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「おっ、お疲れさまです!」
いざ彼を目の前にすると、今の今まで会いたくてしょうがなかったことが急に照れくさくなって、とっさに仕事モードでごまかそうと勢いよく頭を下げた。
「……ああ、お疲れ。だがそんなに緊張しないでほしいと、前にも言っただろう?」
矢代チーフがメガネの奥の目をフッと細めて、笑い顔を向ける。
だけどそんな不意の表情にさえときめいて、どうしようもなく緊張をしてしまいそうで……。
「おいで、行こうか。いい店を知ってるんだ」
先に歩き出す彼の後を、小走りに追いかける。
駅前の人混みの中で、その姿をちょっと見失いそうにもなっていると、チーフがふと足を止め後ろ手に腕を差し伸ばした。
これは繋いでもいいんだろうか……と、ためらっていると、「ほら」とすかさず手が取られて、「はぐれないよう、僕のそばにいるといい」と、傍らにグッと引き寄せられた。
握られた手から、彼の温もりが伝わってくると、隠し切れない緊張感にドキドキと鼓動が早まるようだった……。