ある夏の日 、その日はとても暑くて
目の前が溶けて見えるほどだった
そんなある日 、斉藤タカ丸は
この中高一貫大川学園に編入することになった
『…えぇっと 、斉藤タカ丸ですっ』
『よろしくね 、!』
おれは 、高等部一年に編入することになったが
実年齢は高等部三年と同じ歳なのだ 。
まぁ 、理由は色々 。
歓迎ムードの中 、担任の先生がそれをぶち壊した
「えー 、じゃあ斉藤は平の隣だな」
『……..平?』
いつしか 、その名前を聞いたことがある
気もしてるけど 。きっと気のせいだよね
ところで 、その平って人は……
あのいかにも私が平です!!と言わんばかりの
オーラで挙手をしているヤツじゃないよね??
「….まぁ 、アイツが隣で気の毒だろうが 。
夏休みが明ければ席替えも考えてるからな」
なんて言われて 、その後は
すぐその平の元へ連れていかれた 。
「タカ丸さん!!この平滝夜叉丸が
またもや同学生でさぞかし嬉しいことでしょう!
ですがですが!この平滝夜叉丸は以前の私では
ありません!!なぜなら…………」
『…え 、えぇ??』
『平くんってば 、面白いこと言うね笑
まるで俺たちが遠い昔の友達みたいに』
なにかおかしなことを言ったのか
平くんは少し顔を歪ませたあとまたうるさく
グダグダと話をしだした 。
その横を 、とても可愛らしい女の子が
通り過ぎる………..そんなとき 、
「…わっ」
平くんの長い足が机からわざとらしくはみ出て
その足に女の子が引っかかり転けてしまった
普通 、転んでいる人がいたらみんな驚くだろう
でも….なぜかその場にいるみんなは
少し目線を送っているだけで誰一人として
助ける気が無かった 。
「おーおー 、誰かと思えば喜八郎じゃないか!」
「…..滝 、」
「どうしたんだ??
こんな何も無いところで転んでしまって」
「….いっ…」
「何?何痛がってるんだ?ここが痛むのか!」
「いたぃ ….」
『….ね 、ねぇ平くん..?』
「…….あぁ!タカ丸さん!何か?」
『いや…それ 、大丈夫なの…?』
「はて 、、、何がです??」
『え?….その、、その女の子
すごく痛がってるよ 、辞めてあげなよ 。』
「……女の子??」
「ははっ 、タカ丸さんは本当に愉快だ 。
なぁ?喜八郎 。自己紹介してやったらどうだ」
そう言って 、平くんはキハチロウ?の襟元を
思いっきり持ち上げてその子はされるがままに
動いて 、そのまま俺の元へやってきた 。
「…..僕 、綾部喜八郎っていいます 。」
「あの 、僕男ね 。」
『え….えぇぇえ!?!?!!』
そのあとは 、平くんが綾部くんを引っ張って
どこかへ連れ去ってしまった 。
あの二人を一緒にしてはダメなんじゃないかって
どこかの自分が訴えてきて 、俺もそっちへ
行こうと考えたけど 、それは叶わなかった
『えぇっと 、君は??』
「…..本当に覚えてないのですね 、タカ丸さん」
『……???』
「いいえ 、こちらの話です 。」
「….ゔうん 。私は田村三木ヱ門!
この学園のアイドルをやっています!!!!」
『あ…うん 。そうなんだ』
『そんなことより 、三木ヱ門』
「そんなことって …… はいなんですか?」
『平くんもだったんだけどね 。
俺とキミ達って知り合いだったっけ?』
そう 、疑問に思ったことを
口にしただけなのだけど 、彼も平くん同様に
その整った顔を歪ませていた 。
『…..そ 、そういえば..あの二人のことですが』
あからさまに話を逸らした 。
なんて思っているものの 、あの二人の話は
少し気になっている自分がいて
大人しく黙って話を聞くことにした 。
「別に 、あの二人を干渉する必要は無いですよ」
『…..え?どうして…..
だってあんなのほぼいじめじゃ….
「……二人だけの事情って
やつなんじゃないでしょうかね 。」
「私 、彼らの幼馴染なんですけど
中等部までは仲が良かったんですよ 。」
すごい衝撃を受けた自分がいる 。
クラスで起こっているいじめを
ただじっと見つめているだけの人だらけで
幼馴染ですらそれを傍観している 。
きっと 、おかしいと思うのは俺だけじゃないはず
俺が 、ここまで彼を思うのは
どうしてかなって考えてみたけど
どうしても俺は彼らとはじめましてだとは
到底思えない 。
それに 、綾部くんに出会ったあの瞬間
胸がギュッと掴まれる感覚になったのを覚えてる
これは 、18年間生きてきた勘が働いた
この動悸は 、恋だってこと 。
だからまずは 、彼を知るため
二人についてよくよく観察してみようと思う