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第七話Start
「じゃあお父さん、もう行っちゃうね。夜にまた大事な仕事が入っているんだ」
「そっか……。うん、お仕事頑張ってね。身体、気をつけてよ?」
「ありがとう、すち。私の自慢の息子だよ」
父親はすちの頭を優しく撫で、いつもの穏やかな笑顔で部屋を出て行った。
すちはパタン、と閉まったドアを見つめながら、小さく息を吐く。
お父さんが帰ってきてくれたのは嬉しいけれど、やっぱりいつもすぐに仕事に行ってしまう。
一人残されたワンルームは、さっきまでの賑やかさが嘘のように静まり返っていた。
すちは寂しさを紛らわせるように、ぽつりと呟く。
「……結局、あのみんな、どこ行っちゃったんだろ。本当に忍者みたいだったな……」
その時だった。
「……あーあ。すち、そんな寂しそうな顔すんなよ。俺らがいるだろ?」
背後から突然聞こえた低めの声に、すちは肩を跳ね上げて振り返った。
ベランダのカーテンの陰から、いるまがいつの間にか姿を現し、呆れたように、でもどこか愛おしそうにすちを見つめている。
「うわっ、いるまちゃん!?……って、え!?」
見れば、天井の梁かららんがふわりと音もなく着地し、クローゼットからはなつが、ベッドの下からはみことが、ロフトからはこさめが、何事もなかったかのようにゾロゾロと出てきた。
「みんな、ずっとそこに隠れてたの!? 全然気づかなかったんだけど……!」
「ふふ、すちくんがお父さんと仲良く話してるから、邪魔しちゃ悪いなと思って」
みことがすちの前に歩み寄り、寂しそうに下がっていたすちの手を、そっと包み込むように握った。
「すちくん、お父さんのこと大好きなんだね」
こさめが少しだけ切なそうな目で、すちの顔を覗き込む。
すちは少し照れくさそうに、「うん……まぁ、たまにしか会えないけど、優しい自慢のお父さんだからね」と微笑んだ。
その純粋な笑顔を見た瞬間、5人の胸にズキリと痛みが走る。
(……優しい父親、ね)
彼らがさっき裏で傍受した、父親が組織に送ったメッセージはこうだった。
『あの5人(シクフォニ)は依頼を受けたくせに、なぜまだ息子を消していない? 手こずっているなら別の暗殺者を送る』
すちを自分の保身のために消そうとしている、最悪の父親。
そんな奴のためにすちが寂しがり、健気に帰りを待っている。
その事実が、5人の独占欲と保護欲を激しく駆り立てた。
「すち」
らんが後ろから、すちの細い身体を包み込むようにぎゅっと抱きしめた。
「わっ、らんらん……!?」
「お父さんが仕事行っちゃって寂しいなら、俺らがずっとここに居てあげる。だから、そんな顔しないで?」
「そうそう。あの親父の100倍は、俺らがすちのこと楽しませてやるって」
なつがすちの頬を人差し指でツンツンと突き、すちの気を引こうとする。
「つーか、もう夜だし、すち、お前早く寝ろ。俺らが朝まで側にいてやるから」
いるまが不器用ながらも優しくすちの背中を押し、ベッドへと促した。
「え、ちょっと待って……みんなでここに泊まる気!? 狭いってば!」
お父さんが行ってしまった寂しさなんて、5人の圧倒的な熱量と体温であっという間に吹き飛んでしまう。
ベッドの真ん中に押し込まれ、左右からなつやお座りしたみことに挟まれ、足元にはこさめ、後ろからはらんに抱きつかれ、いるまに髪を撫でられる。
「ちょ……みんな、本当に距離近すぎ……っ!!」
顔を真っ赤にしてタジタジになるすちを、5人は愛しくてたまらないという目で見つめながら、「絶対にこの笑顔を裏社会の闇から守り抜く」と、眠りにつくすちの側で静かに闘志を燃やすのだった。
次回♥️350💬1 朝投稿めっちゃ伸びた…ありがとう!!夜も検証!( ≧∀≦)ノ💕
コメント
5件
お父さんとすちの温かいやり取りにホッとした直後のあの5人の隠れ方、めっちゃ笑ったw でも父親の本性が明らかになって、胸がギュッとなったよ…。そんな中で「俺らがいる」って包み込む5人の優しさが沁みる展開だった!すちの無邪気な笑顔を守りたい気持ち、すごく分かる〜。
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鶏そぼろ
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