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地下町で、旅館の二代目町長の父と地上の着物売りの女性の下で授かった俺ら兄妹。
この時、父親はまだ初代である祖父の旅館を継いでいない時、地上で産まれ育つ。継ぐ前の父は農家、母は婚約前と同様着物売り。俺らは父の農業を主に手伝っていた。いつでもどこでも協力しあって安羅が十四の時、夜中に放火魔によって家が燃やされた。俺らは居留守をして、両親の帰りを待っていた途中にだ。俺は助かってしまった、安羅を置いて近くに食べれそうな物を探している間に。
両親は充分な食事を与えてはくれなかった。しかし、それが普通なのだと受け入れていた日々。父親は、友人と意見の食い違いで揉めることも多くなったそう。だから、犯人はそいつなんじゃないかって説を立てていた。
安羅の顔は酷く焼け爛れ、溶けて、原型は留めれていない美人だった顔。掛け替えのない唯一の雛鳥が今死んだ。俺は、救えなかった。放火魔は見つかっていない。父親は焦った。地下の旅館主催の年に二回の祭りで、血族の中でべっびんさんな妹が出ることが産まれた時から決まっていた。安羅に祈れば、豊作が実だの出鱈目で、信憑性は無い。そんな日が今年も控えていながら今回の事件が起こってしまった。
安羅の顔に包帯で覆われたままの包帯は膿と血が滲み出て痛々しい。直視することが出来なかった。しかし、今晩祖父は老衰。当然、皆、平民よりそちらの方を優先する。注目が向けれらていない今こそチャンスだと思った父と母は俺に黒他人(コクビト)と呼ばれる死神に死者蘇生させて来いと無茶を言う。隠蔽するつもりなのだろう。付近に良く現れて、死人を生き返らせれるというのが主な噂だ。両親は祖父の件で忙しく、俺を頼るしかなかったのだろう。
よく出没されると噂の木小屋の前に安羅を運び、来るのを待った。正直、来るはずないがない、そう思っていた。考え事をしている最中、屈んでいた俺の後ろから声を掛けられた。
「君、こんなところで何してるのかな?」
臼柏 千布「っ!?」
こいつが噂の死神か?俺は確認を取った。
「…そういえばそんな噂をされていたね」
臼柏 千布「せやから、助けてほしいんや!俺の死を取引にしてもええぐらいな。」
「そうだね。聞いてあげようか。さあ中に入って」
安羅を抱えて木小屋に入ると、明かりがついた。夜中で街灯もなかったため、真っ暗で分からなかったが、死神とは言い難い、人間のような。一目で分かる整った顔立ちをした青年だった。
「彼女が生き返らせて欲しい相手かな」
臼柏 千布「そうや」
「繃帯を取っても?」
俺は返事に困ったが、何をされるかも分からない相手になんとなく頷いてしまった。その死神はゆっくりと包帯を外した。
「火事かな。酷く焼け爛れているね。本当に生き返らせてほしいの?」
出来ることなら俺だって、もう一度いつも通りあの生活を送ってみたい。安羅に会いたい。
臼柏 千布「頼む」
「…立ってよ。土下座するほどじゃない。ふっ、そこまでしてほしいなら、二日、時間をくれないかな」
死神は安羅を抱えてそう言った。叶えてくれるんなら、と俺は承諾し、小屋を出た。
あの後、両親に二日経てば蘇生してくれると説明した。祖父が亡き翌日、父が後継をすることになり、地上から地下へ引っ越すことになった。その際に、田は知人に譲ったと。もう一度話して、この先も生活がしたいと思うが、死者蘇生なんて信じていなかった。
二日が経ち、死神の元へ向かった。ドアを開けると俺を迎えるように死神が座った安羅の肩に手を置いて待っていた。安羅は目を瞑り、俯いている。
「待ってたよ」
臼柏 千布「申し訳ないな。手伝いしとって」
「君も忙しいんだね。ほら、これでどうかな」
なんて言うけど、顔は爛れたまんまで服は白衣の着物。着替えさせられたってことは、、、、なんか怖いな…。ほんまに生き返ったんかって言うと正直分からへん。
「もう少ししたら目が覚めるよ。楽しみにしててね」
臼柏 千布「…ありがとう。これで生き返ったら何か恩返しさせてや」
「ふふっ、恩返し、ねぇ…」
俺は安羅を抱えて地下へ降りて、新しく引っ越した家へ帰る。
抱えている途中で起きてしまった。
臼柏 安羅「…ん…」
臼柏 千布「安羅、顔上げるなよ。絶対な」
ここで、顔を見せてしまえば、終わりだと。安羅は俺の言うことを聞いてくれたのだろう。伏せたままでいてくれたけど、無言のままだった。
家に着くと、ノックを三回すると、母が開けてくれた。
父&母「安羅?!」
両親は大喜び。まさか、本当に生き返るだなんて。あの死神に感謝だな…。もう一度会った時いつか恩返してやらないと。
開催されないのではという否定の押し除けるように当日の一回目の祭りを行った。
住民は当然驚いた。仮面を付けているから顔が見えない。疑問の声が飛び交う中で父親が、安羅は神と触れ合っているためだ、と適当に言った言葉が住民に簡単に通じてしまった。
何とかバレずに終わらせることができた祭りの後、父の様子がおかしかった。
父「ウ゛ッ、ゲホゲホッ!」
母「貴方…!」
父は40を超えたあたりから病気を患っていたのだ。
そして、翌日。容態が悪化した父は突然倒れ、病院で一命は取り留めたが、後継を出来る体にはもう戻れない。そのため、俺が後を継ぐことになった。こんな状況下で、急に後を継げなんて言われても…。
病室で父に言われた。お前が安羅を支えろ、と。いつも通りの祭りを住人に楽しんで欲しいから、と。祭りのメインイベントは安羅の祈りだからだろう。
しかし、顔の手入れをしているところを住民に見られてしまった。そこから批判の意見が来るようになる。そこで安羅は、自分が自害したことにして、新しく別人として生活するのはどうだと。
俺は指示通り、住民に安羅は批判に耐え切れずに自害した、悪魔が取り憑いていたのだと嘘をついた。そしてその後、新たに別人として生活することになった幼馴染の安羅が引き継ぐという形で住民に紹介した。
お兄ちゃんと私は兄弟から幼馴染という風に嘘をつくように、人と話すのが好きだったけど、自分から遠ざかるように。全てはお兄ちゃんに泥を塗らないため。だけど、お兄ちゃんは昔から私を見てくれている。そんなこともあってか、接する機会を設けてくれているけど、私にとっては余計なお世話だった。もしそれでいつかバレてしまったら、仮面が外れてしまったら。
いつかは、二人だけでどこか出かけたりとか、、出来るはずないけど。