Lock my heart 1-1
ここは責扒中学校。
この中学校は不良生徒が多数と言うことで有名になっている。
しかし、それを無かったかのように学校生活を過ごす者がいた。
その名は、《河原 伊月》である。
彼はこう言った。
『こんなにも性格を荒くする必要はあるのか。』と。
彼の友も中学生になってから不良となった。
きっとなにか事情があるのかもしれないが、あまりそうとは考えられなかった。
その上で、彼は自分のクラスメイトから聞き出そうとした。
でも、話が繋がらず完全に失敗に終わった。
彼は諦めなかった。そこで、教師に聞き出すことにした。
『すみません。この学校はなぜ不良生徒だらけなのでしょうか。』
『話すと長くなる。だが、いいだろう。簡単に言わせてもらう。それはこの辺の治安が悪いからだ。』
『え?』
『この辺の治安はとても暗黒で、闇深い。以上だ。』
『…はい、ありがとうございます…』
彼は動揺しつつもその話を元にし、それをよく分かっていない両親に向けての証拠として記した。
そして家に帰り、両親に対して明確に話し始めた。
『父さんと母さん、よく聞いてくれ。』
『俺の通ってる責扒中の生徒達の性質についてだ。』
『責扒中の生徒は完全たる不良生徒だらけで、現在に似た人数としては1999年の128人。』
『現在は125人であって、当時よりは落ち着いたがやはり人数が減ったとしても治安が悪いらしい。』
『そんなことがあったのね…ごめんね伊月…』
『俺もすまなかった…』
『いや、いいんだ。俺も意味分かんないこと言ってごめんなさい。』
両親も分かってくれたためか、心の底から嬉しく思った。
その翌日。
『皆おはよう!』と言った。そうすると同じクラスのとある儚くて少し背が低めの男が近づいてきた。
『…君、不良の才能があるよ。』
そういって目を瞑り、キスをしてきた。
伊月は突然キスされたことで頭がいっぱいになり、赤面した。
(へ?この子が俺にキス…?)
そう、その男は《一亭 真保路》だった。
(え、なんなの…?何のつもりでキスした…?)
(俺のこと好きなのか…?いや、無いか…)
(マジでなんでなの…?)
『伊月ィ!テメェ男にもモテるんだなァ!』
『フゥーフゥー!伊月モテ男ー!』
『ちょっ、やめてくれよ…』
こう言いながら結構、真保路からのキスが気持ち良かったと思ってしまっている。
授業時間になると全員席に着く。
『よし、今から数学の授業始めます。』
『日直、号令かけろ。』
『気をつけ、礼。』
『お願いします。』
『着席。』
『前の時間は…ん?』
そのとき、伊月とある女子生徒だけしかいなくなっていた。
『ねぇ!あんたのこと好き!』
それは嫌われているぶりっ子の 《端山 美佐子》だ。
『何?授業中だから後にしてくれる?』
『私と友達になるか付き合うかどっちがいいの?』
『どうしても?だけど、どっちもちょっとね…』
『…はぁ?こんな可愛い女の子に言われてるんだからどっちか選ぶしかなくない?』
『端山、今は授業中だ。静かにしろ。』
『はーい。』
そうして授業は終わった。
その後…
『ねぇ、私あんたのこと好きよ。』
『なんなの急に…』
(出会って間もないのに好きってなんのつもりで言ったの?)
『ごめんね。もうちょっとこのクラスに慣れてから言ってくれたら嬉しいな。』
『えー…分かった-…』
彼女を困らせてしまったと思ったが、あまりにも積極的だったので言葉が出てこなかった。
休憩時間でさえも不良達が屯っていてとても気まずかった。
あまりにも怖かったため、伊月は教室から出られるなんてことはなかった。
その不良集団のなかにいたのが、一亭だった。
(あの子、なにしてんだろ…)
そう思ったが、周りに厳つい不良生徒達がいたため近づきすらもできなかった。
小学校との環境すらも異なるからか、尚更違和感を覚えてしまった。
一方、端山は仲のいいごく普通の女子生徒と話しに行っていた。
『それでさー、河原のやつ全然私に見向きもしないで『今、授業中だから。』って言ってきてさ!』
『ヤバすぎ!全然見向きもしないなんて頭おかしいでしょ!』
『でもさ、真保路くんにチューされてた!』
『男にはモテるんだ。』
というように河原のことをいじっていたのだそう…
Lock my heart 1-2
彼女は相変わらず河原が好きなのだそう。
だがそんな思いは河原に届くはずもなく、またの機会となってしまった。
『もう、なんなのよー!』
『あんたさ、あいつのこと虐めてみたら?』
『いや、それは可哀想だからやめとこ。その周りにいる奴とかなら別にどうとも思わないけどね。』
『お前、本当にえげぇ奴やよね。』
『そんなことある?』
『…あっ!もうクラス戻んなきゃ!』
そう言い残して端山はクラスに戻った。
『だけど、河原の周りのは不良生徒ばっかり。本当に大丈夫なのね?』
『さぁね。でもアイツにさえ手を出さなければいいでしょ。』
『…アイツって誰?』
『この中学の生徒のなかでも最強な奴。』
《宮日 巳己》のことだった。
『あっ、それはダメだろうね…』
『あの人は不良生徒のなかで一番強いもんね…』
『噂によれば、先輩の不良でも怯えるくらいらしいよ…』
『怖ぇぇぇぇ…』
下校時間になった。
『ねぇ、一緒に帰ろうよ…』
『なんでよ。』
『だって、宮日 巳己っていう人に遭遇したくないもん…』
『あぁ、あの人?』
そういって端山の友達と帰ろうとしていた端山の従姉妹は指を指した。
『ヒェッ…!?』
『あの人優しくて好きなんだよね~!』
『それにこの学年のなかで一番イケメンだし!』
端山の友達は、(そんなこと言えるのか?)と思ってしまった。
翌日。
『…河原くん。おはよう。』
一亭が話しかけてきた。
『あ、おはよう…』
河原はキスされたことを思い出してしまったためか、赤面した。
『あのさ、あの、えっと…』
『き、綺麗だよね、君…』
『なに急に。まぁ、河原くんもカッコいいけどね…』
一亭は河原が見たところ、初めて赤面した。
とはいえ、一亭は河原が好きというわけではない。
『…君さ、いい加減不良になってみなよ。』
『髪染めしなくてもいいから、お願い。』
と一亭は不良に勧誘した。
でも河原は『ううん。』と言って拒否した。
一亭は悲しげな顔をして教室を出ていった。
『河原~』
端山の声だ。
『うるせぇな!黙ってろ、ハッ…!? 』
憎らしかったのか河原は初めて口を悪くしてしまった。
『…はぁ?こんな可愛い女の子に向かって何よ~』
『信じらんな~い』
河原が嫌いなタイプの喋り方だった。
そして河原は、こう決めたのだ。
(不良になってこのクズ女を見返してやる)と。
ここから河原の不良生活が始まった。
まずは口調を荒くし始め、次は怒ったら手をあげ、最終的には完全たる暴力厨となった。
『どこの集団に入ったんだ?』
河原の不良友達がそう言った。
河原は『もちろん宮日団だ。』と言った。
『そうだよな!俺も宮日団だぞ!』
『あの人すげぇカッコよくて最高だもんな!』
こう話していると端山が来た。
『ねぇ~なんの話~?』
河原達は無視をした。とても鬱陶しいと思いながら。