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くろぬか
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突如真っ暗だった視界にあるものが映った。
そこには
「源一郎兄ちゃーん!」
「源一郎ー」
それは、実家の畑で僕に向けて元気に手を振る一太と一兄ちゃんだった。
二人は軍服を着ておらず綺麗な着物に身を包んで綺麗な草鞋を履いていた。
「一太!一兄ちゃん!」
僕も手を振りかえした。
「僕もそっち行くよ!」
けど、僕が走り始めた途端。
と一発乾いた音があたりに鳴り響いた。
見ると、一太と一兄ちゃんが見慣れた軍服姿になっていた。
「うえーん、一郎兄ちゃーん!」
と一太が泣きながら腕を押さえている。
「おい!源一郎!新潟が陥されたらいよいよ食糧に大打撃を受けるぞ!」
「え、、、一兄ちゃん、、」
すると一兄ちゃんが訝しげな顔をして
「なんだよ!?」
それに僕は続ける。
「何が起こって、、、?」
「忘れたのか?アメリカとイギリスの参戦で今、全国規模の戦争になってんだよ。」
何が起こっているのか、、、?なんで僕たちがこんな、、、あ、、、そうだ。
僕らも今。この国の中に入って都市の占領を目指していたんだった。
「ーーーー」
何かが聞こえてくる。
「ーーーろ、、」
なんだろう?
「ーーろう、、」
誰なんだろう?
「ー げんいち、、」
僕の名前を、、?
「おい、源一郎 起きろ。」
「うわぁ!!!」
僕が体を起こすと右に一兄ちゃんがいた。
「出発の時間だ。行くぞ。」
僕は眠い目を擦りながら一兄ちゃんの方を見る。
「何、、?ここって天国、、?」
すると一兄ちゃんが笑いながら
「そんな縁起でもねえこと言ってんじゃねぇ!」
と言ってきた。
まぁ、そんな戦場で死ぬなんてごめんだよ。僕は日本に帰って家の飯を食って家の畳の上に敷かれた布団の上で寝て、いつかその畳の上で死ぬ。
それが僕の主義だ。
僕は天幕を折り畳み縄で背嚢の上に固定する。
そして戦闘帽を被り、鉄兜の顎紐を締めて準備完了だ。
「よし、お前ら、行くぞ。」
と、鮫島さんがみんなに呼びかけると。
「はーい!」
と一太が元気一杯の本土まで聞こえそうな声で返事した。
「おい、一太の児玉ァ、声でけえヨォ?」
と飯島さんが笑いながら一太を引っ叩きつけた。
みんなが笑っている。鮫島さんも、飯島さんも、一太も、西宮さんも心から笑っているのが見てとれる。僕は時に思う、
「この笑顔で溢れる今が、明日にでも実現されていたら。」
笑顔 これは僕が母から最高の薬だと言われて育ってきた。
けど、笑顔が作り物だったら、それは病の進行。
本当に笑えたらそれは、健康。
僕は出撃直前に写真を撮られた。笑顔で挑んだけど、本当は苦笑いだよ。
病が進行しているみたいだな。
僕も今、本当に健康になった気がする。
ふと、僕が一兄ちゃんの方を見ると
幽霊のような正気を失った顔に虚な目。マジで一瞬本物の幽霊かと思った。
「俺の分隊長の立場取られたんだけど、、、」
と、蚊が飛ぶような音で呟いた。
「おう、おう、残念だったなぁー、分隊長さんよぉ〜」
と飯島さんが絵に描いたようなゲス顔で一兄ちゃんを煽って来た。
「おめえら、連隊に着いたらこの一件報告するから覚悟しとけ!?」
と、一兄ちゃんが怒り泣きしながら飯島さんを睨みつけた。
「よし、お前ら出発だ!」
「はーい!鮫島分隊長!」
と一太が笑いながら言うと一兄ちゃんが膝から崩れ落ちた。
僕は一兄ちゃんに肩をかす。
僕らが行軍を始めると周りは畑だらけ。
よくあの世は道の両端に花があるというのは聞いたことあるけど、そんなのはごめんだね。
だって、まだお迎えが来るにはみんな早すぎるから
どれくらい経っただろうか、、
僕らが周辺を見渡すと。
「お!あれって!」
「民家ですね!!」
と、飯島さんと西宮さんが真っ先に入って行く。
「家主はいるのか?」
「井戸がありますね!」
すると、飯島さんが期待を裏切られた顔して
「なんだよ、枯れてんじゃねえか。つまんねえの。」
すると鮫島さんが
「ゴラァ!おめえら!勝手にカタギから盗むな!!!!」
「あ、サーセン。それより、鮫島さ。。」
バキューン。突如。
飯島さんの横にあった木の幹に凹みができた。
すると鮫島さんは二人を押しのけ
「お前ら!!!伏せろ。遮蔽物に身を隠せ!! 」
すると、2階から何者かが狙撃銃でこちらを狙ってる
「次男!着いてこい!」
「え、ええ??」
僕は、鮫島さんに手首を掴まれ、そのまま一緒に民家に入る
「ここか、、」
二人で階段を駆け上がりその部屋の場所へと向かう
僕は銃の撃鉄を起こし、鮫島さんに続く。
「3数えたら行くぞ。」
「1、、」
「2、、」
僕は唾を飲みこむ。
「3!!!」
鮫島さんはドアの鍵をトンプソンで撃ち抜き
狙撃手の元へ駆け寄る。
すると、そこにいたのは
まだ齢18もいかない少女だった。
水色の軍服に戦闘帽を被り左腕に「八路軍」と書かれている。
少女は慌てて狙撃銃を置き、腰からピストルを取り出すも、
「オラァ!!」
鮫島さんの蹴りが少女の手に当たる。
そして銃を取り上げ
「女がこんなもん持っていいわけねえだろ!!」
すると、直後その子は
「あの、、、どうか、、命だけは、、私。」
日本人でも驚くほどの流暢な日本語で命乞いをしてきた。
「馬鹿野郎。女を撃つ奴がどこにいんだよ?」
すると、その子は
「ありがとう、、ございます。。。私、リィ・シアと申し、ます。」
拙くてたじたじの日本語だが、言葉遣いは
本当に支那人かと思えるくらい丁寧だ。
「実は、今年で2つの男の子、一人いるんです。。」
「その子は?」
鮫島さんが聞くと
リィ・シアちゃんは一回を指差す。
僕たちが降りると
うぇーーん
ふぇーん
と元気に泣く可愛い赤ん坊が一人。
「うわぁ、可愛い、、」
僕がそう声を漏らすと鮫島さんは
「生まれた時は誰でも天使だ。」
僕は鮫島さんに一つ問いかける
「鮫島さん、この子、戦争に、巻き込まれたら、、 」
すると鮫島さんは瞼を重くした顔で
「そうだな。こんな子供と赤子を巻き込ませるなんてな、、」
僕らが赤ちゃんとリィ・シアちゃんを連れてみんなのところに戻ると
隊員のみんなが
「児玉!その子は?」
「可愛いな!」
すると、飯島さんが下品に笑いながら
「おい、次男の児玉。鮫島さんと戦場で子作りか?」
すると鮫島さんが飯島さんに迷わず蹴りを
「うるせえ!」
僕も飯島さんに頭突きを
「やめろー!」
そして最後にリィ・シアちゃんの回し蹴りが炸裂した
「変態!!!!」
飯島さんはその場で気を失い泡を吹いている。
そして西宮さんがリィ・シアちゃんに歩み寄り、
「この子、名前は?」
するとリィ・シアちゃんが口を開き
「建華(ジェンファ)」
「ジェンファ?」
西宮さんが赤ちゃんを少しみて
「立派な名前ですね。」
と、顔を覗く。
すると、飯島さんが起き上がり
「おい、児玉一。お前今日からお世話がかりな。」
すると、一兄ちゃんは魂が抜け
「俺、、隊長から、、、お世話係に降格かよ、、、」
すると、みんなに笑いの渦が巻き起こった。
4月19日
赤子を一人持った八路軍女兵士。
分隊に加われり。
コメント
1件
うわあああ待って待って待ってこの話エモすぎるんだけど!!😭💕💕 まず夢の中で笑顔だった一太と一兄ちゃんが戦場の姿に切り替わる演出、心臓ぎゅってなったよ…。現実の戦争と、ただの家族の日常が重なる感じが切なすぎる。そしてリィ・シアちゃんの登場!まさか八路軍の女の子が赤ちゃん連れてるなんて思わなかったし、飯島さんへの回し蹴り炸裂にはマジで笑ったww「変態!!」って言いながら蹴るリィ・シアちゃん、めっちゃ好きになりました♡ 鮫島さんの「女を撃つ奴がどこにいんだよ」ってセリフ、渋すぎて泣ける。戦争の残酷さの中に優しさがあって、続きが気になりすぎるよ…!次話も絶対読む!!🌸✨