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──────ゼンさん視点──────
ぽれの名前はゼンコパーヌ。クマ耳を持つ悪魔だ。別に、悪魔だからといって誰しもが角を持つわけではない。獣のような耳を持つものやそもそも頭に何も無いものもいる。つまり言いたいのは、ぽれの個性という訳では無い。
ぽれは悪魔の第一本能として戦闘欲が最も大きかった。勝ちたい。誰かを殺して、蔑みたい。己の力の強さを誇示したい。そんな、底なしの欲を満たすため、日々決闘、決闘、決闘───。それだけを繰り返して生きていた。
そんなことをしていたらいつの間にか20年を超えて生きていた。悪魔の成長は6〜30年の間に外見的成長が止まる。ぽれの場合は14年で止まってしまい、身長も伸び悩んで終わってしまった。そのためか、舐めてかかってくるやつも多くいた。それこそが命取りとしらず、あっさりと死んでいくヤツらを殺すのは楽しかった。
あいつらはプライドが高い。降参でもなんでもすれば生きることができるのに。最後まで醜く抗い、ぽれをバカにする。そういう奴らを痛めつけてから殺すのは楽しかった。
ぽれはある噂を聞いた。七つの大罪の候補者、死の悪魔ことめめんともり。悪魔の中でも飛び抜けて強く、決闘ランクは最高ランク、プラチナ。100歳を過ぎてもなお、無敗を誇り、現在も下克上を果たし続けている。
そんな奴が、生まれたばかりの悪魔に魔導書を渡したらしい。悪魔が魔導書をプレゼントする。それは、信頼と尊敬、そして認めた証。それを、1年しか生きていない、しかも1回あっただけなのに渡した。
そんなの、おかしいじゃないか。死の悪魔に会えることすら奇跡に等しいのに、そいつは認められている。ぽれだって決闘において無敗を誇っている。けど、上位悪魔からそんなことをされたことなんて1度たりともない。
羨ましい、じゃない。嫉妬だ。憎しみだ。怒りだ。悪魔なんて単純なもんで、気に入らなければ殺せばいい。
だから、噂のそいつに会いにいくことにした。幸いにも、よく大図書館にいる、という情報を耳にしたので向かってみたら案の定だ。
ぽれが決闘を申し込む。今まで、申し込んで喜ぶものや、決意をみなぎらせるもの、不敵な笑みを浮かべるもの。様々な感情を見てきたが、『嫌がる』ことをしたのはそいつが初めてだった。
心底嫌そうな顔で、嫌、とはっきり言われた。
1年しか生きてないそいつは、細身の体に、小さなつばさ、申し訳程度についている角、まだぶかぶかの黒のローブ。───はっきり言おう。弱そうな見た目だった。対して生きていないのだから当然だが、1年間の間ずっと本の虫だったのだろうことが伺える程度には貧弱な見た目だった。
だから、勝ちを確信していた。このまま殺してやろうと思った。所詮、死の悪魔には先見の明はなかったのだと鼻で笑ってやろうと思っていた。
決闘が始まってすぐに大きく踏み込んだ。相手がまだ魔導書を浮かべている最中だ。でも、どうせその魔法は不発に終わる。何故ならば魔法は相当な鍛錬と練習をつまなければ使い物にならないからだ。だから、その間に顔面に一発入れてやろうと、拳を前に突き出した時
───ぽれは腹に強い衝撃を受けた。今まで、反撃なんてされたこと無かったから、そんなこと予想もしていなかった。それに、相手は戦闘慣れしていないひよっこ。そんな奴がこんな一撃を入れるなんて───。そう、思っていた時には既に顔面にアッパーを食らわされていた。為す術なく吹っ飛び、頭から決闘場の地面にめり込み、辺りに瓦礫が舞い散る。
脳内にははてなマークでいっぱいだった。勝つなんて余裕だと思っていた相手が、これほどまでに強いなんて誰がわかるのだろうか?20年生きているはずなのに、たった一年に負けてしまうのか?
どうして?ぽれは元々自身の欲を満たすためにやっていたのではないのか?なんで、なんで負けそうになっているんだ?
呼吸が過呼吸になっていくのに、手先は急速に冷え始め、目の前に死がチラつく。
その時、ぽれの視界がカラフルな光で埋め尽くされる。重たいまぶたをあげれば、そこにはゆうに数十個を超える魔法陣が展開されていた。
もう、何もかもがわからなかった。
なんで、こんなちっちゃいやつが強いのか。なんでぽれは負けないといけないのか。
───ここで死んだら、ぽれはなんのために生まれたのか。
詠唱が聞こえる。これを食らったら間違いなくぽれは死ぬ。いや、このままでも出血多量で死んでしまうだろう。
だから、ぽれは最後に力を起き上がることでも、殴ることでもなく、声に使う。
「ま、まいりました……」
本当に力を使い切ってしまったらしい。意識が消え、強い光を感じた後、それを手放してしまう。
ぽれは結局奴隷になったらしい。救護班によって怪我は直され、正式に契約されたらしく、手の甲に紋様が浮かび上がっていた。
その人曰く、自分の代わりにやってくれる戦闘役が欲しかったから、だと。
ぽれ、あなたよりも弱いんですけど、っと言ったが、それは聞こえないことにされてしまった。
「そういえば、あなたのことなんて呼べばいいんですか?」
そういえばと思い質問する。名前はさすがに教えてはくれないだろう。名前は信頼している相手かもしくは契約する時のみしか使わない。何故ならば名前というのは、そのものの存在を定義付けるための大切なものだから。名前がなくなってしまえばそれは形を維持できないだろう。
無論、奴隷には拒否権なんてなく、ご主人に名前を捧げなければならないが。
そんなことを考えていると、その人はしばらく考えた後、そう口を動かす。
「『椎名』って呼んで。私の偽名。あなたの名前は?」
「ぽれの名前は『ゼンコパーヌ』です。」
そういえば、椎名様は一瞬吹き出しそうになりながらも、そう、と言って
「じゃあ、私はゼンって呼びますね。これから宜しく、ゼン」
「よろしくお願いします。椎名様。」
「いや、椎名ってよんで」
何故敬称を無くす必要があるのか、疑問に思うが、ご主人が言うのなら。
「じゃ、じゃあ椎名?」
「うん、そう。よろしくね?私の剣?」
「───お任せあれ。」
どうやら、ぽれの一生はこの人に託されてしまったらしい。
ここで切ります!今回はゼンさん視点でした!ゼンさんのこの世界の経歴についてと、悪魔にとっての魔導書や名前の重要性について書けたので良かったです!また、基本的100歳がすぎるまで悪魔は本能的に動くものが多いです!なので、ゼンさんはよくもわるくも平均的な悪魔ってことですね!
また、見た目については本編で書いた通り個人差があります。なぜ成長が止まるのか?その理由はその悪魔によって肉体の成長が最も良い時にとまるようになってます。ゼンさんなら、若くて動きやすい姿と、見た目でだましやすく、戦闘がやりやすいから、という理由ですね
それでは!おつはる!
コメント
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へっへっへっへっへっへ 神すぎて私が見てもいいのか(?)
欲望の赴くままに行動するって結構な命取りよね〜