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ー持病ー
サンクス「……もう夏、か……」
7月の初め頃。
僕はいつも通り騒がしい外を窓から眺めていた。
外は日が出ていて暑いけど、
そんなのも気にせず遊ぶ子供達が羨ましかった。
サンクス「……一度で良いから、外に出てみたいな…」
僕は外に出て自然と触れ合い、生物と触れ合い、
そして、何よりも自分が生きているという事を実感したかった。
ただそれは叶わぬ夢。
何故なら僕がいる場所は病院。
酷い喘息を持っている僕にとっては、
普通の人間が羨ましかった。
それと同時に、普通の人間が憎かった。
サンクス「…どうして、僕は、こんな目に合わなきゃいけなかったんだ、?他の人でも良かったはずだ…神さまは僕が嫌いなの、?」
僕をこんな目に合わせる神さまも嫌いだ。
僕を治せない医者も嫌いだ。
親はこんな僕を見捨てた!
見舞いに来る人など誰1人居ない!!
どんな時期でも走り回れるガキどもが羨ましいくて憎たらしい!!!
いっそのこと……!!
…そんな事を考える事だってあった。
でも僕はそんな事出来なかった。
怖がりの僕には、自殺なんて出来なかった。
看護師「サンクスさん。点滴のお時間でs」
サンクス「要らない。」
看護師「ですが、これはサンクスさんの喘息の症状を和らげるためであって、」
サンクス「要らないって言っただろ!!この喘息は治る事は2度と無いんだ!それだったら、そんな点滴なんて物要らな、っが…!?ゲホッゲホッ…!!?」
看護師「サンクスさん?!大丈夫ですか!?今点滴を…!」
サンクス「僕に近寄るな!!!…はーっ、はーっ…っ、ゔ…ぁ……」
僕はその先は覚えていない。
ただ、目を覚ました時には、
窓の近くで倒れ込んでしまったはずの僕が、
ベッドで新しい点滴を刺されて横たわっていた。
サンクス「…あの醜き看護師め…要らないと言ったのに…」
そう呟いてまた僕は窓の所まで行って外を眺める。
時刻は午後5時過ぎだった。
7月の初めとはいえ、まだ暗くなりそうに無い空。
今だに遊んでいる子供。
僕に気づいて手を振ってくれたりするけど、
僕はいつも無視をする。
そんな事が約10年ほど過ぎ、相当飽きてきた時、
僕の部屋の扉がノックされ、扉が開いた音がした。
またどうせあの看護師だろうと思い、振り返らずにこう言った。
サンクス「こんな僕を見て楽しい?永遠に治らない喘息を持った僕を看病して…治らないって分かってるのはお前もだろ。」
しかし後ろに居ると思われる者は言葉を発さない。
サンクス「なんか言ったらどうだよ!!」
そう言って後ろを振り向いた。
でも、そこに居たのは看護師ではなくて……