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──その日は仕事を退けた後で、矢代チーフと待ち合わせをして、食事をすることになっていた。
先に会社を出て、駅前の噴水がある広場で待った。夜にライトアップされた噴水の周りには、同じように待っている人たちが何人もいて、待ち合わせの相手と二人で連れ立って行くのを見る度に、なんだかそわそわとして落ち着かないでいた。
もうすぐ、私のところにも待ち遠しい彼が来てくれると思うだけで、ドキドキが止まらなくなる。
早く、来てくれないかな……。早く、会いたい……。
ついさっきまで会社で一緒にいたのに、もうこんなにも会いたいだなんて……。
私、矢代チーフのことが、本気で好きすぎかも……。
……なんて、ひとりで照れ照れで想いに耽っていたら、「川嶋さん、待たせたな」と耳触りのいい低く柔らかな声がかけられて、ハッとして顔を上げた。