テラーノベル
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一応学パロ
🦍🍆R15くらい
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「ねぇ、知ってる?屋上の幽霊さんのお話」
「かつてこの学校の生徒は、自分の人生を代償にして、幽霊さんと結ばれたんだって」
昼休みの喧騒、女子生徒たちの無邪気な声が、風に乗ってフェンスの向こう側へと消えていく。
そんな噂話など、今の僕らには遠い世界の出来事のようだ。
屋上の空気は少し冷たい。
僕の初恋は、幽霊だった。
いつも気だるげにしてるくせに、僕が落ち込んだ時には不器用に優しく慰めてくれて、
それでいて、時折心臓を鷲掴みにされそうなくらい寂しそうな瞳で遠くを見つめる。
そんな彼に、僕は狂わされた。
「ぼんさん……」
呼びかけると、くせ毛の黒髪が夜風になびいた。かつて僕を狂わせた、大人の色気を纏った彼がそこにいる。
あの日、僕は屋上に居た。
サングラスをかけた先輩に話しかけられた。
少し驚きはしたものの、それから毎日話すほどの仲になった。
趣味の話、休日は何をするのか、そんな他愛無い会話。
でも、楽しかった。
ある時、名前を聞いた。
「ぼんじゅうる」
彼はそう答えた。
「なら、ぼんさんですね!」
僕がそういうと、彼・・・ぼんさんはふにゃりと笑った。
ある日、噂を聞いた。昔、飛び降り事件があり屋上は封鎖されていたらしい。
悪寒がした。そんなわけない、自分に言い聞かせながら屋上に走っていた。
屋上に足を踏み入れた瞬間、光に包まれた。
走馬灯のように流れる知らない記憶。校舎が今よりも綺麗で、学校名も10年ほど前のものだった。
ドアを開けると、黒板けしが落ちてくる。教室に居場所なんてなく、屋上に出てはよく授業をサボっていた。
6限目終了のチャイムが鳴り、夕日に真っ赤に染まって体が照らされた。
上靴を脱ぎ捨てた。息をのむ、上靴にぼんじゅうると名前が書かれてあった。
フェンスの外側、風にシャツが揺れる。
一歩、前に踏み出した。
記憶はそこで途切れる。僕は彼の過去を見た。彼がなぜ一人でここで死ななければならなかったのか、その絶望のすべてを飲み込んだ。その瞬間、僕の「生きること」への執着は消えた。
記憶と同じ、真っ赤な夕日、激しく揺れるネクタイ。フェンスを掴む手は震えていたけれど、心は驚くほど凪いでいた。
「ドシャ」
鈍い音が、静かな校庭に響いた。コンクリートを鮮やかな紅が染め上げた、あの瞬間。僕の人生は、彼への供物として完成したんだ。
目を覚ますと屋上に居た。
頭を打ち付けた衝撃がまだ残っていた。確かに死んだのだ。
幽霊になった僕は、彼に触れることができる。
幽霊だった頃の彼が、いつもすり抜けていってしまったもどかしさは、もうない。
「……どうして、こっちに来ちゃったの?」
ぼんさんが悲しそうに僕を見つめる。何も言えなかった。
ただ、少しでも苦い記憶を和らげるように。
僕は、目の前にいる最愛の人を強く抱擁した。夢なんかじゃない。腕の中に確かな重みがある。
後頭部を掴み、そのまま、吸い付くように唇を重ねた。
「んっ………」
甘い吐息が漏れる。艶めかしくも低い声。
舌を入れ、彼の中からすべてを吸い取るように絡める。銀色の糸が、月明かりの下でプツリと切れた。
ぼんさんは涙目になり、耳まで真っ赤に染まっている。
「…ぼんさん、好きです。」
手を伸ばし、ゆっくりとシャツのボタンを外していく。
露わになった白い肌に、赤い跡を刻んでいくと月明かりに照らされてよく映える。
顔を汚すと子供みたいに怒るところも、折れそうなほど細い腰も。快楽に弱く、すぐに瞳を潤ませるところも。
全部、僕だけのモノ。
僕は彼の首にそっと手を添え、ゆっくりと圧をかけていく。
苦しいはずなのに、彼はすっごく幸せそうな顔をして僕を見上げる。指の跡が白く浮き出し、やがてじわりと赤黒く色を変えていく。それは、僕たちがもう「戻れない」ことの証明だった。
「ずっと、二人きりで……ここにいようね」
遠くに見える街明かりは、もう僕らのものではない。
見上げれば、星空がただ残酷なほどに輝いている。
「……ねぇ、一人きりで屋上に居るとね、聞こえるんだよ」
「何が聞こえるの?」
「……幽霊さんが、生きてた頃のお話」
僕の人生を捧げた、残酷で幸福な恋の物語。
誰もいない夜の屋上で、僕らは今夜も、永遠の愛を確かめ合う。
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はくしろ🦊🎨💛 🍌☃️