薄い光だけが差し込む寝室の中で、すちは夢の中だと気づかないまま、みことの体温を確かに感じていた。
大人の姿のままの恋人――みこと。
柔らかな呼吸。細い首筋。触れるだけで震えそうな体つき。
無防備に仰向けになり、すちを求めるように腕を伸ばす。
「……すち、……来て……」
夢の中の声は、現実より少し甘く、少し儚い。
その一言だけで、胸の奥に押し込んでいた欲が一気に解き放たれる。
すちはみことの身体に覆いかぶさり、指先で頬をなぞる。
触れれば触れるほど、みことはとろけるような吐息を漏らす。
「……みこと、可愛い……」
囁きながら、すちは腰を寄せ、ゆっくりと揺らす。
夢なのに、触れ合う感触はあまりにも鮮明だった。
みことの身体が熱を帯び、すちの動きに合わせてびくりと反応する。
「っ……すち……まって……っ!…ゃぁっ…」
涙を帯びた声で呼ばれる。
泣きながら求めてくる姿は恋人としての弱さと甘さがそのまま露わになっていた。
すちはその顔がたまらなくて、頬にキスを落とし、口元を塞ぐように重ねる。
みことは腕をすちの背中に回し、必死に引き寄せる。
「好き……すち……もっと……すちがほしい……」
名前を呼ばれるたびに、胸が痺れるほど嬉しくて、すちは腰の動きを強めそうになる。
夢だと気づいていないすちは、ずっと抑えていた欲をようやく解き放とうとする。
みことの涙に濡れた目、震える声、掴んでくる指先――すべてがすちを狂わせそうだった。
「……みこと……っ」
欲が限界まで満ちて、みことを抱きしめ、完全に溺れようとした、その瞬間――
ふっと、温度が途切れた。
視界が明るくなり、みことの呼吸も、甘い声も、腕の温もりもすべて消えた。
「……っ、……夢……?」
胸の奥にまだ熱が残っている。
夢の中でみことに呼ばれた声、泣きながら求められた感触が、指先にまで残響のようにまとわりついて離れない。
すちは細く息を吸い、ゆっくりと吐き出した。
「……みこと、」
腕の中には、小さな身体。
現実のみことは、幼児の姿で、すちの胸に頬を押し当てながらすやすやと寝息を立てている。
汗ばむ額にかかった髪をそっとすくい、指でなでる。
その柔らかさに、夢の中のみことの熱が重なる。
「……戻ったら、絶対離さないからな……」
言葉にしてしまったら余計に実感してしまい、すちは苦笑した。
こんな状態で欲なんて見せるわけにいかないのに
――あんな夢を見させられたら、抑えきれなくなる。
「……好きすぎんだよ……ほんと……」
寝ているから聞こえないとわかっていても、みことの耳元に小さく囁く。
幼児の姿でも、恋人であるこの子が愛しくて仕方がない。
みことが小さく指を動かし、すちのパーカーをぎゅっと掴む。
「……すち……」
寝言だった。
たったそれだけで胸が跳ねる。
「っ……可愛い……」
思わず、みことを抱き寄せる腕に力が入る。
夢の中のみこととは違う、柔らかくて軽い身体。
でも、求めてくれる想いだけは変わらないのだと思うと、喉の奥が熱くなる。
涙の跡がまだ頬に残っていた。
すちはゆっくり顔を近づけ、その線を舌でそっとなぞうとし――一度、動きを止めた。
「……これ、夢じゃねぇし……やばいって……」
でも、堪えられなかった。
少しだけ、触れるだけ。そう言い訳しながら、涙の跡に口づける。
みことは小さく息を漏らし、すちの胸にぎゅっとしがみついた。
すちの呼吸が、一瞬止まる。
「……好き……早く戻ってこいよ……俺の、みこと……」
唇をそっと重ねて軽いキスを落とす。
幼児化していても、恋人としてのみことが確かにそこにいる。
夢の余韻と混ざり、すちは胸の奥が痛いほど愛しくなった。
みことの寝顔を見つめながら、すちは静かに瞳を閉じた。
コメント
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( ˙˘˙ )へぇ...すっちーはみこちゃんに戻ってほしいんだ(* ・д・)¬¬それって戻ったら抱きたe(殴🤛