大人組です
友情出演 信号機(?)
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ずっと桃side
俺から見ても、紫くんと橙は
とてもお似合いだと思う。
2人とも凄く気が合う訳じゃなくて、
むしろ俺の方が紫くんにとって
話しやすい相手だというのに、
紫くんは橙を選ぶ。
お気付きだとは思うけど、
俺はずっと紫くんに思いを寄せた。
紫くんだけを考えていた
そんな日もあるくらい。
まぁ話は戻るが…
シンプルに相性が良くて、
言えば「たまたま」。
そう、「偶然」である。
つまり俺は偶然に負けた男。
そんな何も出来ない俺だ。
ただ隣に居るだけ、
それだけで「偶然」を作れたはず。
そんなことを四六時中考えてるせいで、
俺は次第に自分を嫌っていた。
今日は赤の家で会議。
日本一行きたくない日だった。
バックれよっかな、
そう思っても今日は大切な日。
遅刻もバックれるも許されない、
12月どうしよう会議だった。
幾つか候補は上がってるけど、
みんなで決めていこうとのこと。
今日だけは我慢しようと決意する。
服を着替えて髪もある程度
セットしておいて、必要な物を
鞄に詰め込んでいく。
「よし」
そう一声、自分にかける。
頑張れば終わりだって言い聞かせて、
外へ飛び出して行った。
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「お、桃ちゃんおはよー….。」
眠たそうな声をした赤は
ハマってる音ゲーをしていた。
相変わらずうまいし…
「随分早いじゃ〜ん」
「目覚まし何個かけたの?」
「うるせ、俺だってこんな
早く来たかったわけじゃねぇよ」
「てか、目覚まし設定してないし」
「……….よかった」
急に安心したように語り出す赤。
戸惑いつつも話に耳を傾けた。
唐突なのはいつもと変わらないし、
そう思って改まった赤を見た。
「最近桃ちゃん元気なくて、
気分悪いのかなとか、なにか…
あったのかなって思ってて」
「今日会えるか心配だったよ」
「でもこうして来てくれて、
会えて俺は嬉しいよ」
「元気そうでなにより」
言っちゃえば、俺は
救われるんじゃないかと思った。
この思いを。この気持ちを。
赤なら、わかってくれる?
主張し続ける記憶を
どうにか助けてくれる?
俺は手を伸ばした
「………桃くん?」
「……….」
「…….話してくれるの?」
相変わらず服はオーバーサイズで
風通しがいい服を敢えて着ている赤
体温が感じれず、冷たい。
でもあの二人よりはマシだって
何をしてもあの二人と比べてしまう。
なんて女々しい。
こんなんじゃないはずなのに。
「…赤は」
「あの二人、お似合いだと思う?」
「…..あ、橙くんと紫くん?
そういや仲良いよね最近」
「お似合いって、どゆこと?」
まだ話してないんだ、
そう思って口を開いた。
きっと恨まれるだろうけど、
あの二人の優しさと
5年の付き合い、信じてる。
「あの二人付き合ってる」
「知らなかった、?」
赤はあまり触れたくないが
性別は俺らとは違う。
だからきっと恋愛には少し
いい思いはしていないはず。
「こんな体」と拒んだ夜は
計り知れないはず、。
赤は申し訳ないけど、この時だけ
「異性」として答えてほしい。
そんな欲を赤は気づいたのか、
「異性」として答えてくれた。
「俺は結ばれてよかったと思う」
「そういう人あんまり出会えないし、
あの二人ならきっと幸せだよ」
「お互い違う所噛み合わない所
あってもきっと一緒だし」
「俺は応援したいな。」
全部をプラスに考える思考、
何度羨ましいと思ったか。
何事にも変に捉える俺には
到底できた試しなんて無い
赤らしい回答だ。
「…….そっか、だよな」
「あ、俺分かっちゃった」
「こーゆーのは鋭いの、俺」
「紫くんの事すきだった?
ね、それ以外考えられないよ?」
その瞬間、扉の奥で騒音がする。
赤の言葉と騒音。
後者をとった俺は問う。
「…だれ?」
気まずそうに扉が開いてく。
扉の隙間から大好きな匂いがして、
大好きな彼が頭を覗かせた。
「………..っ紫くん」
「…..」
紫くんは扉を半分開けて、
また閉じようとする。
床にはアイツとおそろいなのか、
かばんが落ちていた。
この気まずさは
聞かれていたんだ..。
そう思い脳の整理が落ち着かなくなる。
赤はそんな俺を見て
紫くんにいつも通り話しかける。
「おはよ〜紫くんっ」
「今日も早いんだね」
「…、っ桃く…ん」
赤の言葉を無視して、俺を見た。
真剣な大好きな目で、
俺を直視している。
俺はこの場にいることが耐えきれなくて、
でも逃げ出すことは出来なかった。
今にもここから逃げ出したい..
そう思ってはいたが、
俺は向き合うことを決意した。
「….ごめん、ね、」
「素直に祝えません」
「でも、お似合いだと思うよ」
今となれば、嘘だと確信しているこの言葉
「お似合い」なんて嘘ついてごめん。
知らないことばっかりだけど
二人についてよくわかんないけど
「知らない」なんて言えないから
「お似合い」と言うしか無かった。
本当は羨ましい
アイツが羨ましい
そばにいれて、いいなって思って
俺だけ見てれば_って思って、
ずっとそばに居る妄想してきた
そんなんで満足してたから
きっと幸せになれなかったんだ
俺が悪い
だけど、でもね
好きだったことに変わりないの
それが苦しい
それが辛い
今でも
「…俺は、もう全部言ったから」
「当分こうだけど
しっかり忘れるから」
「っ..桃くん..!?」
「桃ちゃんどこいくの..?」
耐えきれない思いが溢れる前に、
俺はすぐ外へ逃げ出す。
新鮮な空気と締め付ける胸が
混ざりあって水へと化していく
冷たい空気が体を刺激する
正直、ずっと考えてて何言ったのか
全く覚えてなんていないけど、
1ミリでも伝わったならそれでいいし
忘れるなんて到底できない
忘れたくない。それが本心だけど
忘れなきゃ身のためにならない
苦しいけど、生きる為に
その後、橙も青も黄もきて、
何事も無く会議を終わらした。
会議後は時間がかなり遅くて、
お泊まりという話が上がったが
「やることがある」
と言ってそそくさと帰った。
紫くんと目を合わせずだから
ずっと関係は縺れるままだった。
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翌日
朝。
眠る猫のひなの毛並みを整えながら
スマホを覗くと彼からの連絡があった。
「桃くん」
「見たら返事欲しい」
既読を付けたことに後悔する
そんな文面だった。
既読をつけたからには、
返事をしなくては。
俺はただ素っ気ない返事で
「なに」と2文字だけ答えて、
彼からの返信を待つ。
その数分後、携帯が鳴る。
ぱっと開くと彼から
「今日話したいことがある」
「15時そっち行くから」
「すごく大切な話」
もうそんなの気まずすぎて
俺また泣いちゃう。
そう思いながらも、
Yesと答えざるを得なかった。
「わかった」
とわざわざ打って、
携帯の電源をぷつっと切る。
彼からどんな話をされるのだろうか。
そんなことを考えながら、
またベットへダイブする。
まだ横で寝ているひなの毛並みが
顔にあたり、思わず顔を埋め込んだ。
案の定猫は起きて、
俺の状況を見て驚いたのか
一瞬固まったそのままだった。
動かないと思って
心配している。
「……….っひなぁ、」
「俺もうダメかも」
顔をそのまま埋め込み、
動じないひなの体温に包み込まれる。
ほんと、猫に何してんだ俺
ひなの体温が暖かすぎて、
そのまま人形のように抱きしめて
二度寝をした。
誰もかも忘れて眠って
そのまましんじゃえば、
と思い、ぎゅっと深く目をつぶった
だけど ぱちっと目を覚ました。
ひなは優しいからずっと居てくれて、
そのままの状態でいた。
なんて賢い猫なんだと思い、
若干苦しそうなひなを離す。
俺は近くにあったスマホを覗き、
時刻を確認した。
俺は驚いた
「……15時半」
彼は15時にきてと言ってた事を
俊敏に思い出す。
あ、やばい
彼から「そっち行くね」と連絡がきて
まだ5分しか経っていないし、
俺の家路は大抵決まっている。
今ならまだ引き返せる。
服を適当に着て髪も整えず、
ただただ全身全霊で走った。
家から飛び出し鍵をかける。
そこからは、走ったことと
「ぁ….」
「紫くん..!」
彼を見つけたことと
彼が視界から消えたこととしか、
覚えていない。
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「おい桃!!」
「どういう事..!?桃くん..!!」
「お願い..説明して..!!」
信号機から質問と暴言を投げられる。
俺だってよく分からないし、
俺こそ1番理解出来てないくらい。
彼は暴走したトラックに轢かれた、
ただそれだけで、説明なんて無い。
「…っしら、ない」
「俺だって、わからない、っ」
「しらない」
「….嘘、つかないでよ..」
「嘘じゃない..!なんでっ…」
「..やめー、や」
今までずっと黙り込んでいた、
橙が止めに来る。
「…紫くんはまだ生きとるし、
医者もきっと目覚めるって、
言っとったやろ、?」
「…..」
「青も赤も混乱してるのは分かる
俺だって信じきれてない」
「..でもまだ生きてる、から」
「….やめてや」
橙が少し憎かったはずなのに、
この場では1番冷静だった。
どうして、と思うが、すぐに思いついた。
彼が生きてる、紫くんが、
生きてくれてるだけで嬉しいんだ。
俺にはそう勤まらないと思った。
なんだか彼が橙を選んだ理由、
かなり分かったかもしれない。
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数日後
あの日から数日。
5人ずつローテーションで
お見舞いへ行く制度を作った。
生きてるかの確認と、
目を覚ましたかを見る。
今日は、俺の番だ。
「….紫くん、会いに来たよ」
真っ白な壁と機械音。
弾むような音ではなく、一定の音だ。
そんなのも気にせず、
彼はすやすやと眠っていた。
「..紫くん、すきだよ」
「…….」
どう言ったって返事はない。
だけど、それがいい。
伝えているのに伝えてない、
このもどかしさが強くしてくれる気がする。
俺は好きを連呼した
「好き、大好き、紫くん好き、」
「世界一好きだよ、紫くん
俺は紫くんを宇宙一好きだよ」
「好き」という言葉のパターンが
無くなって、沈黙が続く。
そろそろ帰らなきゃ。
俺だってやることもたんまりある。
「…じゃあね、紫くん」
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そんな日が続いた日のこと。
その日のお見舞いは俺だった。
いつもの様に愛を伝えて、
いつもの様に額を撫でる。
さぁ帰ろうとしていた時だった
「………….、橙、くん」
大好きな声が背後からして、
思わず耳を疑ってしまった。
俺が…
「っ……、、!」
振り向けなかった
俺だと知って幻滅されたくなくて
まだ橙だと思っていて欲しいから
きっとまだ目覚めて間もない。
そんな頭で人を見間違えるのも
全然不自然ではない。
だけど、それでも
「….、橙くん..なの?」
背丈はアイツより小さいし、
握力もアイツより弱いし、
恋愛でもアイツに劣っている
もう何をしても敵わない
分かってるけど、俺は
そんなのが羨ましいんだな
俺は後ろを向いた
「…違うよ、桃だよ」
これは決意表明でもある。
「っ….ごめ、桃くん…!」
「それより、おはよ」
「もう3週間、たってるよ」
「えっ..!!そんなに…!!
リスナーさんたちは、!!」
「大丈夫、心配はしてるけど、
そんなに元気ならきっと安心する」
「…っ」
「桃くん..って、そう言えば話が….」
「…..あぁ、あったね」
前の俺なら逃げ出してた。
絶対、「ごめん」と言うから。
でも今はそんなの関係なかった。
ただただ、2人きりが嬉しくて、
話の内容なんて少しも興味が湧かない。
心配なんて、何も無いのだから。
今の俺に失うものなんて無いのだから。
「……….ご、ごめんね」
「きっと聞きたくない話、
これからしてくから」
「素直に応援してくれなくて
全然いいし、妬まれたって良いと思う」
「橙くんと一緒だから、」
「辛いことがあっても、
橙くんと一緒に生きていきます」
「何も考えてあげられなくて
ごめんなさい、」
「俺はいけないことしたって
あの会議の日ずっと思ってた」
「….謝りたかった」
「でも桃くんは俺の口から
ごめんなんて沢山聞きたくない!
って思ってるだろうし、、」
「…だから、もう今後一切言わない」
「最後のごめんはさっきだよ、
さっきので、もう終わり」
「俺はリーダーとして、紫として
大切なメンバーの嫌なことを
したくないから、ね!」
「ごめん」が嫌なことも、
好きな事実が辛いことも、
何もかも見透かされたみたいだった。
胸が熱くなる。
感情が噴き出してく。
「…….泣かないでよ、
俺まで泣きそうになる、」
「てゆーか、俺重症だし、
何があったのか分からないんだけど」
「っ…..、!むり..もう、…っ」
「はははっww話せないかぁ、
そうだよなぁ、」
「….もう二度と寝坊しないでね?」
彼から俺があの時寝過ごした事、
叱るより注意をされた。
ひなの体温が暖かすぎて、
その辛いことを忘れようと、
しのうなんて考えてたから..なんて
言い訳は通用しない。
俺は彼を抱きしめて言った
「もちろん」
涙ぐんだ声には、
ひとつも説得力がなかった。
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その後、無事彼も退院出来て、
放送にも仕事にも完全復活。
また楽しい日々が帰ってきた。
途切れ途切れになってしまった
俺の毎日投稿も、反省のため2本投稿
という縛りプレイをしている。(謎に橙も)
そして、彼と橙は順調だった。
リスナーさんにも打ち明け、
お似合いだとかありえんとか
賛否両論飛び交っていた。
が、お互い助け合いながら
「非日常」を毎日暮らしている。
この前橙の家に行ったら彼がいて、
「半同棲生活」と言われた。
この際同棲すれば と提案したら、
すぐに彼が 橙くん部屋汚いから無理 と
スパッと切られてしゅんとした橙に
過去一笑い、いい放送のネタになった。
そして、俺は自信満々に言える。
「あいつらはお似合いだ」って。
きっと目覚めた彼に「橙くん」と言われ
もうどうにでもなれ!って思ったんだ。
失う物は沢山あった。
けど、ないって、錯覚していた。
それほど心がもう開き直りかけていた。
てか、開き直っていた。
俺だってずっと彷徨う訳にはいかず、
このままではダメだと思っていたし、
いい機会だったと思っている。
そして、明日は会議の日。
しっかり寝なきゃな。
そう思ってゆっくりまぶたを閉じる。
朝。
午後12時30分。
赤からの電話で気がついた。
「桃くん!!!なにしてるの!!
今日会議だよ?!?何寝てんの?!」
「ねぇ今みんな待ってるよ!?
今でも1時間遅刻だよ!?!?!?」
寝起きの頭には酷すぎる怒鳴り声。
なんだか笑えてくる。
「あー、はいはいバックれまーす」
「はぁ!?今日大切な会議だよ?!
紫くんも言ってたでしょ!?」
「….分かった分かった、そんだけ
お前は俺に会いたいみたいだな」
「ちがうわきもい」
「いーよいーよ、ツンデレかな?
大好きな桃さまが行ったるよ」
「とりあえずはよこい!う○こ!!」
ぷちっと電話が切れる。
バックれると言った時から
服は着替えて持ち物も揃えていたから
今からダッシュで行く。
そして携帯が鳴った。
「また俺交通事故、あおうか?」
そんな文が、彼から送られた。
全くうちのリーダーは。
そう思って俺はひとつ送る
「そんときは俺も死にに行くよ」
「一緒に花束になろうぜ」
他称キザな俺はこういうのは憧れ。
エレベーターに駆け足で乗り込んだ。
また携帯がなる。
「その時は橙が買ってくれる、
ってことでいいのかな?」
「でももし俺と橙くんだったら、
その時は花束、買ってね」
なんて当たり前なことを言うんだろう。
なんてかなわないんだろう….、。
「当たり前」
素っ気ない返事が大好きな彼には
きっとこの文字が好きだろう。
橙より好きな自信はないけど、
橙より好きだと思われる自信はあった。
故に彼氏になれる!?!?
バカみたいな話だけど。
まあ俺は誰かの彼女なんだし、
彼氏にはなれないけどね!!
「好きです!!僕と付き合ってください!!」
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いやぁぁハッピーエンドっていいですね()
恋に終止符を打つのは難しい。
それは転機を見つけるより難しくて、
とても敵わなくてとても苦しい。
そんな恋を乗り越える敗者は
どんな思いをしているのだろう、と
思い立って考えた物語です。
続きがあったりなかったり。
桃はきっと大好き過ぎて、
敵わないと知って、
自分についてもっと深く、
知れる機会だとプラスに捉える。
因みに私は橙紫つきあってるって
言われても全然違和感ないです。
ぐっばいいいいいいい
コメント
4件
どんなに辛いことがあっても 最後はキレイに咲けるなら もうそれでいいって思うよ
みんなが幸せならそれで何よりです(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”
ブクマ失礼します!