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「……ごめん。情けねえな、俺。お姉さんのこと助けるとか言っといて……」
光が力なく笑う。その顔には、いつも私をからかう時の余裕なんて欠片もなかった。
「……いいから黙ってて。あんたは、ステージの上で喋るのが仕事でしょ。今は、私の前でくらい大人しくしなさい」
私は光の額に冷却シートを貼り、濡らしたタオルで首筋を拭った。
いつもはあんなに口が達者で、私を振り回してばかりの男が、今は子供のように無防備で、私に身を委ねている。
「氷の女王」なんて呼ばれていた頃の私なら、こんな狭い部屋で誰かのために必死になる自分を想像できただろうか。
「……日比谷くん。これ、飲める?」
コンビニまで走って買ってきた経口補水液を、スプーンですくって一口ずつ運ぶ。
光は大人しく口を開け、弱々しく飲み下した。
「……ありがと。……お姉さん、優しいんだな」