テラーノベル
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ステージの上って、やっぱり特別だ。
照明の熱。
スピーカーの振動。
観客のざわめき。
全部が、いあんの身体に染み込んでくる。
「……LUMINAです。よろしくお願いします!」
マイクを持つ手は、震えてなかった。
初ステージ。
初パフォーマンス。
初めて“新しい名前”で立つ場所。
でも、不思議と怖くなかった。
だって――
ここは、いあんが生きるべき場所だから。
音楽が流れる。
身体が勝手に動く。
振付を“なぞる”んじゃなくて、音と一緒に“呼吸する”。
光が、当たる。
その瞬間、 全部が静かになった。
(……ほら)
いあんは知ってる。
この感覚。
空気が、味方になる瞬間。
「センターの子、誰?」
「14歳ってマジ?」
「歌、やばくない?」
「天性のアイドルってこの子のことだよ…!!」
視線が集まるのが、わかる。
でも、奪うつもりはない。
ただ、存在してるだけ。
それだけで、人の心が動く。
それが、みんなの言う “天性”ってやつなんだと思う。
曲が終わる。
拍手。
歓声。
スマホのシャッター音。
心臓が、少しだけ跳ねた。
(……あ、これだ)
この音。
この光。
この熱。
いあんは、 このために生まれてきた。
楽屋に戻ると、 メンバーの空気が違ってた。
「……ねぇ」
「もう、来てる」
凛がスマホを差し出す。
画面いっぱいに流れる、 LUMINAの名前。
【新人アイドル、異常な完成度】
【センターの子が強すぎる】
【あの歌声、何者?】
【アイドルに生まれた子】
【天性のアイドル】
【初ステージでこれはマジ今後に期待】
(……早)
デビュー前なのに。
まだ“初披露”なのに。
話題になるスピードが、 異常だった。
正直、悔しい。
でも、
それ以上に――
“納得”してしまう。
だって、
一杏が歌うと、 空気が変わるんだもん。
鏡の前で、メイクを落とす。
ステージの上では、完璧なアイドル。
でも、
この顔の奥には――
捨てられた記憶も、 泣いた夜も、 全部、残ってる。
それがあるから、
いあんは強い。
「LUMINA、来月イベント追加ね」
スタッフの声。
「SNSの伸びがすごいの」
当然だ。
だって、
光はもう、動き出したから。
帰り道、 夜風が気持ちいい。
イヤホンから、 自分たちの曲が流れる。
(……私、まだ上に行く)
この場所は、 “通過点”。
本当のステージは、 もっと先。
LUMINAは、 ただの新人じゃない。
そして、
一杏は――
“選ばれなかったアイドル”じゃなくて、”選び直したアイドル”だ。
光は、
自分で掴むものだから。
コメント
1件
娘芽愛のアカウント消えました(泣く)続き見たい方いましたら、ここにコメントください!!こっちで書きます!