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どれぐらい泣いただろうか、涙はすっかり枯れて落ち着いてきた、彼の背中に添えていた手を退けるとアンサーは離れてくれた、


「ごめん、ありがと」

「なんで謝るんだ、泣きたい時は泣け」


ほんとどこまで優しいのだろう、彼の目は綺麗で美しかった


「とりあえず、僕は自分の寮に帰るね、ありがと」

「しばらく泊まってもいいんだぞ?」

「アンサーが寝る所無いじゃん」

「床で寝る」


きょとんとした顔でそんな事を言うアンサーを見つめる、するとドアが開いた


「何言ってるんですか、マイロさんを寮に返しますよ」

「こんな傷で外に出させない」

「ダメです、返してきなさい」


捨て猫拾った子供と母親の会話みたいで少しシュールだった、ガチガチに体鍛えた人とまともっぽい七三分けの人がこんな会話してるんだ、ラブとかワースとかめっちゃ笑いそう


「もう大丈夫、歩けるはず…」


まだ足取りはふらついているが歩けないほどではない


「ふらついてますよ、運びます」


一応僕も鍛えているはずなのに軽々しく持ち上げられた、アンサーに目を向けるとなんだか不貞腐れていた、アンサーも持ち上げられた事があるのだろうか


僕はオロルに運んでもらい自分の部屋に着いた、今思えば身長差も凄いなと実感した


「何かあれば呼んでください、では」


そう言って彼は自分の寮へ帰って行った

自分のベットに横たわり木模様の天井を見上げる、手を伸ばして握る、その手を開いて見つめて横にポフっと音を出して落とす


誰も居ない部屋、声も気配も何もない

ベットの上に乗る帽子を取り抱きしめる、母上の事を思いながら強く強く抱きしめる


「…足手まといだったなぁ」


ぼそっと喉から声が出る、少し枯れた声がシンとした部屋に響く、なぜ僕に第四魔牙の名を与えたんだろう、なぜ僕を仲間にしようとしたんだろう


「…みんなの声が聞きたいなぁ」


眼から雫が一粒だけ落ちた、枯れ切って無かったみたいだ、僕は重たい瞼を動かさずに深い眠りについた



目の前にはみんなが居た

母上も父上も、七魔牙の彼らも、同室の彼も


彼らの瞳に映るのは僕ではない何か、なぜかはっきり見えた、何かわからない黒い影


「…」


声を出そうとしたら気づいた、言葉が出ない、とゆうより出し方を忘れた感じがする


《 …産まなきゃ良かった 》


そう言われた瞬間血の気が引いた、母上の眼はとても怖かった、僕が見ている彼らの色は褪せていて、美しいと思えなかった


「…行かないで!」


背を向けて離れていく彼らに手を伸ばす、届かない手を伸ばす所で目が覚めた


天に向かって伸ばす手を下ろす、少し濡れた枕を見て起き上がりフッと窓を見る、目元が赤く色褪せた瞳をした僕が居た


「夢に出てきたって事は…」


嫌な事を考えて振り払おうと頭を横に振る、だが消えない、あの母上の怖く、色褪せた瞳が脳裏に焼きつく


杖を握り立ち上がった、その時帽子を被りたいとは思えずにベットにそのまま置いて僕は部屋を出る


廊下には普段より少し多い生徒たちの声がザワザワとしていて普段と違う道を歩いている様だった、窓から見える景色は苛つくほどに清々しい青色だった。


「お、怪我大丈夫か?」


廊下でばったりと鉢合わせたワースが僕にそう聞く、手には林檎などのフルーツが乗るカゴがある、


《 別の奴にしとけば… 》


彼の黒っぽい瞳を見た時嫌な言葉が頭に流れ込んで来た、その時の夢で見た褪せた色の瞳が写ってその場から逃げ出した


「おい!どうしたんだよ!」


彼が僕のローブのフードを掴んで引き留めた、彼の眼が、色が怖くなって手を振り払った


「見ないで…!」


彼の顔から視線を逸らしてそう言う、彼からの返事は無いけど哀しい顔をしているんだとなんとなく思った


また歩き出し彼から逃げた、今度は追いかける事も、引き止める言葉も無かった


行く当ても無くフラフラ彷徨って居ると校庭に居た、あの時ラブが話しかけてくれた場所だ


近くにあった岩に座り込む、何かする訳でも無く空を見上げた、普段なら美しく思う青色の空も今は色褪せて見えて、白黒の世界みたいだ


「どうしたんだい?」


僕の背後から話しかけてきたのはあの時の彼、シュエン・ゲツクの声だった


「…特に」

「無い訳無いでしょ?前被ってた帽子も無いし…もしかして無くしちゃったの?」


眼を逸らしていると彼が視線の先に居た、でも彼の目はなぜか色褪せてない綺麗な色だった、夢に出てきてないからだろうか


「良かったら話してよ、僕は頼れる先輩だよ?」

「…怖いの」

「何が?」

「…ワース達の眼が怖い」


細々とした声でそう言った、夢の事も、色の事も、ほとんどが色褪せて見えると、謎の声が聞こえてそれを聞くと怖くなる事を


「…で、そのほとんどじゃないのが僕だと」

「なんでだろ」


そう呟いて彼を見ると、出会った時の様な笑顔があった


「よく逃げた、偉いよ」


彼はそう言って僕の頭を撫でた、帽子がない頭から感じる暖かさは怖い気持ちを全て吹き飛ばした


EP7 悪夢

レアン寮の彼らと1人の石化の魔法使い

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