※政治的意図無し
左利き
私の国民には10%程左利きの方がいらっしゃいます。
現代では左利きであることは左程問題ではありません。実際ロイヤルファミリー(英国王室)のメンバーは左利きである割合が高いです。
察しの良い方ならもうわかるかと思います。
私は左利きです。
幼少期は私の父上(イングランド)も左利きですし、特に左利きであることに違和感を感じませんでした。
青年期は自分が左利きであることが誇りでした。
他の人とは異なり、自分は特別だと、そう思っていました。
当時は現代程左利きに寛容ではありませんでした。
実際右(Right)は正しいという意味も持ち合わせています。左はそれだけ悪い意味で特有でした。
しかしそれでも我が道を好んで進みました。
たまに私が左手で文字を書いているところを他国が軽蔑して、その対応に父上が追われていたという話も聞いたことがあります。
私がいた頃には父上は大国になりつつありましたし、ブリティッシュジョーク(壮大な皮肉)を言ったら毎回どうにかなっていたそうです。
余談はさて置き、この余裕さも歳を重ねると共に消失していきました。
大人になり公共の場に姿を現すようになってからは周りの目が気になっていきました。
一応事前に父上より右で文字を書く指導を受けましたので、署名などの国家としての活動は問題無く行えていました。
それだけで本来良いはずですが、私は「左利きの英国」と思われることをあまり良く思っていませんでした。
左利きを屈辱的に捉えていました。如何なる国家が右で動作を行う中で、一人異質的に左で動作を行うことが気に食わなかったのです。
なので食事も剣術も銃も総て右に直しました。
当時右利きにこんなに執着する私にスコットランドさんはドン引いていました。
右利きには分かり得ないことでしょうし、仕方ありませんが。
ドイツが静まり返り、安定した時代が訪れた頃、もう私が左利きであることを知る人は家族除き皆地に還っていました。
いえ、厳密に言うと息子達も知りません。ポルトガルさんは古くから付き合いがあるのでご存知ですが。
つまり、「右利きの英国」という認識のみが世界に流通しているのです。
「左利きの英国」はダイヤモンドよりも希少価値が高い情報と言えましょう。
別にこの時代に左利きでいることは全く問題ありません。なので知られても問題は無いです。
しかし努力と一貫性とプライドという非常に面倒なものが、それを許さないのです。
なのでいくら高い対価を示されても、これは絶対教えたくありませんし、知られたくありません。
しかし、そんな願いも無残に散っていきました。
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