俺が芥川の処に通い始めて三週間が経った。本当はもっと早くポートマフィアに勧誘する心算だったのだが、焦りすぎても碌なことにならないことは善く知っている為、外側からじわじわと囲っていこうと思う。
「中也って最近変だよね」
「あ?」
「前から変だったけどさあ。最近はもっと変だ。何処かへ通っているみたいだし」
「お気に入りの女の子の元へでも通っているのかな?」
或る日のこと。俺の部屋に勝手に入ってきた太宰はにやにや人が悪い笑顔でそう訊いてきた。少し違うが殆ど当たっている為、直ぐに云い返せなかった。此奴は人を善く観察している。故に、細かい所にも気が付くのだ。
何回か共に任務にあたるので知ってはいたが、其れを何故こういう時にも発揮するのか。
「……ンな訳ねェだろ」
そう云うと、
「本当かなあ??間があったけど?」
と云われた。何も云えない。何か喋ったら絶対に墓穴を掘るに決まっている。
「ねえねえ、其の子って可愛い系?其れとも美人系?」
「ねえ~ちゅ~や~~?何か答えなよ~」
「煩ェ!!!早く任務行け!!」
「そういえばそうだった。あ~あ、仕方がないなあ。行ってくるよ」
「おーおー行ってこい。戻ってこなくても良いぞ」
「はあ。君って何時も一言多いよね」
「其れは此方の台詞だよ」
太宰がドアを閉めた。嗚呼、矢張彼奴との会話は疲れる。大体、普段ぐちぐちと要らねェ事ばかり云うのは彼奴の方だろう。
まあ、そんなことは置いておいて、だ。太宰から探られ始めた。未だ確信には至っていない様だが、何れ気付くだろう。俺が貧民街へ行っていることに。
太宰が芥川を見つけて拐ってきたりなんてしたら最悪だ。俺が嫉妬でどうにかなりそうである。
もうそろそろ芥川を勧誘した方が善いのかもしれない。そう思い、俺は或る人物に連絡した。
「もしもし?」
「お忙しいところすみません。中原です」
「君から連絡なんて珍しいじゃないか。どうかしたのかい?」
「……相談が有るのですが、後程伺っても宜しいでしょうか、
────────首領」
コメント
1件
神作品過ぎて続きが待ち遠しい«٩(*´ ꒳ `*)۶»ワクワク