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#ホラーゲーム
りと。@ねむねむ中(=o=;)
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#STPRファミリー
第10話 足手まとい
「……プルート。」
えとちゃんが、その名前を繰り返す。
剣を握る手が、小刻みに震えていた。
「知り合い……?」
俺が聞いても、えとちゃんは答えなかった。
いや、答えられないんやと思う。
「……嘘、嘘でしょ…?……あんたは…死んだはず……。」
声が、掠れている。
「あの時、仕留め損なったみたいでね。」
プルートが、愉快そうに笑った。
「名前をなんと言ったかな。あの、ウィザードの少年。忘れてしまったよ。」
ウィザード…?
「黙れっ…!!」
あの、えとちゃんが震えている。
ほぼ声になっていない叫び。
「まさか、また会えるとは思わなかったよ。嬉しいなぁ。」
「……っ。」
えとちゃんの膝が、崩れそうになる。
「えとちゃん……?」
俺は、思わず一歩踏み出した。
「――来んなっ!」
えとちゃんが、俺を突き飛ばすようにして前に出る。
「……また、同じ……。」
小さな呟きが、風に乗って耳に届いた。
「また、同じ光景を見るの……?」
――どういう意味や。
俺には、分からなかった。
でも、えとちゃんの様子がおかしいことだけは、痛いほど分かった。
「今度こそ……。」
えとちゃんの声が、震えながらも、何かを堪えるように続いた。
「今度こそ、私が――」
「――邪魔だな。」
プルートが、興味なさそうに腕を振るった。
黒い衝撃波が、えとちゃんを吹き飛ばす。
「…っ…!!」
えとちゃんが地面を削りながら後退し、地面に膝をついた。
「えとちゃん!!」
俺は、思わず叫んだ。
「くっ……!」
じゃぱぱが、影の剣を構えて前に出る。
「……のあちゃん、うり、加勢して。」
「了解!」
三人が同時にプルートへ向かっていく。
でも――
「……なるほど、まあまあだ。」
プルートの一撃で、うりくんが弾き飛ばされる。
「うわっ……!」
「うりさん!」
のあちゃんのツタが伸びるが、あっさりと引き千切られる。
「くっ……硬い……!」
「もっと本気で来ないと、死ぬぞ?」
プルートが、影を纏った拳をじゃぱぱへ叩き込む。
「――っ!」
じゃぱぱが、辛うじて受け止めるが、体勢が大きく崩れた。
――強すぎる。
これまで戦ってきた誰とも、桁違いだった。
こんなの…ありかよ。
「……くそっ。」
じゃぱぱが、荒い息のまま構え直す。
「たっつん、離れて!」
「わ、分かった……!」
俺は、震えながら後ずさる。
でも、足が動かない。
この状況で、俺に何ができる。
「――さて。」
プルートの視線が、ふと俺に向いた。
「まずは、そこのニンゲンからにしようか。退屈しのぎに。」
「――っ!」
じゃぱぱが、瞬時に俺の前に立ちはだかる。
「……絶対に触れさせない。」
「そう睨むなよ、デーモンの少年。私も君と同じデーモンだ。仲間だろう?」
プルートが、愉快そうに喉を鳴らす。
「……このままじゃ、まずいな。」
じゃぱぱが焦っている。
プルートがこちらに向けて手をかざす。
手に紫色のような、黒色のような霧が集まり始める。
パチパチという火花の音。
知っている。
これはじゃぱぱがよくやるやつと同じだ。
「本当にいいのか?」
プルートが滑稽といった風にこちらを眺めている。
手から魔力弾が真っ直ぐ放たれる。
じゃぱぱが受け止めた。
避けなかった。
……俺の足が動かないせいだ。
じゃぱぱは“避けなかった”んじゃない。
俺のせいで“避けられなかった”んだ。
突風が吹き荒れ、地面が抉れる。
じゃぱぱの身体が少し後ろへよろけた。
魔力の欠片がじゃぱぱの身体を掠めた。
頬や手に血が滲んでいる。
「手加減はしていたが、これを受け止めるとは。流石はデーモンだ。同族として嬉しいよ。」
「そりゃ…どーもっ…!!」
じゃぱぱが剣を構えながら、真っ直ぐプルートに向かって突き進む。
「正面から来るか。」
土埃が舞う。
速すぎてよく見えない…。
ドンッ!!!
大きな衝突音が鳴り響く。
離れているのに振動が伝わってくる。
「うっ……!!」
じゃぱぱの声だ。
どうなった?
ようやく動きが止まった。
その瞬間。
俺の視界に映ったのは血塗れのじゃぱぱ。
それとその間にある無数のツルだった。
ツルにプルートの魔力の欠片が沢山突き刺さっている。
どうやら、のあちゃんのツルが辛うじてじゃぱぱを守ったようだ。
「じゃぱぱ!!」
「…あぁ…まただ……。」
えとちゃんが震えている。
「ふーっ…ふーっ…。」
じゃぱぱの息が荒い。
「俺は、大丈夫…。」
「見事な連携だ。アルラウネとデーモンの共闘か。」
プルートが感心したように大げさに手を叩く。
「俺も…。俺もやらなきゃ…。」
うりくんがじゃぱぱの元へ歩き出す。
「君は…キャットピープルかな?こんなに沢山の種族がかたまっているなんて、珍しいな。殺すのが惜しいくらいだ。」
「っ…。時間は稼ぐから。のあさん。」
「うん。いくよ、うりさん。」
うりくんとのあが動き出す。
うりくんが持ち前の身体能力でプルートを翻弄し、のあちゃんが後ろからサポートをする。
「…ッチ…小賢しい。」
プルートの苛立った口調にえとちゃんがびくっと震えた。
じゃぱぱがこちらへ歩み寄ってきた。
そして小さく呟いた。
「――やるしかない、か。」
「じゃぱ…ぱ……?」
じゃぱぱが、赤く染まった右手をかざす。
地面に、黒い魔法陣が広がっていく。
初めて見る技。
「たつやとえとを…。」
「……え?」
俺は、思わずじゃぱぱを見た。
今、なんて?
――たつや?
いつも「たっつん」としか呼ばないじゃぱぱが。
今、確かに、俺の名前を呼んだ。
――なんで、今。
初めて、名前で呼ばれた。
その事実が、一瞬だけ頭の中を占めた。
でも、そんなことを考えている余裕は、すぐに消えてしまう。
魔法陣が小さな光を放つ。
そして中に小さな影が生まれ出た。
「う〜ん……はっ!僕は……なんだビ?」
まん丸で、小さな角と翼のある、可愛らしい生き物だった。
「おはよう、俺はじゃぱぱ。俺はキミを生み、俺はキミに名を与える。だから俺の願いを聞いて。」
「おおせのままに、じゃぱぱ。」
「キミの名前は『デビ』。」
「デ……ビ。」
「俺の願いは、たつやとえとを守ること。」
「あ……。」
えとちゃんが、地面に倒れたまま、驚いたように、小さく声を漏らした。
「……分かりましたビ。」
デビが、まっすぐ俺たちを見る。
かわいい見た目だが、その瞳には迷いが一切なかった。
「じゃあ、頼んだから。」
じゃぱぱがくるりと背を向ける。
「待って……じゃぱぱ!!」
俺は、思わず手を伸ばした。
「ごめんっ……。」
じゃぱぱは、それだけ言うと、プルートへ向かって駆け出した。
伸ばした俺の手が、空を切る。
「……っ。」
俺は、拳を握りしめた。
――何もできない。
いつもそうや。
いつも、守られてばかりで。
なんでこんなに俺は弱いんや…?
なんでいつも足を引っ張ってしまうんやろうか。
「大丈夫ビ。」
デビが、俺の隣へ来る。
「僕が、守るビ。」
小さな声だったけど、確かな意志があった。
えとちゃんは相変わらず震えている。
俺はえとちゃんの震える手を握った。
「だ、大丈夫…。」
俺の声も震えている。
説得力のない弱い声だった。
「……。」
えとちゃんは黙ったまま、震えていた。
「――行くよ。ふたりとも。」
じゃぱぱの声が聞こえ顔をあげる。
じゃぱぱの影が、地を這う。
「私も。」
のあちゃんが、ふらつきながらも立ち上がる。
「まだやれる……!」
うりくんも、爪を構え直す。
いつの間にかのあちゃんとうりくんもボロボロになっていた。
それでも立ち上がっている。
三人が、再びプルートへ向かっている。
なんでそんなに…頑張れるんだよ…。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
今回はデビの登場ですねー!かわいすぎる!!
次回予告
「――消えろ。」
「もう、見たくない。」
「私の全部、持っていけ……!!」
「――ミノル……!!」
俺が……。
次回 第11話 スーパーノヴァ
コメント
2件
ちなみにデビの召喚の時のセリフはほぼ本家様と同じです! 本家様↓ 「う〜ん……はっ!僕は……なんだビ?」 「おはよう、私は〇〇。私はキミを生み、私はキミに名を与える。だから私の願いを聞いて。」 「おおせのままに、〇〇。」 「キミの名前は『デビ』。」 「デ……ビ。」 です!一応名前伏せときます。
いやー、もう今回も熱かったわ…! えとちゃんの過去がプルートと繋がってる展開、震えた。あの「また同じ光景を見るの…?」の台詞、何があったんやろって胸が締め付けられた。 じゃぱぱが初めて「たつや」って名前呼んだシーン、めっちゃ来た…。いつもたっつんなのに、わざと呼んだのは覚悟の表れなんかな。召喚したデビかわいいし、頼もしすぎるしでズルいわこのコンビ。 たつやの「なんでいつも足を引っ張ってしまうんや」って心情、読んでて辛かったけど、それでもえとちゃんの手を握ったところに成長を感じたよ。続き早く読みたい!