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しかしレイブもここ数日ですっかり幼児退行してしまっているな。
子供の頃からやせ我慢や意地を張る事で保っていたアイデンティティが崩壊してしまったのだろうか?
やり手の企業家や頑固一徹な凄腕職人さんなんかにままある、赤ちゃん化現象みたいな物であろうか、今後の性兆、いや成長が心配である。
私、観察者が老婆心によって性的嗜好に思いを馳せている間にレイブちゃんも泣き止んでくれたようである、偉かったでちゅね♪
「そうだ、泣いている場合じゃなかった…… 今出来る事を一所懸命、そう決めたばかりだった…… 良しっ! 気合を入れていくぞっ! ペトラ、ギレスラ、しっかり付いて来てくれよ!」
いや問題なのは僕ちゃんだけだったでちゅよ?
『『おーっ!』』
やだ、係りさん達優しい……
「むふぅっ! もう俺たちスリーマンセルは何も恐れないぞっ!」
『『いえーっ!』』
…………まあ良いけど
「さて、じゃあ早速東へ向かおうか、このまま尾根を行くとなると岩窟の前を通らなきゃならないからな、面倒だけど一旦下まで降りて沢伝いに行こうか? ほらミツカゲさん謹製のハゲチラ装置がさ、ね?」
『ああ、そうしよう、くわばらくわばら』
『そうね、何だったら一つ南の尾根まで移動しても良いかもね、恐ろしいったら』
「うん、ヤツに気付かれないようにそーっと移動しよう」
何だ、やっぱり気分だけで言っていたんだな、死に掛けたんだしそりゃそうか。
三人一列に並んでソロリソロリと下山を始めると、最後尾を歩いていたギレスラが不意に素っ頓狂な声を上げた。
『グガァっ!』
レイブの鋭い叱責が飛ぶ、勿論小声で。
「ギレスラ、大きな声を出すなよ、ビックリするじゃ無いかぁ」
ペトラもコソコソ声だ。
『そうよ! 例のヤツは音に敏感なのよ? 今のでギレスラお兄ちゃんの声を覚えてしまったから、今後追い掛け回されたりするのよ! 永遠にね……』
なるほど、こうやって都市伝説とか出来ていくんだなぁ~。
『す、すまん、急に虫が鼻先に飛んで来たもんだから……』
『虫? あ、本当だバッタじゃないの、振るい落としちゃえば?』
『ああ、あっ!』
ギレスラが鼻先を振って追い払おうとした瞬間、止まっていたバッタ、所謂グラスホッパーは自ら羽ばたいて移動し、先頭を歩いていたレイブの左肩に止まり直し、ペトラを振り返っている。
『むむっ? やけに人懐っこいじゃないの、このバッタ』
「……あっ! そっか、じゃあ一緒に行こうか? ふふふふ♪」
レイブのその声に答えるように、肩の上で何度も小さくジャンプを繰り返すグラスホッパーは、まるで喜んでいるようである。
#ダンジョン
麗太
虫という心強い仲間を加えたスリーマンセルは来た時と同じ人数で山を下っていく。
アスタロトはスリーマンセルの中に、テューポーンはレイブの肩の上でやけに多い触角をウネウネ動かしながらである。