3匹は団長の部屋を後にした。
ジョセフが口を開く。「捜査を続けよう。」
ポテトが元気よく応えた。
「はい!鑑識の結果、あのベタベタしたものは特殊なプラスチックで、
低温の熱に溶ける素材だってわかりました。
マジックなんかに使われることもあるそうです。
それに、ナイフが撃てるように改造されていましたよ。」
フェリックスは頷きながら言った。
「なるほど、もう一度現場に行ってみましょう。」
3匹は現場に向かった。そこではゲンとワトリーが竹とんぼで遊んでいた。
ポテトは興味津々でワトリーに駆け寄った。「あ!ワトリー、それなに?」
ワトリーが竹とんぼを見せる一方で、フェリックスはゲンに話しかけた。
「ゲンさん、実はボウガンですが、やはり改造されていたようです。」
ゲンは眉をひそめた。「そうか...」
フェリックスは続けた。「あのベタベタした液体は特殊なプラスチックで、
低温で溶ける素材だとか。マジックに使われるようですが、ご存じですか?」
ゲンは一瞬考え込んだ。「低温で溶ける…ああ、それなら知っている。
そんなものは小道具置き場にいけば簡単に手に入るさ。」
フェリックスは目を細めた。「そうですか、知っていたのですね。」
ゲンは顔を赤くしながら反論した。
「ボーガンに使うとは誰も思わないだろう!」
フェリックスくすっと笑いながら「そうですね」
「それでここへは何か用か?」
フェリックスは頷いた。「ええ、滑車を調べにきました。」
ゲンは眉を上げた。「滑車?」
フェリックスは静かに答えた。「はい、あなたが直そうとした滑車です。」
ゲンは戸惑いを隠せなかった。「な、直してはいない。安全確認だ。」
フェリックスは鋭い目でゲンを見つめた。
「セリアさんが亡くなったのはリハーサル中です。しかしゲンさんはロープを
繋いでいた滑車はまだ、安全確認中だと言っていました。安全確認ができていないのに
リハーサルなどするでしょうか?」
ゲンは沈黙したまま、フェリックスの言葉を噛み締めていた。
捜査は新たな局面を迎えようとしていた。
フェリックスは天井に目を向け「あの滑車、事件当時のまま動かしてはいませんか?」
ゲンは少し戸惑ったように「あ、ああ、動かしてない。」
フェリックスは頷いた。「では、降ろしてもらえますか?」
ジョセフが不思議そうに「どういうことだ?ボウガンでロープを切ったのだろう?」
フェリックスは冷静に答えた。「はい、あくまでも確認のためですから。」
その時、後ろの方で遊んでいたワトリーとポテトが突然、「あー!」と叫んだ
ゲンが驚いて振り返り、「どうした?」
ワトリーは指を指しながら、「竹とんぼが天井に引っかかったのだ。」
ゲンはため息をつき「オレが取ってきてやる、待ってろ。」
フェリックスは手を挙げて制止した。「いいえ、ゲンさんはそのままで。ワトリー、取りにいけますね?」
ワトリーは元気よく、「分かったのだ。」
フェリックス「気を付けて」
ワトリーが天井に向かって登り始めると、フェリックスはゲンに向き直った。
「では、滑車を調べましょうか。」
「ああ、いいけど、あと5分でここら辺は停電になるぞ。」
ジョセフが驚いた声を上げる「なんだと?」
「さっき連絡がきた。深夜に電気の工事をするんで、朝まで停電さ。」
フェリックスは即座に天井にいるワトリーに呼びかけ
「ワトリー、すぐに降りてきてください!」
「わかったのだ。」と返事をし、はしごを下りる。
フェリックスは深く息をつき、周囲を見渡しながら、「今夜は泊りになりそうですね。」
ジョセフ「ゲっ!!まじかよ」
フェリックスの言葉を聞くと
ゲンは突然、「そうだ!」と叫び、
小道具箱の中から何かを取り出した。「ワトリー、ポテト、夕食の後に花火大会だ!」
ワトリーは嬉しそうに「わーい、楽しそうなのだ!」
ポテトも勤務中ではあるが、その目は興奮で輝いていた。
一方、ジョセフはフェリックスに向かって低い声で尋ねた。
「なあ、ゲンが犯猫だと思っているのか?俺にはそうは見えないが……」
フェリックスは、ワトリーたちと一緒に楽しそうにしているゲンを見つめながら答えた。
「私もそう思いたいのです。ですがゲンさんは何かを隠しています。」
その時、突然辺りの電気が消えた。工事による停電が始まったのだ。
暗闇の中、ろうそくを持ったエマが入ってきて
「今日は泊まるのですか?」
フェリックス、「ええ、私はここで大丈夫ですので。」
エマは微笑んで提案した。「ゲストルームがありますので、そちらでお休みください。」
フェリックスは少し考え、「しかし、現場を荒らされてしまうと困るのですが……」
ゲンが安心させるように笑った。「心配しなくても、夜は警備員が巡回しているさ」
フェリックスは少し安心した様子で頷いた。
「では、お言葉に甘えます。」そう言って、エマに案内されてゲストルームへ向かった。