ワンクッションは1話にて
_えぇ!?
敦くんの声が聞こえた。
冗談にしないと。そう思って敦くんの方を見た。
でもそこに敦くんはいなかった。
「あ、れぇ、?」
また、幻覚だったのかな、、。否幻聴か、、
もうほんと、嫌だなあ、、
今日は、ツイてない、、。
そしたら段々、瞼が重くなってきた。
、、寝ちゃおう、
敦side
国木田さんから、
「太宰が5時になって出てこなかったら起こして来い。」
と言われたので5時まで家の前で張り込みしている僕。
持つ携帯の画面をちらちら眺めながら玄関を警戒する。
《05,00》
僕が設定した簡素な時計の数字は、5時を示した。が、太宰さんは出てきていない。
僕はインターホンを押して、
「入りマース!」
預かった合鍵を使って部屋に入る。
まず、部屋に入った時、部屋の湿度が恐ろしい程に無いことが分かった。
更にはお化け屋敷と言ってしまえば信じれる様な暗い部屋。
_そして
カーテンの隙間からの光が照らす先に居た太宰さん。
椅子の前で椅子に片手を置いているも、殆ど四つん這いな状態。
それはそうとして、異変はこれだけではない。
僕の人間としての嗅覚であってもわかる。
鼻をつくようなツンとした独特とした匂い。
何処かで嗅いだ事がある、何だか不快な匂い。
其れは太宰さんの手元からだった。
太宰さんの手元には胃酸が広がっていて、まだ口からボタボタと低い音をたてて落ちている。
_え?
「えぇ!?」
え、胃酸、?
僕が脳内処理を行っていると、太宰さんの顔がふと此方を捉えた。
でもそれは、僕を見ていて僕自体を見ていない。
見えていないような。
「あ、れぇ、?」
不意に太宰さんが声をあげた。
その声ではっとなる。
声掛けをして落ち着かせないと、!
そう悠長に考えている暇はなく、太宰さんの目はゆっくりと閉じられて行った。
「太宰さん!?太宰さん!!!」
すぐに息を確認した。安定していた。
寝ているようだった。
_一体なにが、?状況が読み込めない。
取り敢えず息は安定しているから、落ち着いて電話をしなければ、。
次々に覚えたてのような番号を手慣れない手つきで押していく。
「国木田さん。」
『敦か、、なんだ。太宰は居たのか?もう会議が始まるぞ。』
「否、、居ては居るんですが、その、」
『なんだ。』
「その、、、倒れまして、。」
『なんだとッ!?』
「あ、でも息は安定していて、寝た感じです。」
『あぁ、そうか、、、???』
理解し難いような声が電話越しに聞こえる。
「兎に角、太宰さんの部屋に来てください。」
『すぐ向かう。では。』
プツッ
国木田さんならすぐやって来るだろう。
それ迄に状況を把握しておかなければ。
「カーテン開けとこう、」
シャッ
甲高い様な音が引きづられて響く。
太宰さんの部屋。
其れは実に簡素ではあったが、常に不可解な雰囲気を漂わせており、所々違和感を放つ。
アメリカの町にサムライが歩いているかのような。
余所者の雰囲気。
僕は其の余所者を探した。
けれどそれはすぐに見つかった。
救急箱だ。
中は開け放たれており、端にはスタックのような包帯が収められていた。
余所者はこれでは無い。
半分以上を占めている、大量の薬。
1つの睡眠薬は瓶状で、開けられていた。
でもその睡眠薬は倒れていて、中身が無くなるほども行かないほど出ていた。
薬の自殺に踏み込んのだとすれば、これじゃ足りない筈。
でもそれでもと思って、胃酸に目を向けた。
「、!?」
胃酸の中に1つの固体が混じっていて、
その固体は、、
睡眠薬だった。
寝る為に飲んだのだとしたら消費量が多い。
この睡眠薬は新品だから。
開け放たれていた睡眠薬の横には、瓶を包んでいたビニールを破ったものとその箱、そして説明書。
明らかに新品だった。
でも瓶の中は半分程しか入っていない。
僕も見た事があるこの薬。
瓶のそれなり迄入っていたはずだった。
全部で40入っている、この薬。
_「入るぞ。敦、」
後ろから頼りな声が聞こえる。
「国木田さん。」
「な、なんだこれは、、、」
「じつはかくかくしかじかで」
国木田さんに全てを話した。
太宰side
意識が戻ってきた私。
視界が風景に慣れておらず、イマイチ状況が把握出来ない。
私の体はふわふわで、それでいてサラサラしている優しい温かさに包まれていた。
パチッ
「ここ、は、?」
私の記憶の最後は、幻聴で敦くんが呼んでいた、筈だ、。誰がここまで?
__「おはようございます。と言ってももう10時なんですけどね。体調は大丈夫ですか?」
すぐそこから声が聞こえてきた。
「敦くん、」
敦くんだった。
1体どうやって?
「すみません。5時になって出てこなかったら連れてこいと国木田さんに言われていたので勝手にはいりました、、。」
あれ?
「5時に部屋に入ってきてたの?」
「?、、はい。?」
どうやら敦くんは部屋にいたらしい。
つまり、声は幻聴じゃなくて本物。
視界は部屋の幻覚で埋まってたって訳か。
後輩に情けないとこ見られちゃったな、、。
「、、、」
「太宰さん?」
下に俯くと敦くんからの心配がなげかけられる。
まだまだ副作用が抜けない身体で聞いた。
「ねェ敦くん。」
「私って居てもいいの?」
敦くんは目を見開いて固まっていた。
「今日だって、ほら、こうやって手を煩わせたし、今は10時って事は会議や準備の時間を削ってしまったって事だし、、こんな失敗ばかりの私が居てもいいのかなって、」
何だかスラスラと出てくる言葉が少しばかり重い。
敦くんはどう返すのだろうか。
「__な、」
「何言ってるんですか、?」
「え、?」
予想外の反応から入った敦くんの顔を見るのが少し怖くなった。
矢張り考える迄も無く居たいなら頑張れと言うことかな、。
___「太宰さんが居ないなんて嫌ですよ」
はっとなって顔を上げる。
そこには少し泣きそうに顔をゆがめた敦くんの姿があった。
「僕は、ッ僕はあの地獄からすくい上げてくれた太宰さんがいないと嫌です、ッ!!!」
さっきの余裕さは何処へと問いたくなる程感情的で思いが伝わる敦くんの一つ一つの言葉は丁寧に素早く私の耳にどといてくる。
「僕は、!今日よりもずっと失敗した太宰さんでも、!!!毎日失敗ばっかりな太宰さんでも、!」
「どんな太宰さんでも僕は傍にして欲しい、、!!!」
敦くんの想いがはち切れるのかと思ってしまうほど感情の乗った言葉を伝えてくれた。
_失敗ばかりの私でもいて欲しい。
「ほん、と、に?」
「僕は何時だって本気で本当の事を伝えてます、!」
「あ、ありがと、ぅ、ポロ」
「!」
気づけば安心から漏れだした私の感情が限界を迎えて涙として出ていた。
敦くんは、、、
敦くんは、、、
こんな私でも必要としてくれる?
「ごめ、、ッ嬉しくて、!」
そうやって袖で無造作に涙を拭いて顔を上げると今度はニコニコな敦くんが居た。
「どうか、した?」
「いやあ、、太宰さんもやっぱ人間だなぁって」
「一寸其れどういう意味?笑」
それから私達は何事も無かったかのように、、、否、その出来事から前よりもずっと、ずっとずっと楽しい一日を過ごした。
大変な依頼だったのにも関わらず、何故か身は軽やかで、作戦が思い通りにいかなかった時、元に戻す作戦をすぐ実行することも出来た。
そんな何時もとは違う素敵な一日。
_ありがと
END1,完結
(๑ ิټ ิ)ヘヘッ
1週間もすみませんでした(
コメント見て舞い上がって書いていたもののどうしようかめっちゃ迷ってました、
今回の見て欲しいポイントは
1話も今回も「無造作に拭く」っていう事があるところです!
前は1人、死相を拭う様な拭き。
今は2人、過去を拭う様な拭き。
そんなふうに見ていただくとちょっと嬉しい(?)
んで!最後にEND1とか書いてあるんですが!
ENDいっぱい作ります!
はい!
なのでまだ終わりません!
このエンドが1番ハッピーな予定ですが更にハッピーな可能性もありますが不穏になる確率が癖的に高いです(
では!これからもどうぞよろしくおねかいします!
コメント
5件
END沢山あるのってさ、書いてて楽しいんだよねぇなんか…いいね