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葵:「おーい、凛〜!」
人でいっぱいの昇降口前に向かって、思いきり手を振る。
最初は気づいてくれなかったけど、少しして凛が顔を上げてこっちを見た。
その瞬間、胸の奥がポンって弾けたような気がした。
(あ、目が合った……!)
いつもみたいに涼しい顔をしてるのに、私の方をちゃんと見つけてくれる。
それだけで嬉しくなって、駆け足で近づいた。
葵:「やっぱり来てた! ねぇ、今日は一緒に回らない?」
ちょっと強引かな?と思いつつ言ってみたら──
凛:「……別に、いいけど」
凛はそっけなく答えたけど、その頬がほんの少し赤く見えた。
……うん、たぶん。たぶんね。
(やった……!)
凛のクラスの展示を見て回ったあと、校庭の屋台通りに行った。
人が多くて、音楽と匂いと笑い声でごちゃごちゃしているのに、隣に凛がいるだけで安心できた。
葵:「なに食べよっか〜! あっ、焼きそば! いや、クレープもある!」
テンションが上がって思わず声も大きくなる。
凛:「落ち着きなさい」
凛が呆れたように眉を下げる。その表情が……なんか好きなんだよなぁ。
葵:「だって、お祭りっぽいのってテンション上がるじゃん!」
凛:「……まったく」
そう言いながらも、凛の口元が少しだけ緩んでるの、私は見逃さない。
(あ、ちょっと笑ってる……! こういうとき、かわいいんだから)
でも──そのあと、ほんの一瞬目を離した隙に、彼女の姿が見えなくなった。
葵:「……え、うそ」
前も、横も、後ろも……いない。
(やばい、はぐれた!?)
まわりは知らない人ばっかりで、いっきに心細くなる。
人混みに飲まれたみたいに、急に周りの音が遠くに行った気がした。
そのとき──
凛:「……葵!」
聞き慣れた声が、ちゃんと私を呼んでくれた。
振り返ると、人の波の向こうで凛が手を伸ばしていた。
次の瞬間、私の手をぎゅっと掴んだ。
葵:「わっ……凛!?」
驚いて声が裏返る。
凛:「……はぐれるでしょ、ちゃんとついてきて」
キッとした真剣な顔。
でも、掴んでる手は少し震えていて……それが、すごくドキッとした。
(そんな顔するなんて、ずるいよ……)
人混みのざわめきなんて、もう耳に入ってこなかった。
手のひらの温度が、全身に広がっていくみたいで。
心臓の音が、ばればれになりそうで、少し俯いた。
葵:「……ありがと」
小さな声しか出せなかったけど、凛はちゃんと聞いてくれた。
目が合った瞬間、なんだか胸がぎゅってなる。
(離れたくない……)
気づいたら、私は凛の手を握り返していた。
葵:「はぐれたら困るし、ね」
いつもみたいに軽口を叩いたけど──
本当はそれだけじゃない。
この手を、今だけでもずっと離したくなかった。
それから二人でクレープを買って、ベンチで一緒に食べた。
文化祭の喧騒のなか、少しだけ風が涼しくなってきていて、夕方の気配が漂いはじめる。
このあと、後夜祭がある。
打ち上げも、ダンスも……それから、たしか──
葵:「ねぇ、後夜祭……一緒に行こっか」
私がそう言うと、凛は一瞬だけ目を丸くして──
凛「……いいよ」
その声が、さっきより少し優しかった。
胸の奥が、じんわりあたたかくなる。
(……今日、なんか特別な日になるかもしれない)
最近、長いですかね?読むのがきつかったら短くします!これから塾で萎える、、では、また次回!
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