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ここはルビィ洞窟。剣豪、剣士、重戦士は赤く光るその入り口に立っていた。
剣豪「俺は何もしねぇからな」
その言葉を聞いて、弟子2人は驚く。
剣士「えっ!?手伝うって言って……」
剣豪「ねえよ。俺は実践教育のためにお前ら連れてきたんだ。それに、ダンジョンは初めてじゃねえだろ?任務の帰りに寄り道してダンジョン入ったのはどこのどいつだよ」
剣士「うっ……」
重戦士「剣士、ここは言い返しても意味がない。でも、満身創痍になったら助けて下さいよ」
剣豪「ああ」
重戦士「……行くぞ、剣士」
剣士「……うん」
中のモンスターは、前に入ったダンジョンのモンスターとは比べ物にならないほど強かった。2人は手こずりながらもなんとか先へ進んでいった。そして。
奥からピンクの刀を持った女が出てきた。2人はその女に見覚えがあった。
重戦士「ゆゆゆさん!?」
剣豪が探していた弟子の一人・ゆゆゆだった。
剣士「やっぱりダンジョン地方に……」
ゆゆゆ「私に何の用?用もないなら帰ってちょうだい」
剣士「……悪いけど、そうは出来ませんよ?」
そう言って剣士がまず斬りかかる。しかし、剣士の視界からゆゆゆはいつの間にか消えていた。
ゆゆゆ「残念」
それだけ言うと、ゆゆゆは剣士の後ろから刀を振り下ろそうとする。
重戦士「剣士!危ない!」
すんでのところで重戦士がその刀を受け止める。
重戦士「『ヘビースラッシュ』!」
剣士「『インパクトエッジ』!」
重戦士はゆゆゆの刀を粉砕せんと燃える大剣を握る力を強める。大剣を横なぎに振るうと、ゆゆゆはジャンプで上方向に避けた。上からは燃える剣が剣士と共に飛び込んで来る。
ゆゆゆ「……!『お前取りあえず煮干し食っとけ』!」
洞窟の壁を蹴って、剣士と重戦士の間を縫うように、ゆゆゆは突進する。着地するとそのまま奥へ回り、2人の方へ突進する。瞬く間に2人は切り伏せられ、ゆゆゆはさらにその先――剣豪の方へ向かう。しかし。
一瞬剣豪が視界から消えたと思うと、後ろから衝撃が加わった。見ると自分の腹に、剣豪の刀が突き刺さっていた。
ゆゆゆ「(私の突進の速さに師匠が着いてきたの!?……いや……違う……投げたんだわ……刀を……!)」
倒れ込んだゆゆゆに剣豪は近づき、刀を抜いて一言、
剣豪「お疲れ」
とだけ言い残し、倒れた弟子2人の方へ向かった。
剣豪「ま、よくやったんじゃねえのか?」
重戦士「……ありがとうございます……っ」
剣豪「ほら立て。まだまだ長いぞ」
剣士「はい……」
冬乃「……話聞いてました?」
ホームに帰ると、半ば呆れ気味の冬乃が出迎えた。
冬乃「まあ、死にはしないとは思いますが。早く医務室行きますよ」
剣豪「はいはい」
医務室に着き、傷薬を塗ると傷はみるみる回復した。
冬乃「(本当に万能薬だよなーこれ)あ、そういえば全然話変わりますけど戸籍の方どうでした?」
剣豪「ああ。一応全員分、終わったらしいぜ?偽名も作ったんだ。」
冬乃「そうですか(ジェネラルさんにも手伝ってもらっていろいろやったけど、これで気兼ねなく人間界の病院に連れていける。はぁ……ここまで戸籍に感謝すること他にないよな……)」
剣豪「お前は?人間界でやることがあるって言ってたけど」
冬乃「はい。なんとか手続きも終わりました。(あれから、まず退学届を大学に出して、親への言い訳も作って電話番号変えて、そこからさらに銀行のなけなしのお金を全部引き出して荷物もまとめて……はぁ、思い出したくもない長い道のりだった……しかも引っ越し扱いじゃないから週に1回位帰らないと……はぁ……)」
剣豪「そうか。」
あれから1週間。剣豪は1人でダンジョンに来ていた。次々と敵を薙ぎ倒していく。
剣豪「(試練と名高いダンジョンでもこの程度かよ。これなら別のやつに頼んでも良かったな。ただでさえこっちも色々ほっぽって来てんだしな……)」
そう思ったその時。奥から銃声が聞こえてくる。
剣豪「うおっと……」
体制を崩した剣豪に、後ろから刀の突進が飛んでくる。それを避けると、目の前にティロとゆゆゆが現れた。
剣豪「2対1かよ」
そう呟くと、まずティロから片付けようと思い、斬りかかる。銃弾を軽く避け、刀を弾き返し、着実にティロを追い詰めていく。
ティロ「『ティロの終わり』!」
極太のレーザーが剣豪めがけて飛んでくる。
剣豪「おっと……あぶねえなあ」
しかし、その光が収まった時、ティロは倒れていた。ティロにトドメを刺したのはなんとゆゆゆだったのだ。
剣豪「……仲間意識ねえのかよ、お前」
ゆゆゆ「これには理由があるの。師匠、私と一騎討ちしましょ?」
剣豪「ふーん、勝てると思ってんのかよ」
ゆゆゆ「ええ。あのお方に強化して貰った今なら、師匠だって敵じゃないわ。」
剣豪「ハッ、大口叩くのもほどほどにな」
そう言って剣を構え直す。ゆゆゆが一気に距離を詰める。
カキン!
剣と刀がぶつかり合う。
剣豪「おっと……お前が言う「あのお方」ってやつはすげえな。」
ゆゆゆ「そうでしょ?」
剣豪「ま、なかなかやるんじゃねえの?でも、お前、前より弱くなったな」
剣豪が剣を振り抜く。ゆゆゆの桃色の刀は粉々に砕け散った。
ゆゆゆ「……!嘘でしょ!?」
剣豪「じゃあな。」
そう言い残して剣豪は先へ進んでいった。
ゆゆゆ「くっ……」
?「ゆゆゆ」
ゆゆゆの脳内に誰かの声が入ってきた。
ゆゆゆ「……!申し訳ございません!」
ゆゆゆも同じようにテレパシーで返す。
?「少し、作戦を変更しようと思う」
ゆゆゆ「……?何でしょう……はい。私はあなたの決定に従います。……はい。承知いたしました。」