな。よく見たら目にも疲労が滲んでいるような気がした。明らかに兄ちゃんの状態は万全とは言えない。それでも俺の精神状態もまた踏み荒らされたかのようにぐちゃぐちゃであり、落ち着いて話すことができなかったと言えば言い訳になってしまうだろうか。


「んなことはどうでもいいんだよ……それよりこれはどういうことだ?」


「は?……嗚呼これか」


「あ?なんで納得してんだ、これは本当なのかよ?」


「チッめんどくせぇな」


「……っ」


はっきり聴こえた拒絶の言葉。まさか兄ちゃんにまたこんなことを言われるなんて思ってもみなかった俺はハッとなって出ていこうとする兄ちゃんを引き止め、みっともなく縋り付いた。

「行かないで……!」

「あ?ちょっと待ってろ 」

けれど上手くいく訳もなく兄ちゃんはそう言い放って出ていってしまった。そして無駄に広いこの家に残された俺は周りの惨状を片付けることもできず、途方に暮れるのだった。


やっぱり「あんたさえいなければ……」きっとこんな苦しくなかったし、こんな感情にもならなかった。



こういうことがあってとりあえず荷物をまとめて鍵も置いて出てきた所だ。荷物と言っても大抵は兄ちゃんに渡されたものだったので持っていても辛くなるだけだしと割り切ることで特に苦労も時間もかけることもなく出てこれたというわけだ。


正直、行き当たりばったりの性格というかよく言えば臨機応変な性格のせいで行先も決めずに出てきてしまったのは失敗したと思っている。だがまあなるようになるという結論の元その辺をふらついていたその時だった。


ドンッという鈍い衝撃が身体に走り、倒れたことでやっと突き飛ばされたことを理解した。幸い、受け身をうまくとることができたので身体に以上はなく、身体をぶつけて少し痛いくらいだった。後ろを振り返ると2mぐらいある男が2人、いくら俺がデカくてもそれは日本での話。スペインでは俺ぐらいまたは俺よりデカイ男なんて沢山いるから特段驚きはしない。顔は冬の夜で暗くてわからない。なんなら自分が突き飛ばされた場所でさえもあまりわかっていなかった。だが辺りを見る限りどこか細い路地にでも入ったのであろうと見当をつける。男たちは俺にスマホのライトを当てなにやら話している。

「お、なかなかに美形だぞ」

「この顔つき……アジア人だな」

「この時間に出歩いているんだからいいってことだろ」

「ん……?ちょっと待てこの顔どこかで見たことあるぞ 」

「この顔……もしかしてリンイトシじゃないか!?」

まだスペイン語は完全には聞き取れないがだいたい分かる単語を繋ぎ合わせることでコイツらの目的はなんとなくわかった。

「よし当たりだな」

そう呟いて男の1人が汚い手を俺に伸ばしてきた。勿論必死に抵抗したが俺よりも体格の良い奴に力勝負で勝てるはずもなく、口を塞がれ、体をまさぐられそうになって俺は最後の力で全力で叫んだ。

「兄ちゃん!!」





刹那、細い路地にもう1人の人影が現れる。

「誰のもんに手ぇ出してんだ」

地を這うような低い低い声が聞こえた。



俺を取り押さえていた男達は腰が抜けてしまったのかその場から動けずにいる。その様はさながら捕食者に食される被食者のようである。

この場で1番小さく、幼く見えるであろう彼がわざとらしく足音を鳴らして近ずいて来る。それに合わせて震えが止まらなくなる男達はなんとも滑稽であった。

「おい」

比喩などではない。本当に男達は彼の声に飛び上がった。

圧倒的王者の風格。この場で1番小柄な彼からはこの場の誰よりも威圧感があり、本能で逆らえないと悟ってしまう程には生き物としての格が違った。

「お前らはコイツが誰かわかってたんだよな?なら俺がいることも知っていたはずだ。それもわかっていて手を出そうとしたそういうことでいいか?」

男達は首がもげるんじゃないかと言うほどに首を縦に振る。

問いかけられているはずなのに有無を言わせない威圧感は口を開いたら殺されてしまうのではないかと錯覚するほどだ。

「まぁいい。今回は見逃してやる、面倒事にはしたくないしな。だかもし次同じことをしたら……わかるな?」

男達はまたもや必死で頷く。

「じゃあいい。さっさと去ね」

そう言い捨てられた瞬間、男達は脱兎のごとく駆け出した。

男達が走っていったほうにチラッと興味無さげに視線をやった後こちらを見据えてきた彼はこちらに近ずいて来る。何か言われた訳でもないのに汗が背中に流れる。この真冬に汗をかくわけがないから十中八九冷や汗だろう。

「凛」

怒っているのだろうか。俺の名前を呼ぶ声は何の感情も感じさせない。近ずいて来ていた彼は俺の目の前でピタリと止まった。

「凛」

「兄ちゃ……」

どうすれば良いのだろうか。謝る?なにに対して?まだ怒っているかもわからないのだ、下手なことは出来ない。

こっちスペインは危ないから1人で夜に出かけるなって兄ちゃん言ったよな?」

「でも……」

「言ったよな?」

兄ちゃんがマジギレだ。正直あの雪の日よりもヤバい。確かにスペインに初めてきたときから夜に1人で外に出るなと口酸っぱく言われていた。だが、危ないのはフランスも同じだし、誰がこんな馬鹿でかい男を相手にするかと思って聞き流していたのだ。結果兄ちゃんに助けてもらったわけだし、これは俺に非がある。とりあえずそのことについては謝っておかないと。

「ごめんなさい。何回も言われたのに言いつけ破って」

「ん。待ってろって言ったのに家に帰ったらお前がいなくて探し回ったこっちの身にもなれ」

「だって……」

「なんだ?」

「兄ちゃんに熱愛報道が出てたから俺がいたらその女の人と過ごすのに邪魔かなって思って……」

「は?あんなのデマに決まってんだろ」

「じゃあなんでめんどくさいって言ったんだよ」

「あれは熱愛報道を消すのがめんどくせぇってことだよ」

「仕事だってすぐ行っちまうし……」

「少しでも早く終わらせて早く帰ってきたかったんだよ」

そうやって不満に思ったことなどをポツリポツリと話していくと兄ちゃんは全て答えた後に頭を撫でてくれた。

「さみぃから帰るぞ」

そう言って差し出された手のひらは冷えた身体にはひどく熱かった。





―――ーーーーーーーーーーーーーーーー―




特段会話をするわけでもなく帰路に就く。仲直りはした筈なのになんとなく気まずくて、でも不安なわけじゃなくて。

子供でもないのに、言いつけを破ってしまったことを引きずっている。心配させてしまった事は申し訳ないと思うけど、心配してくれた事が嬉しいと思ってしまう自分もいる。

そう考えると自分勝手で自己中な兄ちゃんもこんな俺に付き合わされて苦労してるのかなとか思って。

せめてお詫びに今日初めて知った、俺から送れる兄ちゃんへの1番の贈り物になり得るものを送ろうと思う。

だって兄ちゃんは俺が家にいると嬉しいんでしょ?


「だから帰ろうよ」



――――――――――――――――――――――――


以上です!

閲覧いただきありがとうございました!


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コメント

1

ユーザー

こういうの求めてました!最高ですッ!!

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