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が、全然違った。
「さっき公園で会ったマサトともしたことある」
「したって何を?」
「セックス以外に何がある? プラトンもソクラテスも知らない馬鹿相手に哲学を論じても時間の無駄だしな」
いきなり鈍器で頭を殴られたような衝撃を受けた。時間の無駄でも今彼の立場としては、そこは哲学を論じてほしかった……
「どういうこと? 君の元彼はリクという人だけじゃなかったの?」
「元彼はリク一人。マサトとしたのはもちろんボクが望んだからじゃない。リクに頼まれて断れなかっただけだ」
「頼まれて断れなかったからって……。君は好きでもない相手ともセックスできるの?」
「できる。それはボクに限らない。人類最古の商売は売買春だ。人間なら誰でも愛のないセックスができる。ただし婚姻中のフリーセックスは婚姻制度を崩壊させるから、既婚者による貞操義務違反行為はわが国では離婚事由になると規定され、慰謝料支払いの対象にもなっている」
婚姻制度の話なんて当然耳に入らない。
「君がリクを恋人だと思っていても、向こうは君をセフレとしか思ってなかったんだよね? 愛していた男に愛のない行為を強制されて傷ついたという君が、別の愛してもいない男ともセックスできたというのが理解できないんだけど」
「夏梅は勘違いをしている。ボクはセックスが好きだ。セックス自体には何のトラウマもない。ボクはリクに愛されていると信じていた。だから愛されていると錯覚しているうちは、どんなにアブノーマルな行為を求められても、マサトたちともセックスしろと要求されても気にならなかった。ボクは何より裏切られることが怖い。だから恋人になってくれたのに、夏梅に好きだとか愛してるとかまだ言えなくて申し訳なく思っている」