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#溺愛
桜咲かな
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桜咲かな
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#百合
第三十四話 確かめたいこと
その翌日。
彼女は朝から、昨日の写真のことを考えていた。
同じ場所。
同じ日付。
同じ「またね」という言葉。
偶然で片づけるには、重なりすぎている。
けれど、だからといって
何が起きたのかまでは分からない。
学校から帰ると、彼女はアルバムをもう一度開いた。
写真の前後に何かないか探してみる。
一枚、また一枚。
けれど、あの日の写真はそれだけだった。
「なんでこれだけ……」
独り言がこぼれる。
そのとき、写真の端に小さなものが
写っていることに気づいた。
ベンチの横。
何かが置いてある。
拡大してみる。
小さな紙袋のように見える。
でも、そこまでだった。
それ以上は分からない。
夜になり、いつもの時間にサイトを開く。
『今日、写真見てた?』
『見てた』
『俺も』
『何か見つかった?』
『まだ』
『そっか』
少し間が空いた。
『でも、今日ひとつ思い出した』
『何?』
『あの場所に行ったとき、誰かと何かを交換した気がする』
『交換?』
『うん』
『何を?』
『分からない』
『紙とか?』
『……かもしれない』
彼女は、昼間に見つけた写真の端を思い出した。
『実はね』
『うん』
『私の写真にも、何か写ってる』
写真を送る。
彼はしばらく黙っていた。
『これ……紙袋?』
『私もそう思った』
『もしかしたら、これかも』
『何が?』
『俺が思い出した「何か」』
彼女は写真を見つめた。
まだ何も確定していない。
それでも、
昨日より少しだけ過去に近づいた気がした。
『会ったら、この写真も持っていく』
『うん』
『一緒に見よう』
『約束』
その言葉を見て、彼女は少し笑った。
『また約束してる(笑)』
『確かに』
『今度のは忘れないでね』
冗談のつもりだった。
けれど、送ったあとに少しだけ胸がざわついた。
彼からの返事も、すぐには来なかった。
やがて、
『忘れない』
と届いた。
短い言葉だった。
でも、妙に強く残った。
二人はそのあと、過去の話をやめて、
いつものくだらない話をした。
今日食べたもの。
学校で起きたこと。
最近気になっていること。
笑っているうちに、
さっきまでの緊張も薄れていった。
そして夜が終わる頃。
彼女はアルバムを閉じた。
まだ分からないことばかりだ。
でも、もう少しだけ知りたい。
昔の自分たちが何を約束したのか。
誰と、どんな時間を過ごしていたのか。
そして――
どうして二人とも、
その日のことを忘れているのか。
その答えを知るために、
彼女は写真を大切にしまった。
コメント
1件
うわ、この話、じんわり来るわ……。同じ場所・同じ日付の写真に「またね」って言葉が重なって、しかも「交換した記憶」って新たな手がかりが出てきたの熱い。写真の端に写った紙袋、あれが何なのかすごく気になる。「忘れない」って返事のあとに間が空いたのも、なんか胸に刺さるんだよな。優しいミステリーって感じで、続きが待ち遠しい🔥