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ある平和な町の片隅に、カレンちゃんという女の子が住んでいました。
彼女は最近、花を眺めることが好きなようです。
そのことを、近所に住んでいる背の高い不思議な女性、ミラさんに話したところ、植木鉢と花の種をくれました。
「カレンちゃんに似合う花を選んだわ」
「うん! ありがとう!」
カレンちゃんは早速家に帰ると、植木鉢に庭の土を入れて、種を植えました。
「あっ、お水をあげないと」
ジョウロで水をかけながら、彼女は胸を躍らせます。
「どんな花が咲くのか楽しみだな」
それから何日かすると、芽が出てきました。
「やった! 芽が出たよ!」
そのことをミラさんに伝えたくて、彼女はドアを叩きに行きました。
「ミラさん! 芽が出たよ! ちゃんと出た!」
きらきら輝く声に、ミラさんは微笑みます。
「そう! それは良かったわね。きっといい花が咲くと思うわ」
「何の花が咲くの?」
ミラさんはカップに紅茶を注ぎました。
「そうねぇ……カレンちゃんにとって必要な花かな」
カップを差し出しながら、「熱いから気をつけてね」とミラさんが言いました。
それからカレンちゃんは、家族のことや学校での出来事をしゃべり続けました。
ミラさんはまるで姉のように、母のように、それを聞いていました。
「そうそう、カレンちゃん。ある程度その芽が大きくなったら、植え替えたほうがいいわね」
「でも、私の家には花壇なんてないよ?」
「……じゃあ、私の家の花壇に植えましょうか」
「うん!」
時間が経ち、カレンちゃんが植え替えにやってきました。
「ミラさん! このくらいになれば大丈夫かな?」
「ええ、よく育っているわ。さっそく植え替えましょう」
植え替えが終わると、ミラさんがジョウロで水をかけました。
「……うん。これで春には立派な花が咲くわ!」
それからというもの、カレンちゃんは毎日のようにミラさんの花壇を覗きに来ました。
時には友達と、時には近所のおじいちゃんと。
いろんな人に見てもらいたくて、カレンちゃんは自慢げに話していました。
そして、春が来ました。
「……立派な菜の花が咲いたわね」
ミラさんが嬉そうにカレンちゃんを見ました。
けれど、カレンちゃんは少し曇った顔をしていました。
「……どうしたの?」
「うん。菜の花なのはいいんだけど……なんでこの花なの?」
「あら、カレンちゃんらしくていいと思ったんだけど。……じゃあ、もう少し待ちましょうか」
時間が過ぎ去り、菜の花は春の役目を終えていました。
ミラさんはその気配を見つけると、枯れゆく花にそっと寄り添いました。
次の日。ミラさんはカレンちゃんを招待しました。
「こんにちは! ミラさん!」
声が二人分したので振り返ると、カレンちゃんと、友達のユリちゃんが来ていました。
「あら、二人で来たのね。ちょうどよかったわ」
ミラさんは奥の棚から袋を取り出して、カレンちゃんに渡しました。
「はい。これがミラさんなりの答えです」
カレンちゃんは袋の中を覗き込みました。
「カレンちゃん、何が入っているの?」
ユリちゃんも不思議そうに尋ねます。
「これって……種?」
「そう、種。菜の花の種だよ。カレンちゃんのね」
ユリちゃんも袋を覗き込んで、声を上げました。
「わあ、すごい! たくさんあるね! これだけあれば、学校の花壇が菜の花でいっぱいになるよ!」
「あっ……」
カレンちゃんは何かに気がついたように、袋の裏面を見ました。
「……これ、手紙?」
ミラさんはにこやかな笑顔になりました。
「その手紙は、じっくりお家で読んだほうがいいと思うわ」
「うん、わかった! ありがとう、ミラさん!」
帰りがけ、ユリちゃんがミラさんに小さなお願いをしました。
「あの、ミラさん。私も何か花を育てたいなって思ったの。カレンちゃんを見て。……何かおすすめのお花、ないかな?」
「ええ、あるわよ」
ミラさんは、新しい花の種と植木鉢を渡しました。
「この種はね、きっとユリちゃんも気に入るわ。大切に育ててあげてね」
「うん! ありがとう!」
二人は仲良く手を繋いで、お店を出ていきました。
花の名前は、今回も内緒です。
この後に何が咲くのか、それはまた、次のお楽しみ。