芥川を拾う為には太宰よりも、誰よりも先に芥川を見つけなければならない。
然し、一つだけ懸念が有った。今拾ったら芥川は何歳だ?俺の2つ下だから……13歳…。因みに、彼の青鯖が前の世界で拾った時は恐らく16歳位だった様に思われる。
思った以上に幼い。流石に早過ぎないか…?早くも挫折しそうになったがふと思い出す。芥川は肺が悪かった。
空気の悪い貧民街で長く過ごしていた為によく苦し気に咳をしていた。矢張早めに探した方が良さそうだ。
早速俺は、任務が無い時間は全て芥川を探すのに使った。「吠えぬ狂犬」……か。通り名が付く位だから割と有名ではあると思うのだが、思っていたよりも見つからない。「吠えぬ狂犬」という存在は聞いたことが有るが、居場所迄は知らない、と云う奴が殆どだった。
芥川を探し始めて1週間が経った。漸く「吠えぬ狂犬」、もとい、芥川の居場所を知っている、或る男に出会った。
其の男に案内して貰った先に居たのは、記憶よりも幼い姿の、芥川だった。
────芥川だ。
色々な感情が押し寄せてきて、其れしか云えなかった。漸く逢えた。漸く見つけた。龍、────俺の、最愛の人。
直ぐにでも駆け寄りたかったが、若し芥川に記憶が無いとしたら攻撃される。警戒なんてされてしまったらもう拾うなど到底無理な話だ。
どうすれば警戒されずに近付くことが出来るのか。彼の青鯖は詳しくは知らないが、計画を立てて拾ったらしい。
最終的にどうしたかというと、道に迷った体で話し掛けることにした。もう一寸他に何か無かったのかとも思うが、俺が思い付くのは此れ位しか無かったのである。
「……誰だ貴様」
芥川の警戒している声が聞こえる。
「俺は中也。ここら辺を散策してたら道に迷っちまってなァ。今夜だけ此処に居ても善いか?」
どうだ……??追い出されるか、其れとも最悪の場合は……
「…………善いだろう。但し、僕等に手を出したら直ちに殺す」
「わぁってるよ、そんなことしねえって」
翌日。
「世話になったな」
「別に構わない。銀達と遊んで呉れたしな」
「あれは俺が遣りたくて遣ったんだ。礼を云われる筋合いはねェよ」
「じゃあな。また今度食料持って来るわ」
「!……善いのか?」
「嗚呼。昨晩泊めて貰ったお礼だからな」
「……感謝する」
幼くても20歳の時と変わらない所を見つけて嬉しくなったが、芥川にも記憶が有るなんて都合の良いことはなかった。
まあ善い、折角見つけたんだ。絶対逃がさねェから、覚悟しとけよ?芥川。
コメント
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中芥やっぱ最高❤︎!!!!!!芥川ちゃん喜んでるのかわぃ❤️