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夕食の時間、ろうそくの薄明りの中、団員全員が集まっていた。
しかし団長の姿はなかった。
ジョセフが首をかしげながら尋ねた。「団長はどこに?」
マリーナ「さあ、公演が中止になって
青ざめてVIP客のところに行ったのでは?」
ジョセフが眉をひそめた。「VIP客?」
マリーナは少し不満げに頷いた。
「ええ、私達より大切みたいね。」そう言いながら、
料理を運んでくる鉄仮面の猫カオリを睨んでいた。
マリーナ「ところで、犯猫はわかったのかしら?
猫殺犯と一緒にいると思うとゾッとするわ。」
ロイズ「犯猫が分かったらここにはいないだろう。」
マリーナが疑問を投げかけた。「確かボーガンを使ったとか?」
フェリックスが静かに頷いた。「確かに犯猫はボーガンをトリックに使用しました。」
マリーナはロイズを見つめた。ロイズは困惑した表情で言った。
「だからボクじゃないってば!」
フェリックスは冷静に話を続けた。「皆さんにお伺いしたいのですが
例えば、犯猫はボーガンでロープを狙ったとします
反対側の壁にはナイフの傷がありました。そして劇場は円形で、その周囲は約100メートルです。
あの小さいボウガンでそんな遠くまで届くのでしょうか?」
団員たちは静まり返り、フェリックスの言葉に耳を傾けた。
「もしボウガンがどこかに隠されていたとしたら、その距離はさらに伸びます。
撃つとしたら、2階の端まで行って撃つ方法が考えられますが、
そんな目立つ場所に設置したらすぐに見つかってしまいます。」
夕食の席で、緊張した沈黙が流れていた。マリーナが口を開いた。「つまり、何が言いたいの?」
ロイズが答える。「犯行に使ったのはボウガンではないということだろ。」
フェリックスが頷きながら言った。「はい、それを明日証明したいので、みなさんにご協力をお願いします。」
マリーナは一瞬考えた後、頷いた。「わかった。」
ロイズも同意する。「それでボクの無実が証明できるなら。」
エマが柔らかい笑みを浮かべて言った。「もちろん。」
ゲンが力強く頷いた。「ああ、かまわないさ。」
カオリはただ静かに頷くだけだった。
「では、明日の朝に。」フェリックスが言い、夕食は静かに終わった。
その夜、外ではワトリーとポテト、ゲンは庭で楽しそうに花火をしていた。
ゲンが手持ち花火を持ちながら、ワトリーに教える。
「これは手持ちの花火だ。こうして!」彼は手で円を描きながら走り回った。
ワトリーは目を輝かせて叫んだ。「わーい、きれいなのだ!」
ポテトも花火を持ってはしゃいでいたが、突然何かにぶつかった。
彼が振り返ると、闇の中に浮かぶ鉄仮面の猫が立っていた。カオリだ。
ポテトは突然の出来事にびっくりして声を上げる「わぁああ!」
ゲンが笑いながら聞いた。「カオリも花火やるか?」
ワトリーがカオリに花火を手渡しながら言った。「一緒にやるのだ。」
こうして四匹は庭で花火を楽しみ始めた。カオリも初めての花火に少し緊張していたが、
次第に楽しそうに走っていた。花火の光が彼らの顔を鮮やかに照らし、
夜に咲く火花と共に友情が深まっていった。
一方、ジョセフはロイズに女性の口説き方を伝授してもらっていた。
「まず、相手の話をよく聞くことだ。それが一番大事だよ。」ロイズは真剣な表情でアドバイスを送った。
ジョセフは頷きながらメモを取った。「なるほど、話を聞くことか。」
その夜、各自がそれぞれの思いを胸に、翌日の計画に備えていた。
明日が新たな展開を迎えることを、誰もが感じていた。
その夜、ワトリーは夜中にふと目が覚めた。隣のベッドを見ると、
フェリックスがいない。劇場を見張りに行ったのだろうと思いながら、
ワトリーも外に出ることにした。
食堂に差し掛かると、ろうそくの明かりがついているのが見え
中を覗くと、カオリが絵本を見ていた。ワトリーはそっと近づいて声をかける。
「こんな遅くに本を読んでいるのか?」
カオリは無言で本の絵を指さした。ワトリーがその指を追って見てみると、
「これはねずみなのだ」と教えた。カオリはさらに別の絵を指さす。
「これはチーズなのだ」とワトリーが教えると、カオリは静かに頷いた。
エマからカオリがあまり言葉を話せないと聞いていたワトリーは、
優しくその絵本を読み始めた。カオリは隣で真剣に話を聞いていた。
「カオリ、話せなくてもジェスチャーでコミュニケーションがとれるのだ。
例えば、うれしい時は、両手を大きく上げるのだ。」ワトリーが示すと、カオリは両手を上げた。
「ありがとうの時は、胸に手をあてて軽くおじぎするのだ。」カオリが真似をすると、
ワトリーは微笑んだ。「大丈夫のときは、親指を上げて、グッド!」
カオリが親指を上げて見せると、ワトリーは嬉しそうに言った。
「そうそう、上手なのだ、これからもっといっぱい教えるのだ。カオリとボクは友達なのだ。」
カオリは胸に手をあてて軽くおじぎをした。ワトリーはさらに言った。「他の絵本も読んであげるのだ。」
夜が更けていく中、二匹は新たな友情を育んでいった。ろうそくの明かりに照らされた食堂で、
絵本を読むワトリーとそれを真剣に聞くカオリ。彼らの間に流れる静かな時間は、確かな絆を築いていった。