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「…は…?俺が泣く…?」
「私は咲月さんじゃないから、咲月さんの気持ちを全部理解することなんてできない。でもだからって、馬鹿にして簡単に笑ったりもしない。咲月さんがどう思ってるか分からないから想像して考えるの。幸せが突然壊れて馬鹿にされて、どんなに悲しかったか…。どんなに辛かったのか。咲月さんのことを考えてたら、私は哀しくなった。咲月さんは私が強く生きてたって言うけど、私だって本当は哀しかった。お父さんとお母さんが死んじゃった事、自分一人でどうやって生きていけばいいのか分からないこと。何もなくても幸せだった人生がただの何もないものになってしまったこと。泣いて泣いて、でもそのたびに『これは私にとって普通のことなんだ』って飲み込んで、忘れようとして生きてきた。だから……咲月さんが本当は泣きたかったことも、今も悲しくてしょうがないことも伝わってくる。そんな気がする。」
独りは怖い。真っ暗闇の中に1つも明かりが無くて、道も見えなくて、自分が今どこにいるのかも、どこに行けばいいのかも分からない。
そんな私の感覚と似ているものなら……近いものを咲月さんが持っているんだったら笑うなんて……そんなことできないよ。
「お前でも悲しいなんて思うのか…?」
「当たり前だよ。だって、人間だもん。嬉しいことがあれば悲しいこともある。笑える日もあれば、涙しか出ない日もある。だけど私は命(みこと)だから。命(いのち)ある限り生きなきゃいけないから。だから負けるもんかって思って諦めないようにするの。見えない何かにもう何も取られたくない。負けたくない。だって私が頑張って生きてればきっとお父さんとお母さんも喜んでくれるから。」
「……俺にはお前みたいな図太さと覚悟が足りなかったのか。」
「また馬鹿にしてるでしょ。」
「……いや、ただ単に羨ましいだけだ。」