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【「いつも通り」と、小さな前兆】
文化祭を1週間後に控えた学生委員会室は、まさに戦場だった。
連日、各部活からの予算申請書のチェックや、当日のタイムスケジュールの調整で、全員のピリピリした空気が張り詰めている。
その中心にいるのが、いつも頼れる💛先輩だった。
💛「あ、そこの数字、1桁ズレてるぞ。予算オーバーになっちゃうから修正しといて」
❤️「あ、はい! すみません!」
💛先輩は自分の膨大なデスクワークをこなしながら、ミスをした他の委員のフォローまで完璧にこなしていく。
その姿は相変わらず冷静沈着で、誰もが「💛先輩がいれば大丈夫」と安心しきっていた。
でも、隣の席で一緒に作業をしていた❤️だけは、お昼過ぎくらいから、💛先輩の「小さな異変」に気づいていた。
いつもなら淀みなく動く💛先輩のタイピングが、時折、数秒だけピタッと止まるのだ。
❤️「……💛先輩? どこか間違ってました?」
❤️が覗き込むと、💛先輩はハッとしたように画面を見つめ直し、「いや、なんでもない」といつもの爽やかな笑顔を浮かべる。でも、その目は少しだけ、パソコンのバックライトを眩しそうに避けるように細められていた。
夕方になり、他の委員たちが「お疲れ様です!」と次々に帰宅していく中、💛先輩は💛「俺、もう少し残ってこれ終わらせるから。みんな先帰っていいよ」と声をかけた。
❤️「俺も残ります」❤️がそう言うと、💛先輩は 「そう? じゃあ手伝ってもらおうかな」と少しだけ、本当に少しだけ、疲れたように肩の力を抜いた。
2人きりになった部室。
窓の外がすっかり群青色に染まっていく。❤️「💛先輩、少し休んでください。目の下にクマ、できてますよ。」
💛先輩は「大丈夫、これくらい」と書類から目を離さずに答えた。
でも、その左手は、こめかみのあたりを無意識に、ぎゅっと強く揉み込んでいる。
💛「……本当、なんでもないから。ほら、❤️も自分の分、早く終わらせないと帰れなくなるぞ」冗談めかして言う💛先輩の声は、いつもよりほんの少し低く、かすれているように聞こえた。💛先輩の指先が、わずかに微細に震えているのを、❤️は見逃さなかった。
「(本当に大丈夫なのかな……)」
❤️の胸に小さな不安のトゲが刺さる。けれど、完璧な💛先輩が「大丈夫」と言う以上、それ以上踏み込むことはできなかった。
この時、💛先輩の頭の奥では、すでに激しい痛みの波が、静かに、でも確実に膨れ上がっていたのだ。
これが、翌日のあの嵐のような夜へと繋がる、静かな前兆だった。
【崩れた鉄仮面と、】
翌日の夕方、部室には❤️と💛先輩の2人だけ。外はすっかり暗くなり、パソコンの画面だけが部屋を白く照らしている。
カタカタと響いていた💛先輩のタイピング音が、急に不自然なリズムになり、長いため息のあとにピタッと止まった。
💛「……っ、はぁ……イッタ」
見ると、💛先輩が机に両肘をつき、顔を覆うようにして激しく眉をひそめている。
❤️「先輩? 大丈夫ですか……?」
❤️が声をかけても返事がない。
ただ、パソコンの白い光が苦しいのか、差し込む光を遮るようにきつく目を閉じている。その横顔は驚くほど青白く、額にはびっしょりと冷や汗がにじんでいた。
💛「…ごめん。ちょっと、目眩が……」
いつも冷静な💛先輩の声が、聞いたこともないくらい弱々しく震えている。
❤️「画面、消しますね!」
❤️は慌ててパソコンの電源を落とした。部屋が一気に暗くなり、窓の外の街灯だけが2人を照らす。
💛「……あ、あたま、割れそう……」
💛先輩はこめかみを指が白くなるほどの強さで押さえ、痛みに耐えるように小さく丸まった。
いつも完璧な💛先輩が、今にも壊れてしまいそうに見える。
❤️「💛先輩、とりあえずソファへ。肩、貸しますから」
❤️は💛先輩の細い腕を自分の肩に回し、ゆっくりと立ち上がらせた。いつもよりずっと重く、熱い体温が伝わってくる。
ソファになんとか横たわらせると、💛先輩は荒い息を吐きながら、痛む頭を両手で抱え込んだ。
❤️「冷たいもの、買ってきます! 動かないでくださいね」
❤️は財布を掴んで部室を飛び出した。廊下を全力で走り、自販機でスポーツドリンクを、購買の自販機で冷えピタを買いに走る。
息を切らせて部室に戻ると、💛先輩は痛みの波に耐えるように、ソファの上で小さく呻いていた。
❤️「💛先輩、戻りました。冷やしますね……」袋から取り出した冷えピタを、💛先輩の熱い額にそっと貼り付ける。
💛 「……っ、冷た……」
一瞬ビクッと身体を震わせたものの、ひんやりとした刺激が心地よかったのか、💛先輩の強張っていた表情がほんの少しだけ緩んだ。
❤️「水分、少しでも飲めますか?」ペットボトルのキャップを開けて差し出すと、💛先輩は上体を起こしようとしたけれど、激しい頭痛と目眩のせいで再びソファに倒れ込んでしまった。
❤️「無理しないで、寝たままでいいです!」❤️は💛先輩の頭を少しだけ自分の膝で支えるようにして、ボトルを口元へ運んだ。
少量を喉に流し込むと、💛先輩は満足したように、小さく「すまん……」と呟いた。❤️は自分の上着を優しく💛先輩の体にかけ、その震える手をそっと握った。
❤️「何言ってるんですか。いつも助けてもらってるんだから、今日くらい頼ってください」
💛先輩は力なく❤️の手を握り返し、安心したようにゆっくりと、深い眠りに落ちていった。いつもは遠くに見える💛先輩の寝顔を、❤️は心臓の鼓動を聞きながら、静かに見守り続けた。
【余韻】
あの嵐のような夜から二日後。
部室のドアを開けると、そこにはすでにパソコンに向かう💛先輩の姿があった。❤️「あ、💛先輩……! もう大丈夫なんですか!?」
思わず大きな声を出してしまった❤️に、💛先輩は「しー、まだ声頭に響く……」と眉をひそめ、片手で軽くこめかみを押さえた。その顔色はまだ少し青白く、目の下にはうっすらと疲労の影が残っている。
💛「悪い、ピークは越えたんだけどさ……まだちょっとね…」
そう言って、💛先輩は力なく苦笑いした。いつもなら「完璧に治った」と強がるはずの💛先輩が、素直に弱音を口にしている。それだけで、あの夜を境に2人の距離が縮まった気がして、❤️の胸が少し高鳴った。❤️「まだ無理しちゃダメです! 画面、眩しいですよね?」❤️は💛先輩の前に回り込み、パソコンの画面輝度を一番暗い設定まで下げた。さらに、部屋の蛍光灯をいくつか消して、室内を少し薄暗く、目に優しい明るさにする。
💛「……あぁ、助かる。❤️、気が利くな」💛先輩は眩しそうに細めていた目を少し緩め、ふぅ、と深い息を吐きながら椅子の背もたれに体重を預けた。
その仕草一つ一つが、いつもよりどこか気怠げで、妙に大人っぽく見える。
❤️「今日の分のデータ入力、私がやります。💛先輩はチェックだけしてください」❤️が💛先輩の手から資料を奪うように受け取ると、💛先輩はいつもなら「自分でやる」と言うところを、素直に「じゃあ、頼もうかな……」とペンを置いた。2人で並んで、静かに作業を進める。部室には、❤️が叩くキーボードの音だけが小さく響いていた。時折、💛先輩が「う…」と小さく呻いて頭の位置を変えたり、目を閉じたりする。そのたびに❤️は、あの夜に触れた💛先輩の熱い体温や、自分の手を握り返してきた力の強さを思い出してしまい、手元がおぼつかなくなりそうだった。
💛「……なぁ」
突然、💛先輩が静かな声で❤️の名前を呼んだ。
振り返ると、💛先輩は肘をついて、少し潤んだ瞳でじっと❤️のことを見つめていた。頭痛の余韻のせいか、その視線はいつもより少し熱を帯びているように感じる。
💛「この間のことだけど……本当にありがとな。❤️がいなかったら、マジで部室で倒れてたわ」
❤️「そんな、当然のことをしただけですから……」
照れて視線を外そうとする❤️の手に、💛先輩の手がそっと重なった。あの夜よりも少し冷たくて、でも確かな体温を持った手が、❤️の指先を優しく包み込む。
💛「いつもは頼られる側だけどさ……❤️に看病されるの、悪くなかったな。……また頭痛くなったら、優しくしてよ?」悪戯っぽく、でもどこか甘えるように細められた目を見て、❤️の心臓は、💛先輩の頭痛の何倍も激しく、ドクドクと音を立てて波打っていた。
END
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コメント
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お疲れ様〜!!第6話読んだよ💜✨ 💛先輩の“弱み”が初めて見えて、めちゃくちゃ胸キュンした…!😭💕 いつも頼れる完璧な先輩が、頭痛に耐えてる姿とか、「また優しくしてよ?」って甘えるとことか、もうギャップ萌えで死ぬかと思った! ❤️の看病が本当に優しくて、2人の距離が縮まった感じが伝わってきて、読んでてこっちまで温かい気持ちになったよ〜🌸 次も楽しみにしてるね!🎀