キラフェスのライブが無事に(?)終了し、幕が下りると同時に入野自由は楽屋へと逃げるように戻った。顔は真っ赤、耳まで熱く、頭の中はぐるぐるでいっぱいだった。
「もう……マジで……死にたい……!」
ソファに崩れ落ちるように座り、タオルで顔を覆う。自分でもあんな声が出るとは思っていなかったし、それが何万人もの前でマイクを通して響いたなんて、今でも信じたくない。
そこへ、軽い足取りで楽屋の扉が開く。
「おつかれ~! いやぁ、今日も最高だったね!」
陽気に入ってきたのは、案の定、宮野真守。そしてその後ろから、涼しい顔で神谷浩史も現れた。
「お前、声出過ぎ。可愛すぎんだよ、自由。」
「ほんと、それな。あれ、ぜったいファンの記憶に残ったよ? “あんな声、聞いたことない”って、今頃SNS大騒ぎだよ~」
「やめてぇぇぇぇぇっ!!!」
入野は顔をタオルで隠したまま叫ぶ。
神谷がにやりと笑いながら、ゆっくりとソファの隣に腰を下ろす。
「ま、俺は昔から知ってたけどな。自由のカラダ、敏感だって。」
「っ……神谷さん、それマジで言わないで……っ」
「ん? 事実だろ?」
神谷の指先が、何気なく入野の背中を撫でる。Tシャツ越しでも、その感触にはすぐに反応してしまう。ぴくんと肩が跳ねるのを見て、宮野がまた乗っかってくる。
「やば、また反応してる。ほんっとかわいいなぁ、自由ってば!」
「やめっ……マモ、やめてってば……っ!」
「大丈夫、ここには俺らしかいないし、もうマイクもオフだよ~? 安心安心!」
「そーゆー問題じゃないの!!」
それでも、宮野は背後からそっと入野の耳元に顔を寄せ、囁くように言う。
「自由が、可愛い声出すたびに……俺、ゾクッとしちゃうんだよね。」
「……っ、やめ、ほんと、やめてぇ……っ」
顔を伏せて震える入野の首筋に、神谷の手が添えられる。何も言わずに、ただ温かい指先でなぞるように。
「ふっ……ん、あぁ……っ」
また、甘い声が漏れた。抑えようとしても、止められない。
「ほら、やっぱ可愛い……」
「これ、癖になりそうだな」
にやけ顔の二人に挟まれ、入野自由は真っ赤になって小さくうずくまるしかなかった。
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