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続き。黄赤編


「あ!赤司っち!!いらっしゃい!」

「あぁ、お邪魔するよ」

待ち望んでいた人物に、勢いよくドアを開ける。そうすれば少し驚いた素振りを見せた後、彼はにこりとこちらに笑いかけた。…うーっ、かわいい。頭1個分は下にある彼は、まつ毛が長く端麗な顔をしていて、少し髪を伸ばせば(筋肉質な足を見なきゃ)可憐な少女に見えるだろう。それほど”可愛い”顔をしている。

外へ長時間居させるのもどうかと思うので、早急に彼を中へ招いた。

靴をしゃがんで脱いでいる彼に、近くに腰を下ろして後ろから話しかける。

「オレの部屋でやりますか?どっちでもいいっすけど」

「うん、黄瀬の部屋でやろう。おそらく、広いとお前は集中できないだろう?」

そう言って赤司は挑戦的な笑みを浮かべ、黄瀬を見つめた。ドンッとイノシシに突進されたかのように、黄瀬の心臓にその仕草はクリティカルヒットだった。普段見せない顔に思わず「はひ…」と意味のわからない言葉を漏らして、少し早足になりながら赤司を自分の部屋へ案内した。


「よーし、じゃあやりましょ!わかんないとこあったら聞いていいんすよね?」

「あぁ、もちろんだ。どこの範囲をやってる?俺も黄瀬に合わせるよ」

「あ、オレはここをっ、…!」

「どれ、見せて」

そういって赤司はずい、と黄瀬の方へ身を乗り出した。既に赤司は座っており、もう参考書を広げていたのだが、それを気にする素振りも見せず、ローテーブルへ身を乗り出す。しかし黄瀬が未だ座っていない、それがよくなかった。赤司が身を乗り出したことで、彼の首元の布が下へずり下がる。シャツを着ているとはいえ、暑いようで彼は何個かボタンを外していた。そう、なると。

ちら、とかすかに見えた赤司の白い肌に黄瀬はひくと喉を震わせた。そして、じっ、とそこから目を離せなくなってしまった。ユニフォームである程度は見慣れているはずなのに、隠されていたから異様に魅惑的に見えるのだろうか。日焼け、をしらない陶器のような肌から目を離したかったが、自ずからは無理であった。

「…なるほど、そこか。俺も丁度課題として出ている。運が良かったよ」

そう赤司は元の位置へと戻って行った。それに合わせてぱっと目を軽く覆う。はーっ、助かった………。

そして、赤司の正面へ座り、手を外した。

「…そうすか?良かったっす!オレひとりじゃ到底無理で……」

「ふ、なに、お前は隠すのが上手いね。モデル、だからかな?」

「え?なにがっすか?」

口元を上品に隠して、彼は笑い始めた。……かわい…

「…黄瀬のえっち」

「………………え?」

…えっち?え、あの?えーっと。え?

赤司っちが?!!!?!!!

がた、と明らかに固まった黄瀬をみて、赤司はまた小さく笑い始める。それはだんだんと大きくなっていた。声を出すことはしないが彼の体がとんでもなく震えていることから分かるだろう。

「っひ、…ぁ、は……っふふふ…」

「…赤司っちぃ…。…ワザとっすか……」

「いや、違うよ…ふふ。俺もコレは想定外だった…。しかし、そうまじまじと見られたら気付くさ。」

赤司は、恨めしそうに己を見る黄瀬に、そう淡々と返した。そして、「へんたい」と小さくこぼして胸元のボタンを締め始める。想像できなかった天才の一面に、思わずごくりと唾を飲み込んだ。

「さ、やろう。さっさと終わらせて外出でもするかい?」

刹那、彼はノートを取り出してそういい、勉強に取り掛かり始めた。長いまつ毛を揺らしながら目を伏せ、すらすらと流れるように英文を書き始めた。そんな赤司の言葉にきょとん、とした顔を浮かべた黄瀬は、ぱあっと顔を綻ばせ口を開く。

「…えっ、デートって事っすか?よっしゃ!本気出すっすよー!!」

彼はそう意気込んで、開いていた参考書に目を落とし始めた。さら、さらと止まらない赤司の手と、かすかに止まりながらたどたどしく英文を書く黄瀬。

ひんやりとクーラーの効いた部屋で、先程の雰囲気を忘れたように2人は文字をなぞっていた。


_とりあえず、一件落着

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