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3話‼️
3ってなぜか特別な数字に見えちゃうんですよね…
まじでなんでだろう
第3話 ストーカー前科は伊達じゃない
ニート部の部室は今日もゆるかった。誰かが寝転び、誰かがスマホをいじり、誰かが机に突っ伏している。入部したての僕 こうたんは、まだこの空気に完全に慣れていない。けれど、なっしーと一緒なら、不思議と居心地が悪くなかった。
「こうたん! 昨日の夜さぁ、YouTubeでゲーム実況見てたろ!」
唐突に大声を上げたのは、隣に座っていたなっしーだった。
「……えっ? なんで知ってるの?」
「えへへ、なっしーの情報網なめんなよ!」
「怖いんだけど……」
「ちゃうちゃう! ほら、こうたんの“いいね”履歴から逆算して……」
部室の空気が一気にざわめいた。
「お前、ガチで調べとるやん!」ひまじんが机を叩いて笑う。
「前科が進化してるぞ……」このが呆れ顔。
「いや、もう逮捕案件じゃね?」kunがぼそっと言う。
「ち、違うから! 純粋な好奇心やって!」
なっしーは慌てて弁解するけど、耳まで真っ赤だ。
僕はため息をつきつつも、なっしーを見た。
――ほんとに、悪気はないんだよな。
「なっしー。僕のこと調べるのはいいけど……無茶はしないでね」
「えっ?」
「僕は別に怒ってない。でも、他の人に同じことしたら嫌われちゃうかもだから」
なっしーは一瞬ぽかんとして、それからぱっと笑った。
「なるほどなぁ! こうたん、心配してくれてるんだ!」
「……そういうわけじゃ」
「照れてるんやろ!」
「ちがっ……」
部室がドッと笑いに包まれた。ひまじんは大声で「青春だな」と叫び、kunは「まあ、こいつらなら好きにやらせときゃいい」と言い、このは机に突っ伏して「見てるこっちが恥ずかしい」とつぶやいた。
僕は仮面の奥で小さくため息をついた。けれど、心の中は妙にあたたかい。
なっしーは元気で、まっすぐで、時々やりすぎる。ストーカー前科なんてネタにするくらい、危なっかしい。だけど……。
(やっぱり放っとけないな)
その気持ちは、日に日に強くなっていく。
「なっしー」
「ん?」
「僕のこと、調べるなら……ちゃんと僕に直接聞いて。そしたら、なんでも答えるから」
「……!」
なっしーは一瞬きょとんとしたあと、嬉しそうに笑った。
「わかった、いっぱい質問する! こうたんのこと、ぜーんぶ知りたいし!」
「……ほどほどにしてね」
そう答えながらも、心の中で――まあ、全部話してもいいかな、なんて思ってしまった。
部室の空気は相変わらずゆるいまま。けれど、僕の中では確かに何かが動き始めていた。