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💎「おはよー!」
教室のドアが開いた瞬間、ほとけの声が先に走る。
🐰「朝から元気やなぁ」
💎「それ褒め言葉として受け取っとくわw」
初兎が欠伸混じりに言って、周りがくすっと笑った。
ほとけはその反応を見て、ほんの少し肩の力を抜く。
💎(よし、今日も大丈夫)
🐱「昨日の配信さ」
💎「うん?」
🐱「コメント欄めっちゃ荒れてなかった?」
いふがノートを出しながら言う。
🐤「え、そう?」
🐱「途中で心配なった」
💎「あー、でも最後は平和だったでしょ?」
🐱「まあ」
🐤「ほとけっちはああいうの気にしないの?」
りうらが首を傾げる。
💎「んー、まあ慣れっこだし」
🐤「強いね」
💎「いや、弱いから慣れただけだよw」
軽く言ったつもりだった。
でも一瞬、場の空気が止まった気がして、すぐに続ける。
💎「ほッほら、深く考えたら負けなやつ!」
🐰「それ逃げやん」
💎「逃げも戦略!」
笑いが起きる。
その中にちゃんと溶け込めたのを確認してから、ほとけは席に座った。
授業が始まる。
黒板の文字をノートに写しながら、先生の声を聞いている“ふり”をする。
💎(……今、何の話だっけ)
時計を見る。
まだ十分しか経っていない。
💎「はぁ……」
ため息をついた瞬間、隣の席のいふが小声で言う。
🐱「疲れとる?」
💎「え?」
🐱「顔」
一瞬、言葉に詰まる。
💎「そんなことないって」
🐱「そうか?」
💎「昨日ちょっと寝るの遅かっただけ」
半分本当で、半分嘘。
いふはそれ以上聞かなかった。
それがありがたくて、同時に少し寂しい。
昼休み。
🐤「ほとけっち〜、飯行こー」
💎「行く行く!」
ほとけは立ち上がる。
誰かに誘われる前に、自分から動く。
購買前の列。
🐤「今日さ、テスト返ってきたやろ」
💎「うわ、忘れてた」
🐤「ほとけっち何点?」
💎「秘密w」
🐤「絶対悪いじゃん」
💎「いやいや、悪くはない…………けど、良くもない」
🐤「それ一番リアルなやつ」
笑いながらパンを選ぶ。
でも、どれにするか決められなくて、列が進んでから慌てて適当なのを取った。
🐤「……ほとけっち、ぼーっとしてない?」
りうらが心配そうに見る。
💎「え?まじ?」
🐤「YES」
💎「まじか」
自分では分からなかった。
席に座って、パンを一口かじる。
💎「……あれ」
🐰「どうしたんや?」
💎「味、しないんだけど…」
🐰「え、体調悪いん?」
💎「いや、たぶん考え事」
🐰「それ一番危ないやつやん」
初兎が冗談っぽく言う。
🐤「ほら、考えるの禁止」
💎「はーいw」
返事はしたけど、
考えないってどうやるんやったっけ、と思った。
放課後。
🍣「ほとけ」
💎「ん?」
🍣「今日ちょっと話せる?」
ないこが声をかけてくる。
💎「今?」
🍣「少しだけ」
一瞬、心臓が跳ねる。
💎「……ごめん、今日用事あって」
🍣「そっか」
ないこの表情がほんの一瞬だけ曇ったのを、見てしまった。
💎「明日でもいい?」
🍣「うん、大丈夫」
“本当に大丈夫か”を聞かれなかったことに、ほっとする。
帰り道。
一人になると、急に音が消える。
さっきまであんなに賑やかだったのに。
スマホを開く。
何か連絡が来てないか確認する。
……何もない。
💎(まあ、そりゃそう)
誰かに責められてるわけじゃない。
嫌われてるわけでもない。
ただ、
「大丈夫な自分」でい続けるのに、少し疲れてるだけ。
家に着いて、ドアを閉める。
「ただいま」
誰もいない部屋。
鞄を床に置いて、ベッドに座る。
💎(今日、何があったっけ)
思い出そうとしても、
会話は浮かぶのに、感情が出てこない。
楽しかったはず。
笑ってたはず。
なのに、胸の奥が空っぽみたいだった。
スマホが震える。
🐤《今日はありがとう!楽しかった!》
りうらからだった。
指が止まる。
💎(楽しかった、か)
しばらくして、短く返す。
💎《こちらこそ!》
送信。
それだけ。
画面を伏せて、天井を見る。
誰かが隣にいたら、
「どうしたん?」って聞いてくれたかもしれない。
でも、聞かれたらきっとこう言う。
「大丈夫」
それが嘘じゃないのが、
一番ややこしい。
今日はまだ、壊れてない。
ただ、少しだけ、静かに疲れてるだけ。
だから明日もきっと、
「いつも通り」でいられる。
……いられるはず。
次の日も、ほとけは笑う。
いつも通り、何もなかった顔で。
でも家に帰ると、
「大丈夫でしょ?」
その一言が、なぜか胸に残った。
心配されているはずなのに、
どうしてこんなに息がしづらいんだろう。
次回――
第2話「心配されるのが、しんどい日」
優しさが、少しだけ重くなる。